『長崎-閃光の影で-』現地で完成披露、菊池日菜子「平和を考え続ける責任ある」
映画『長崎-閃光の影で-』の完成披露試写会が6日、舞台となった長崎市のHAPPINESS ARENAで行われ、菊池日菜子、小野花梨、川床明日香と松本准平監督が出席した。
1945年、日本赤十字社の看護学校に通うスミ、アツ子、ミサヲが故郷の長崎で原爆の投下に遭い、負傷者の救護に奔走する姿を描く。看護師たちが被爆から35年後にまとめた手記「閃光の影で-原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記-」を基に、被爆三世の松本監督がメガホンをとった。被爆者の美輪明宏が語りを務め、長崎出身の福山雅治が「クスノキ」を映画バージョンにアレンジして提供したことも話題となっている。
今年は戦後80年の節目。松本監督は祖父の形見のジャケットを着て登壇し、「映画を始めた時に、いつか長崎、原爆のことを描きたい、それを通して祖父のことを描きたいと思って、きょうこの場に立つことができています。祖父と一緒に、この場を見届けられればと思って着てきました」と感慨深げに話した。
主演の菊池は、「撮影期間中は、体も心も一度も休まることがなかった。1945年にたどり着けない不安、スミに近づけない感覚にさいなまれた」と回想。その上で、「自分ができる最大限の努力は、当時を想像し続けること。思考を止めないことだった」と振り返った。
原爆で家族を失う役どころの小野は、「役を通して何かの光になれるならと思い、全員が心を一つにして、日々撮影に向き合っていた」という。川床も、「80年前という時間の隔たりを埋めるには、自分一人の想像力だけでは足りなかった。仲間と信頼し合いながら、丁寧に一つ一つのシーンに向き合った」と結束力をアピールした。
5日には実際の被爆者と面会し、菊池は「これまでは爆心地周辺の惨禍ばかりに目を向けていたけれど、被害はあの瞬間だけではなく、今も続いていると気づかされた。平和を願い、考え続ける責任が自分にもあると感じた」と感銘を受けた様子。小野も、「『つらかろうが事実を伝え続けなければならない』という言葉にハッとさせられ、受け取ったものをしっかりと届けていかなければならない」と決意をにじませた。
『長崎-閃光の影で-』は、7月25日に長崎で先行公開。8月1日に全国で封切られる。
記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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