ドウェイン・ジョンソン全50作ランキング【2025年版】ワースト→ベスト完全ガイド
世界的興行スターとして不動の地位を築いたドウェイン・ジョンソン。そのキャリアは成功と挑戦の連続でもあった。初期のアクションから近年の大作まで、出演作をランキング形式で“ドウェイン・ジョンソン像”の変遷としてたどる。
1997〜2000年:原点と改名の時代
ドウェイン・ジョンソンの記念すべき50作目となる出演映画『ザ・スマッシング・マシーン(原題:The Smashing Machine)』は、1997年から2000年にかけての時代を描いている。奇しくも、その期間は「フレックス・カバナ(Flex Kavana)」や「ロッキー・マイビア(Rocky Maivia)」として知られていたジョンソンが、自らを「ザ・ロック(The Rock)」と名乗り始めた時期と重なる。そして2000年、ジョンソンは自伝『The Rock Says…』を出版し、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとなった。
本書は二つの語り口を行き来する。1つは自己を神話化する誇張された『ザ・ロック』としての語り、もう1つは未来のビジネスを冷静に見据える若きジョンソンの声である。
ドウェイン・ジョンソンの名言:野心と自己神話化
「俺たちはザ・ロックをあるレベルにまで押し上げるために努力してきた。そして、最初の映画が良い作品であることを確認したい。ザ・ロックが次のジェームズ・ディーンやケーリー・グラント、ジェームズ・スチュワートになれるかって?そうは思わない。でも、次のアーノルド・シュワルツェネッガーにはなれる……しかも、もっとハンサムにね」とジョンソンは述べている。

25年後:拡張し続ける帝国
それから25年、ジョンソンはいまや超大作映画の主演を務め、自身を題材にしたテレビ番組を製作し、テキーラ(Teremana)や飲料(Zoa)などのブランド、スキンケア製品、決済サービスやカード提携といった事業も展開している。フットボールリーグ(XFL)を共同所有し、なおもプロレスのリングに立ち、巨大レスリング企業の取締役にも名を連ねる。将来的に大統領の可能性が語られることもあるが、ジョンソンにとってそれがどう映るかは別問題だ。

映画俳優としての活動は、ジョンソンの広大な事業ポートフォリオの一部に過ぎないが、それでもジョンソンは映画スターであることに全力を注いでいる。ほぼ毎年、いや、時には毎月のように新作を世に送り出しているのだ。そんなジョンソンの最新作『ザ・スマッシング・マシーン(原題)』は、これまでとは一線を画す作品だ。気鋭の監督がメガホンを取り、アート系スタジオA24が製作した本作は、荒々しく生々しい新たな挑戦である。
変幻自在のスター像:栄光と挫折の繰り返し
ハリウッドに鳴り物入りで登場したジョンソンは、挫折を味わい、再起を図り、時にスケールダウンし、時にスケールアップし、数々のアクション・フランチャイズに参加してきた。また、自らのシリーズを立ち上げようとする挑戦もあった。
ジョンソンは英雄、道化的役柄、悪役と幅広く演じてきた。壮大な叙事詩から繊細なドラマ、あるいは軽妙なコメディに至るまで、多様なジャンルで存在感を示してきた。神格化された複数のキャラクターを演じ、ヘリコプターの操作シーンやアクション、ブランド姿で観客を魅了してきた。

