米NY次期市長にゾーラン・マムダニが当選 ――トランプ再登場下で生まれた“象徴的勝利”とハリウッドの余波

米NY次期市長に決定したゾーラン・マムダニ 写真:Stephanie Keith/Getty Images
米NY次期市長に決定したゾーラン・マムダニ 写真:Stephanie Keith/Getty Images
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米ニューヨーク市長選で、民主党のゾーラン・マムダニが勝利した。トランプ大統領(第2期)という保守的な政治環境が再び強まる中で、リベラル派が大規模な選挙で成果を挙げたのは久しぶりのことだ。その意味で今回の当選は、単なる地方選挙にとどまらず、アメリカ政治と文化の潮目を象徴する出来事となっている。

ゾーラン・マムダニはクイーンズを地盤とする州議会議員で、2025年の民主党予備選で一気に存在感を高めた新鋭。映画監督ミーラー・ナイールの息子という経歴が注目を集め、若年層や多様な移民コミュニティの支持を着実に拡大した。開票が進むにつれ優勢が明らかとなり、現職や保守系候補ではなく、アンドリュー・クオモを抑えて当選が確定した。街中での対話、動画を中心としたSNS戦略、そしてポップカルチャーを巧みに取り入れた選挙広告が有権者の心をつかんだと評価されている。

勝利演説でマムダニは、ドナルド・トランプ大統領へ向けるかのように「ドナルド・トランプ、聞こえていますね? 音量を上げろ」と語りかけた。移民としての自身のルーツを強調し、反移民政策と断固として対峙する姿勢を示したことで、これからの政権と市政の関係には激しい緊張感が漂うことになるだろう。

ハリウッドでも、この勝利は大きな話題となった。スパイク・リーボーウェン・ヤンシンシア・ニクソンエミリー・ラタコウスキールピタ・ニョンゴらが支持を表明し、イラナ・グレイザーマーク・ラファロは電話による支持呼びかけに参加した。一方で、イスラエルとパレスチナに関するマムダニの発言は、業界内でも意見が分かれている。トランプ政権1期目ほどセレブが政治に声を上げなくなった現在、ハリウッドが再び“政治的連帯”を取り戻すのか、それとも静観を続けるのかは定まっていない。

同日、カリフォルニア州では選挙区再編案が賛成多数で可決された。共和党州で行われているゲリマンダリング(特定の政党や候補者に有利になるような区割り)に対抗するための動きと位置付けられ、ギャビン・ニューサム知事にとっては将来の大統領選を見据える上で重要な成果ともいえる。アーノルド・シュワルツェネッガー元知事はこれに反対を表明したが、トランプ支持率が低迷する中で世論は改革に傾いた。

また、ニュージャージー州知事選では民主党候補のミッキー・シェリルが勝利し、映画・ドラマ制作拠点としての同州の成長が今後も継続する見通しとなった。Netflixやパラマウントによる大規模スタジオの建設が進み、旧軍施設フォート・モンマスの再開発では莫大な予算が投じられている。産業団体は税額控除やデジタルメディア支援策が維持されるとみており、制作の流れが加速する可能性が高い。

今回の選挙結果は、ニューヨーク、カリフォルニア、ニュージャージーの3つの地域で、それぞれ異なる形で政治と文化が動き始めていることを示している。マムダニの当選は象徴的な出来事として語り継がれる可能性があり、トランプとアメリカの都市政治、そしてハリウッドの立ち位置はここから再編されていくだろう。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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