宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」の“宣伝しない宣伝”に鈴木敏夫氏「信じてやっている」
「金曜ロードショーとジブリ展」(6月29日~9月24日)の開会セレモニーが28日、会場となる東京・天王洲の寺田倉庫で行われ、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏らが出席した。
金曜ロードショーは、1985年に日本テレビ系でスタート。同年にスタジオジブリが設立され、「風の谷のナウシカ」(1984)が特別番組としてテレビ初放送された年でもある。同枠ではこれまでジブリ作品を203回放送し、鈴木氏も「そんなにやってんだ」と驚きを隠さなかった。
21年「アーヤと魔女」まで、ほぼ全作品の絵コンテを展示するほか、「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」と題した腐海をイメージした王蟲(オーム)や大王ヤンマなどを再現。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」のポスターと同じ構図で写真が撮れるスタジオなど多彩な構成で、鈴木氏も「これまでの展覧会はジブリが中心だったが、今回は日本テレビさんが主体で参加型のエンタテインメントに徹している。やる人が変わると、こうも変わるものかと感慨深い」と感心していた。
宮崎駿監督の10年ぶりとなる新作「君たちはどう生きるか」の公開が7月14日に迫ったが、昨年12月にポスターが公開された以外は、内容や声優など作品の詳細は一切明かされていない。鈴木氏は「僕自身これまで、かなりの宣伝をしてきた中で頭からケツまで情報を出すとお客さんの興味を削いでいる気がしていた。今回も最初は通り一遍の宣伝をしようと思ったが、いろいろ考えて一切の情報がないことがエンタテインメントになるのではと思った」と、“宣伝をしない宣伝”の意図を説明した。
今後も劇場での予告編やテレビスポット、広告も全く流さずに初日を迎える異例の戦略。宮崎監督からは「鈴木さんを信じるけれど、宣伝がなくて大丈夫か心配になってきた」と言われたそうだが、鈴木氏自身も初めてのことで「うまくいくかどうかは分からないが、信じてやっています。どうなるかを感じてみたい」と自信ありげだった。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元