そんなキャリアの新章を刻む『ザ・スマッシング・マシーン(原題)』。果たしてこの作品はジョンソンのフィルモグラフィーの中でどこに位置づけられるだろうか。
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ドウェイン・ジョンソン出演映画ランキング(50位→1位)
50位『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)
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このリストで下位に挙げた本作は、典型的なアクション映画の枠組みを超え、主演であり製作にも関わったジョンソンの多面性が色濃く出た作品でもある。
本作は商業作品でありながら、ジョンソン自身の情熱やこだわりが随所に感じられる。娘への思い、ポリネシアのルーツへの敬意、周囲へのユーモアあふれる愛着──そうした個人的な要素が、シリーズを通して独自の色を加えているのだ。
共演のジェイソン・ステイサムとの掛け合いは見どころの一つだが、作品の設定に疑問を呈する向きもある。『ワイルド・スピード』本編で4作にわたり、「車界のゴッドファーザー」ことドミニク・トレット(演:ヴィン・ディーゼル)の世界にかかわってきた正義漢のホブスが、ここにきて突然「自分も車両犯罪一家の出身」であり「家族経営の整備工場を持つ」と明かすのだ。
設定の類似性は目立ち、観る人によっては既存キャラクターの要素が重なって感じられるかもしれない。
49位『レッド・ワン』(2024年)
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ジョンソンのフィルモグラフィーには、重なり合いながらも区別できる8つの時代が存在する。
最初にあったのは「平凡なアクション映画期」。その後に続いたのが「平凡なファミリー映画期」、別名「スキニー時代(減量期)」である。ちょうど同じ頃、ジョンソンは「コメディ副業期」を始動させ、そこで再び息を吹き返した。そして続くのが「ヒットしたアクション映画期」と「途方もないヒットを記録したファミリー映画期」だ。
DC作品への挑戦は必ずしも順風ではなかったが、ジョンソンは続編やリブートを通じ着実にキャリアを築いてきた。本作もまた、彼の過去の活躍を振り返る一作として、当時の魅力を感じさせる作品である。いま私たちが目にしているのは、まさにこの時期である。『ザ・スマッシング・マシーン(原題)』でさえ、90年代にジョンソンが戦っていた頃のカッコよさを思い出させようとしているのだ。
ただし、ジョンソンのキャリアにおいて評価が割れやすかった時期として「ストリーミング時代」が挙げられる。ジョンソンはこの時期、ストリーミング向けの娯楽作に積極的に出演し、商業的なアピールの強い作品が目立った。
本作は賛否が分かれる点もあり、クリスマス映画としての期待に沿わないと受け取る視聴者もいるだろう。サンタのボディガード役で、ジョンソンは珍しく真面目一辺倒の演技を見せるが、作品としては精彩を欠く部分がある。
48位『レッド・ノーティス』(2021年)

一部ギャグが好みを分けるかもしれないが、軽い娯楽作として受け入れられる余地はある。こちらも筆者の意見とは裏腹に、Netflixオリジナル映画として91日間で2億3090万ビューを記録した人気作品である。
47位『モアナと伝説の海2』(2024年)

劇場公開はされたが、当初の企画形態の変化や期待値とのギャップにより、評価が分かれる続編となった。理由は2つある。印象に残る楽曲が乏しいと感じる場面があり、敵役の設定がやや抽象的に感じられる箇所もある。
しかし筆者の見解とは逆に、『モアナと伝説の海2』は興行的に大きなヒットとなった。

46位『11ミリオン・ジョブ』(2013年)

読者の立場によっては、このランキングを見て筆者の評価に驚くかもしれない。
読み進めると、筆者がジョンソンに対して根底に敬意を持っていることが伝わってくる。筆者は、ジョンソンのすべての創作活動が、彼自身の人生経験と視点を率直に反映したものだと理解しているのだ。筆者はジョンソンのすべての映画を好きというわけではないが、彼が「心から無関心だった」唯一の出演作を見抜いている。それがこの作品だ。
問題を抱えたプロデューサー、ランドール・エメットが関わったDVDスルー作品の端役として出演している。
45位『ゲーム・プラン』(2007年)

ジョンソンのキャリアの方向性が揺れた時期があり、作品の選び方に苦戦した面も見受けられる。
発端は、初期のアクション映画が伸び悩み、ジョンソン自身の「シュワルツェネッガー的キャリア曲線」をなぞるかのように、一気に『キンダガートン・コップ』(1990年)路線へ舵を切ってしまったことにある。
2000年代、ジョンソンのファミリー向け作品は大衆性や自己主張の強い作風に振れる傾向があった。たとえば当時の作品のように、自己中心的なクォーターバックのもとに、元妻と別れ際の勢いで関係を持った「あの夜」から8年後、突然、娘が現れるという話である。
44位『妖精ファイター』(2010年)

ホッケーの乱闘要員に翼が生えるという奇想のアイデアを採り入れた作品だが、家族向けの配慮が感じられる場面もある。

43位『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』(2012年)
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一部の視覚表現に物足りなさがある一方で、ジョンソンの親しみやすい一幕は好感が持てる。ジョンソンが焚き火のそばでウクレレを手に取り、「この素晴らしき世界(原曲名:What a Wonderful World)」を弾き語る場面は愛らしくも感じられる。
42位『ベイウォッチ』(2017年)

