映画『シンプル・アクシデント/偶然』日本公開決定 ―― 人違いか、それとも復讐相手か?巨匠ジャファル・パナヒが描く前代未聞の復讐劇
イラン映画界の巨匠ジャファル・パナヒ監督の最新作『シンプル・アクシデント/偶然』が、2026年5月8日より日本で公開されることが決定。このたび、日本公開に向けて緊迫感あふれるシーン写真9点も一挙に解禁された。
▼カンヌ最高賞を受賞!『シンプル・アクシデント/偶然』

第78回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、世界中の映画ファンを震撼させたサスペンス・スリラー『シンプル・アクシデント/偶然』。本作の受賞により、ジャファル・パナヒ監督はヴェネツィア、ベルリン、カンヌの世界3大映画祭すべての最高賞を制覇するという、映画史上4人目となる歴史的な快挙を達成した。
長年にわたり母国イランで映画制作や海外渡航の禁止処分を受けていた監督が、制限解除後に初めて着手した本作で世界最高峰の評価を得たことは、映画界における奇跡的な帰還として大きな注目を集めている。
▼『シンプル・アクシデント/偶然』あらすじ

物語は、かつて不当に投獄されたワヒドが、自分を拷問した看守らしき男に偶然出会う場面から動き出す。男を拘束し荒野へと連れ去るワヒドだったが、相手が人違いである可能性が浮上し、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
監督自身が2度の投獄生活で耳にした受刑者たちのリアルな声を反映させた『シンプル・アクシデント/偶然』は、復讐という重厚なテーマを扱いながらも、随所にパナヒ流の鋭いユーモアが散りばめられている。観客はノンストップで渦巻く騒動の連鎖に巻き込まれ、最後までスクリーンから目を離すことができないだろう。
▼アカデミー賞フランス代表選出と揺れ動く監督の現状

『シンプル・アクシデント/偶然』は、第98回アカデミー賞国際長編映画賞のフランス代表に選出され、すでにショートリストにも名を連ねている。オスカー主要部門へのノミネートも期待される一方で、パナヒ監督を取り巻く状況は依然として厳しい。
2025年12月には、再びイスラム革命裁判所から懲役刑と渡航禁止の判決を受けるなど、弾圧の影が忍び寄っている。政治的逆境の中で生み出されたこの「魂の叫び」とも言える傑作が、賞レースにどう絡んでいくのか注目だ。
映画『シンプル・アクシデント/偶然』は、2026年5月8日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開。
■『シンプル・アクシデント/偶然』場面写真
<映画『シンプル・アクシデント/偶然』作品情報>
- 監督・脚本:ジャファル・パナヒ 『白い風船』『チャドルに生きる』『人生タクシー』『熊は、いない』
- 出演:ワヒド・モバシェリ、マルヤム・アフシャリ、エブラヒム・アジジ、ハディス・パクバテン、マジッド・パナヒ、モハマッド・アリ・エリヤ
- 2025年/フランス・イラン・ルクセンブルグ/ペルシャ語/103 分/日本語字幕:大⻄公子/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン
- 配給:セテラ・インターナショナル/協力:ユニフランス ©LesFilmsPelleas
記事/和田 萌

【関連記事】
- 【カンヌ映画祭2025】パルムドールにイランのジャファル・パナヒ監督作『シンプル・アクシデント』
- ゴールデングローブ賞2026結果分析 ――『ハムネット』最高賞の衝撃と明暗分かれた有力作、オスカー戦線はどう動いたか
- 政治的分断に揺れる映画界――業界人が映画の“現在地”と“危機”を語る【第21回チューリッヒ映画祭】
- 【ハリウッドの政治映画20選】衝撃作『ゲット・アウト』ほか、権力やアメリカ政治を問う傑作を厳選!
- 史上最高の反ファシズム映画20選…『紅の豚』、チャップリンのあの名作も