シュワルツェネッガーの決めゼリフのように、ジョンソンには観客に印象を残す“あだ名”やキャラクター性がある。しかも共演者に向けて、投げやりな軽さで次々と繰り出すのだ。マイケル・ケインは「カーネル・サンダース」(年寄りだから!)、ジュリー・アンドリュースは「フェアリー・ゴッドマザー」(妖精だから!)、エミリー・ブラントは「パンツ」(ズボンをはいているから!)、ジェイソン・ステイサムは「ハリー・ポッター・ボイス」(英国人だから!)という具合である。
しかし、この「がんばりが空回りした」テレビシリーズ原作映画化における問題点のすべてを理解したければ、ベテランライフガードのジョンソンが新人のザック・エフロンに浴びせる笑えないあだ名の羅列を見ればわかる。あだ名の数々はぜひ映画鑑賞中にチェックしていただきたい。
41位『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023年)

人類学者は、2023年を「カメオ出演のピーク」と呼んでいる。『バービー』(2023年)では多くの有名人が人形として登場し、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023年)ではだれもがスパイダーマンの一員となり、『一流シェフのファミリーレストラン』(2022年~)では全員が主人公カーミー(演:ジェレミー・アレン・ホワイト)のいとこだった。
その年の夏に公開されたシリーズ第10作『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』である。ヴィン・ディーゼルの関係者リストに載っている人物が、終わりの見えない道のりの中で次々と登場していく。
そして、ドウェイン・ジョンソンのエンドロール後のカメオ出演は、なんと彼自身がその出演を祝うために投稿したインスタグラム動画よりも約4分短いのである。
- 40位『ロングショット(原題:Longshot)』(2001年)
- 39位『Why Did I Get Married Too?』(2010年)
- 38位『You Again』(2010年)
- 37位『ジェム&ホログラムス』(2015年)
- 36位『フリー・ガイ』(2021年)
ジョンソンのカメオ出演には、商業的に定着しなかった音楽系プロジェクト、元共演者が監督した評価の分かれるコメディ、ライアン・レイノルズ主演のゲーム映画など、多岐にわたる。
中でも特筆すべきは、タイラー・ペリー監督によるドタバタコメディの続編『Why Did I Get Married Too?』のクライマックスでの登場である。ジョンソンはここで、離婚したばかりの熱血慈善家として現れ、ジャネット・ジャクソン演じるヒロインをコーヒーデートに誘う。短い出番ながら、その瞬間だけは作品が一気に華やぎを取り戻す。
35位『DC がんばれ!スーパーペット』(2022年)
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この「しゃべる動物」アドベンチャーで特記したいのは、エンドロール後のシーンである。そこにはドウェイン・ジョンソンが声を務めた3体のキャラクターのクリプト、ブラックアダム、そしてブラックアダムの犬が登場し、犬がクリプトに「なぜブラックアダムがクールなのか」を説く。ジョンソンが自分で自分を盛り上げているだけと感じる視聴者もいるだろう。
34位『ジャングル・クルーズ』(2021年)
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近年のジョンソンは、何世紀も生きる冴えない男か、巨大な秘密を抱えた詐欺師のどちらかを演じがちである。テーマパークを基にした本作は、やや軽めの作風ながらも、家族や子ども向けに楽しめる要素が散りばめられている作品だ。というのも、ジョンソンが演じる陽気な蒸気船を操る詐欺師は、同時に自殺願望を抱える不死者でもあるのだ。筋は通らない。だが、その種明かしの後に流れるメタリカの曲に乗せた回想シーンは圧巻だ。ひげ面の「呪われたコンキスタドール(征服者)」であるジョンソンが、同じく呪われた征服者たちと長年にわたり剣を交え、最後には彼らを深い穴へと封じ込めるのである。
33位『ファイティング・ファミリー』(2019年)

スポンサー臭の強い「スポンコン(sponcon)」に抵抗がないなら、本作は楽しめるはずだ。フローレンス・ピューが、実在の女子レスラー、サラヤ・ベヴィスを演じるWWE製作の1本である。ジョンソンは「企業版の自分自身」として顔を出すが、途中でザ・ロックへと変身する興味深い場面もある。
レスラーとしてのザ・ロックは、エネルギッシュで個性的。エルヴィス風のものまねやラップのリズム感、独特の口上で観客を楽しませ、子どもたちも喜ぶコミカルな演出が随所に見られる。筆者はレスラー時代のザ・ロックを、いまだにジョンソンの代表的なパフォーマンスと考えている。とはいえ、映画の仕事ではジョンソンが常にそのペルソナを受け入れてきたわけではない。むしろ意図的に避けようとすることすらあるのだ。
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32位『ワイルド・タウン/英雄伝説』(2004年)
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特殊部隊出身の退役軍人が、カジノ汚職から町を救おうとする物語だが、ここでのジョンソンはキャリア初のまったく愛嬌のない演技を見せてしまう。ジョンソンは一流の俳優であることを証明しようと深刻ぶりに囚われ、上半身裸の乱暴者以上であることを必死に示そうとしているのが伝わってくる。だが、その上半身裸の乱暴者が実は抜群に面白かったのだ。
31位『Planet 51(原題)』(2009年)

ドウェイン・ジョンソンの声が、アーノルド・シュワルツェネッガー風の顔立ちで、ライアン・シークレスト風の髪型の白人の宇宙飛行士から聞こえてくるのは奇妙だと思うかもしれない。だが思い出してほしい。2009年は、人々が「ポスト・レイシャル(post-racial)」という言葉を本気で使っていた、実に奇妙な時代だったのである。
30位『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』(2006年)

少年院職員ショーン・ポーターは、在院者たちのためにフットボールチームを立ち上げる。スポーツ映画の典型は漏れなく網羅している。病に倒れる母、チームワーク、決勝戦は前半終了時点で劣勢——チェック、チェック、チェック。
29位『ビー・クール』(2005年)

1999年のエルモア・レナードの小説には、身長約195.6cm、体重約118kgの、頭脳明晰なポリネシア系の黒人ボディガード、エリオット・ウィルヘルムが登場する。エリオットは、眉をクイッと上げる仕草で相手に強い印象を与えるのだ。伝説の作家はプロレスファンだったのだろうか。
映画化にあたっては、そのエリオットが過度に単純化され、目を丸くした無垢キャラへと矮小化されてしまったが、ジョンソンの気合は十分だ。ロレッタ・リンを歌い、『チアーズ!(原題:Bring It On)』(2001年)を引用し、青いパンツ姿で自分の尻を色っぽく叩く。やや大仰ではあるが、ブッシュ政権下でマッチョマンが同性愛者の役をあえて演じたという点で、当時としては大胆な一手であった。
28位『ウィッチマウンテン/地図から消された山』(2009年)

ディズニー製作による『ウィッチ・マウンテン』シリーズの中では4作目にあたる本作だが、注目すべきはドウェイン・ジョンソンが演じるラスベガスのタクシー運転手、ジャック・ブルーノの存在である。ジョンソンにとってこれは初めての負け犬役。薄汚れたモーテルの一室で請求書の山に埋もれ、かつてのNASCARドライバーの夢は、刑事事件の前科という現実にかき消されていく。
ジョンソン自身、このジャックの苛立ちに共感していたのではないだろうか。2000年代、本来ならジョンソンこそがシュワルツェネッガー世代の後継者としてアクション界を担うはずだった。しかしハリウッドは方向転換し、ファンタジーやスーパーヒーロー映画が主流となる。
超大作の主役の座をさらっていったのは、トビー・マグワイア、ヒュー・ジャックマン、オーランド・ブルーム、ヘイデン・クリステンセン、クリスチャン・ベール、シャイア・ラブーフ、さらには『ハリー・ポッター』や『ナルニア国物語』の若手俳優たち、そしてサム・ワーシントンらだった。
10年もの間、ハリウッドの超大作が次々と「かわいい白人の男の子たち」に奪われていく様を見せつけられたなら、だれだって苛立ちを覚えるだろう。
27位『ドゥーム』(2005年)

ジョンソンは、火星の研究施設をゾンビめいたデーモンから救う任務を負う無骨な司令官サージを演じる。だがサージは次第に狂気へと転じ、暴力と恐怖に支配され、古代の変異ウイルスによって皮を剥いだような究極の悪役へと堕ちていくのだ。ジョンソンがまれに見せる制御不能な悪役ぶりは、ビデオゲーム原作映画としては失敗作と評されがちな好みが分かれる本作を、映画史の片隅に残る「珍品」へと押し上げている。
26位『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)
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舞台裏では、ジョンソンはヴィン・ディーゼルとの確執をこじらせて、やがてタイリース・ギブソンをも巻き込む大騒動に発展したという。一方スクリーンでは、脅迫をテコにしたまさかの赤ん坊のサプライズや重要キャラクターの非情な処刑、潜水艦アクションなどは少し荒削りな部分もあるが、全体としてはテンポ良く進むエンタメ作品として楽しめる。
しかしジョンソンは、シリーズ随一のエキセントリックなホブス像で輝きを放つ。女子サッカーチームを率いてハカ※を披露し、刑務所では囚人も看守も片っ端からねじ伏せて脱獄する。その豪快さが作品の数少ない清涼剤になっている。
※ハカ(Haka)とは、ニュージーランドの先住民族・マオリ族の伝統的な踊り(儀礼舞)のこと。
25位『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013年)
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後に『ウィキッド ふたりの魔女』を手がけるジョン・M・チュウ監督は、この「おもちゃ箱」の続編で見事な肩すかしを決めている。宣材では、装甲をまとい銃を撃ちまくるロードブロック役のドウェイン・ジョンソンを前面に押し出す。しかし本作が本当に関心を寄せるのは、イ・ビョンホン演じるクールな悪の忍者ストームシャドーの道義的な罪の償い。そして常軌を逸するほどに刻まれた腹筋である。
24位『スカイスクレイパー』(2018年)
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世界一の超高層ビルが炎上。家族をデンマーク人テロリストから守るため、片脚のセキュリティコンサルタント、ウィル・ソーヤーは燃えさかる巨塔をよじ登らねばならないのである。一番の見どころは、長身同士の激突となるパブロ・シュレイバーとの部屋をぶち壊すバトルだ。義足を引き剥がされた瞬間、ドウェイン・ジョンソンは、片脚で跳ねるのである。
23位『ゲット スマート』(2008年)
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夏の大ヒット作として話題になった本作は、今見ると当時の流行や演出に時代を感じる部分もあるが、それもまた映画の魅力の一部といえる。
クールなスパイを体現するドウェイン・ジョンソンは、スティーブ・カレル演じるオタク系スパイから憧れのまなざしを向けられる存在として機能し、ここでジョンソンは新たな持ち味を確立する。主人公が「こうなりたい」と願う、助演俳優としての路線である。
22位『スコーピオン・キング』(2002年)
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滅びた部族の唯一の生存者として、一家を虐殺した暴君を追う。ジョンソンの初主演作は、1982年の『コナン・ザ・グレート』でシュワルツェネッガーが見せた出世作のコピーである。だが、あちらがR指定ゆえの豪壮さに酔いしれていたのに対し、PG-13の本作は主人公を「高潔だが退屈」な男へと無菌化してしまう。むしろ快楽主義の族長として「いい喧嘩」を愛する故マイケル・クラーク・ダンカンのほうが、ジョンソン本人よりもよほどザ・ロックらしく映るのだ。

21位『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)
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詳しくは20位『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(2019年)で解説。
20位『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(2019年)
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『ジュマンジ』シリーズは、B級インディ・ジョーンズ風の冒険感とユーモアを融合させたフランチャイズ作品で、興行的にも十分な存在感を示した。仕上がりは終始「可もなく不可もなし」である。それでもジョンソンがこのシリーズを愛しているのは明らかだ。なにしろ続編では約1時間にわたり、(実に見事な)ダニー・デヴィート芸を全力で演じ切っているのだから。
19位『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(2001年)

「半人半サソリ」のCG表現も目を引くが、ジョンソンはこの続編ではプロローグ部分から登場し、物語に新しい息吹を吹き込んでいる。ジョンソンの銀幕デビューがあれだけ大げさに宣伝されたことを思えば、少し看板に偽りありと言える。とはいえ、公平に言えばそのプロローグは見事だ。世界征服を狙う戦士が呪いにより復讐の奈落へ落ちていく。それだけでひとつの叙事詩が完結しており、ジョンソンがその後自らに許してこなかったどのキャラクターアークよりも荒々しい。
18位『ポリス・バカデミー/マイアミ危機連発!』(2007年)

ドウェイン・ジョンソンについての大胆な仮説だ。ジョンソンは主演よりも助演のほうが冴える。証拠として、リック“コンドル”・スミスを挙げる。SWATの精鋭としてこの陽気なバディコメディに一瞬だけ登場し、自らの手榴弾で自爆して退場する。それだけで強烈な爪痕を残すのだ。ジョンソンのベストな役どころの多くは、この“コンドル”の延長線上にある。つまり、「ロック的」な自信過剰を全開にし、自分を盛り上げすぎた末に自滅する道化を、見事に演じ切るタイプである。
17位『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』(2003年)

初期アクション期のベストと評すべき1本だ。ジョンソンは銃嫌いの回収屋として裏社会を渡り歩きつつ、いつか自分のレストランを開くことを夢見る男を演じる。アーノルド・シュワルツェネッガー本人によるバトンタッチ的カメオも用意され、往年の香りが濃厚だ。往年のテイストを愛するザ・ロック信者の中には本作を偏愛する者も少なくないが、饒舌な相棒ショーン・ウィリアム・スコットとジョンソンが同じ映画にいるように見えない瞬間があるのも事実である。
16位『オーバードライヴ』(2013年)

ジョンソンとコンビ(犬猿の仲)を組まされ、最高の化学反応を見せたのはジョン・バーンサルである。麻薬カルテルを描く堅実なスリラーの中で、バーンサルは緊張感を背負った元薬物中毒者を演じる。本作では、ジョンソンは建設会社の社長で、息子の刑期を減らすためにDEAの情報提供者となる男である。バーンサルは、そんな彼を裏社会へと導く案内役である。
15位『セントラル・インテリジェンス』(2016年)
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ドウェイン・ジョンソンについてのもう1つの大胆な仮説。ジョンソンは退屈な相方ではあるが、コメディの推進力としては驚異的だ。典型的なおしゃべりキャラのケヴィン・ハートを戸惑う普通の男にし、対するジョンソンは「はみ出し者からスパイへ転身した男」に扮する。危険な逃亡者かもしれず、同時に完全無欠のイカれ野郎でもあ。そのギャップが笑いの駆動装置としてフル回転するのだ。
14位『カリフォルニア・ダウン』(2015年)
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離婚届に署名寸前の救難パイロット。その瞬間、超巨大地震がカリフォルニアを引き裂く。本作は容赦のないディザスター・ポルノであり、唯一の欠点は、毎年4DXで再上映されないことくらいだ。
13位『サウスランド・テイルズ』(2006年)

本作は、評価が真っ二つに割れる作品である。懐疑派の立場からも惚れ込むのは、ドウェイン・ジョンソン演じるボクサー・サンタロスだ(名前からして強烈である)。記憶を失った映画スターが、複数の陰謀に絡め取られていく。ジョンソンは、尊大な虚勢と滑稽なほどの臆病さ、そして救世主のような確信を同時にまとい、異様な魅力を放つ。
ジョンソンはしばしば共演女優と化学反応が薄い。礼儀正しく「良き夫」感が強すぎるせいかもしれないのだが、サラ・ミシェル・ゲラーとマンディ・ムーアとのダンスは本当にセクシーだ。しかも流れるのは、あのモービーの楽曲である。
12位『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018年)
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反密猟部隊で密猟者を取り締まっていた過去を持つ世慣れた霊長類学者が、愛する巨大ゴリラを守るために立ち上がる。相手は政府、悪徳企業、そして巨大オオカミと巨大ワニである。正真正銘の怪獣ものの痛快編だ。ところで、キッド・カディはゴジラ映画のために曲を書いたことがあるのだろうか。
11位『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)

通説では、ポール・ウォーカー不在以降、このシリーズは本調子を取り戻せていないとされる。だが真の問題は、この作品から始まる。自動車泥棒チームがルーク・ホブスと手を組み、カー・テロ集団に立ち向かうのだ。もともと『ワイルド・スピード』は、法と秩序という「まっとうな世界」の外で(あるいはそれに逆らって)生きるクールな犯罪者の物語だった。
ところが第6作以降、かつての反逆者たちは政府公認のヒーローへと変わり、回を重ねるごとに平凡になっていく。とはいえ、ジャスティン・リン監督は見せ方が巧みだ。戦車バトルや「世界最長の滑走路」でスケールを一気に引き上げてみせるのである。
10位『ブラックアダム』(2022年)

スーパーヒーロー好きのスケーター少年と、反骨の考古学者の母が、古代の超人に助けられて、架空の中東の国を狙う犯罪組織の侵略を撃退する物語である。ジャウマ・コレット=セラ監督はポップ・パンク的な派手さを全開にし、黒ずくめのアンチヒーローに、PG-13としては異例のR級バイオレンスをやらせてみせる。ジャスティス・ソサエティの面々は魅力的で、悪役の「死んで地獄へ行く」という無茶な作戦も楽しい。
しかし最大の難点はジョンソンの演技だ。ブラックアダムが何を望んでいるのかが終始あいまいで、しまいには「再び眠る」と決める展開も腑に落ちない。ジョンソンは巨大フランチャイズの思惑に絡まり、征服者なのか、挑発されて戦う守護者なのか、あるいは悲しい父親なのか、そのキャラ像を最後まで定め切れなかったように見えてしまうのである。
9位『ビヨンド・ザ・マット』(2000年)

本記事は劇映画49本にこのプロレス・ドキュメンタリー1本を加え、合計50本としている。
監督のバリー・ブラウスタインは、でジョンソンに多くの尺を割いてはいない(もっとも、ポスターには当然のようにジョンソンの顔が躍る)。それでも本作は、プロレス界とジョンソン本人が、ニッチな嗜好から大衆生活を支配する現実へと変わる「その直前」を切り取った、見事な1作である。
8位『ヘラクレス』(2014年)

私見として率直に言えば、いまでも好きだと言えるブレット・ラトナー作品はこれだけだ。90分のコンパクトなバトル活劇で、『300 <スリーハンドレッド>』(2006年)以降の“ギリシャ神話×筋肉”の興奮と、原作コミックの遊び心ある脱構築をうまく掛け合わせている。
ジョンソン演じるヘラクレスは、少し詐欺師めいた男だ。戦士仲間の大きな助けを借りて、自分の伝説を膨らませ続けるのである。どこか告白的なビーフケーキ映画であり、「伝説の英雄ですら、スタントパフォーマーと優れた広報に支えられていた」という主張でもある。
7位『ザ・スマッシング・マシーン(原題)』(2025年)

正直、全面グリーンスクリーンなしのドウェイン・ジョンソンを見られるだけで心地よい。顔に特殊メイクを施していても、伝記映画での演技は無駄がそぎ落とされ、原点回帰の佇まいだ。ジョンソンは、MMAの先駆者で鎮痛剤依存のマーク・ケアーとして、暴力的な仕事が心身に与える代償をきちんと見せ切る。
元のドキュメンタリー『ザ・スマッシング・マシーン(原題)』を見れば、ベニー・サフディ監督作品の多くが「場面ごとの再現」でできていることに驚くはずだ。しかも、50代のジョンソンが30代のカーを演じるため、虚栄的な企画に見えるのではないかという疑念も拭えない。
それでも本作を推すのは、普段は見えにくいジョンソンの資質をくっきりと浮かび上がらせ、アスリート(そしてレスラー/俳優/プロデューサー/起業家)を肉体の限界の先へと駆り立てる、神経質なまでのコントロール欲を的確に描き出しているからである。
6位『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)
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ザ・ロックはプロレス時代に名ゼリフを量産してきたが、映画でジョンソンに決めゼリフが本当に与えられたのは1作だけだ。腕のギプスを筋肉でぶち破る直前、愛娘に向かってルーク・ホブスがつぶやく「Daddy’s gotta go to work.(パパは仕事に行かなきゃならない)」である。
度重なる脚本のリライトと追加撮影の末、このドタバタでありながら温かみのあるシリーズ作で、ジョンソンは大半を病院のベッドで過ごすことになったが、その一言だけで場面を食ってしまうのだ。
5位『ファースター 怒りの銃弾』(2010年)

刑務所を出たジョンソンは砂漠を走り抜け、ジャンクヤードで車を見つけ、その車内で銃を手に入れ、オフィスビルに乗りつけて男の額を撃ち抜く。これらはすべてオープニングクレジット内の出来事だ。
本作は、謎のドライバー(演:ジョンソン)と、ビリー・ボブ・ソーントン演じるヘロイン常用の刑事、そして狂気の都会派ヒットマンをぶつけ合う、ダークでところどころ可笑しみのある復讐劇である。
ストリップクラブのトイレでの凶悪な殴り合いが似合う、ジョンソンが一度だけ挑んだタイプの小粒な一編だ。だがこの隠れた佳作こそ、ジョンソンが2010年代のトレードマークともいえるスタイルを確立する契機にもなった。
剃り上げた頭、血管の浮いた腕にぴたりと張りつくタイトなシャツ、汗にじむ激昂を一点に凝らした鋭い睨み。やがてドミニク・トレットの顔に向けて放つあの視線である。

4位『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(2013年)

マイケル・ベイ監督が手がけた、実話ベースのドタバタ系クライム・コメディである。マイアミのけばけばしいパステルカラーに、血の赤とドル札のネオングリーンが弾ける映像は痛快だ。主役のマーク・ウォールバーグは、強盗計画を立てつつ、否応なく誘拐・拷問・殺人へ転げ落ちていく、筋肉自慢の自己陶酔型ボディビルダーを演じる。
“回心”した前科者としてコカインに堕ちていく男を演じるドウェイン・ジョンソンは、フロリダ的な男らしさ、筋肉、宗教、ドラッグ、タイムシェア広告みたいな座右の銘、南部流の愛想をまるごと体現してみせる。さらにベイ監督は、ジョンソンにキャリア最高のアクション場面を用意する。強盗で始まり、最後は「足の指が1本なくなる」落とし前で終わる。
3位『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(2010年)

本作はアクション・コメディの傑作だ。ジョンソンとサミュエル・L・ジャクソンは「究極のバディ」として鮮烈に登場するが、出番は長くない。物語を実際に動かすのは、一見ぱっとしないウィル・フェレルとマーク・ウォールバーグの凸凹コンビである。
それでも本作は、手続き上の細部やホワイトカラー犯罪の立件をめぐって笑わせる痛快作だ。これはジョンソンのコメディキャリアの頂点であり、映画の中で「ザ・ロック」の人格を完全に受け入れて爆発させた、唯一の瞬間でもある。
2位『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)
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ドウェイン・ジョンソンについての最後の大胆仮説。ジョンソンはヒーローよりも悪役のほうがうまい。だからホブスは本作で最強の敵役として輝く。作中の約3分の2までは敵であるにもかかわらず。反逆者のトレット一家を追ってブラジルに飛んだホブスは、屋根の上を「アクロバティックなバッファロー」のようにドミニク・トレットを追い回す。
プロレスには「プット・オーバー」という概念がある。大勝負で自分が負けることで、相手をより強く見せることだ。本作でジョンソンはヴィン・ディーゼルを立てた。大乱闘に敗れ、さらに不意の同盟を結ぶ。
「I’ll ride with you, Toretto(お前と一緒に行く、トレット)」
同時に、この作品はジョンソン自身も引き立てた。キャリア最大級の興収を手にし、ハリウッドの超大作の版図に、ついに確かな足場を築いたのだ。
1位『モアナと伝説の海』(2016年)
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筆者が選ぶドウェイン・ジョンソンの出演映画ランキング1位がアニメーションとは、少し意外に聞こえるかもしれない。映画『モアナと伝説の海』は、ジョンソンのアクション超大作が当たり始めた矢先にディズニーへ戻る大胆な一手で、その賭けは見事に成功した。
半神マウイは、見方によっては「肩幅を誇るだけ」のスタント配役に見えたかもしれない。だが、マウイの最大の強みは「力」そのものではない。自在に姿を変えるシェイプシフターであることだ。空を駆け、海を泳ぎ、小さくも大きくもなれる。解決する問題と同じくらい新たな問題も起こすマウイの主人公症候群を治す薬は、真の英雄たるモアナの旅に身を委ねること。マウイは文字どおり「モアナ、一緒に行く」とは言わないが、自我を手放すというメッセージはしっかり響く。
もちろん変身は時に外れる。2本脚のサメになったり、『妖精ファイター』(2010年)のような方向へ転ぶこともある。それでも、どんな姿に変わってもジョンソンそのものであり続けるのだ。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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