スタジオポノック最新長編アニメ「屋根裏のラジャー」、「苦難の連続」乗り越えまもなく完成

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スタジオポノックの最新長編アニメーション映画「屋根裏のラジャー」の製作報告会見が21日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた。百瀬義行監督、西村義明プロデューサーと、この日発表された声優の中から寺田心、安藤サクラ、イッセー尾形が出席した。

ポノックの長編アニメは、2017年に公開され興行収入32億9000万円を記録した「メアリと魔女の花」に続く2作目。当初は昨年夏に公開予定だったが、コロナ禍による製作の遅れとクオリティを維持する必要性などから昨年1月に公開延期を発表した。

西村氏は、「自分たちの身の丈に合わない、背伸びをしすぎた映画作りをせざるをえなくなった。申し訳ありません」と謝罪。その大きな要因として挙げたのが、手描きのアニメーション表現のために採り入れた新たな技術。「フランスのアニメーターが使っている技術があれば、アニメを一歩前に進められると思ったが、製作を続行した場合に人件費もかかるし相当な金銭的な負担もあった。経営的な挑戦もあって苦難の連続だった」と明かした。

百瀬監督も「絵のスタイルもキャラクターも、一つの作業を挟むことで肌に質感を与えるなど今までと違ったテーストの絵になっている。そのためにスケジュールを延ばしてもらった」と説明。現段階で、ほぼ完成に近い形にまでこぎつけ「より洗練された絵作りになっている。メインのスタッフに効果音、音楽などが入ったものを見てもらったが、皆が手応えを感じているようで心強かった。ホッとしている部分もある」と素直な心情を吐露した。

英国の詩人で作家のA.F.ハロルド「The Imaginary」(邦題「ぼくが消えないうちに」)が原作。人間の想像が生み出したイマジナリと呼ばれる少年ラジャーが、忘れられると存在が消えてしまう運命に立ち向かう冒険を描く。

寺田はオーディションでラジャー役を勝ち取り、「1枚の絵とセリフにふれ、イマジナリの世界に凄くひかれた。ほかの誰かではなく、自分が絶対に演じたいと思った。念願の役なので、決まった時は男ですけれど泣きそうになった」と述懐。アニメのアフレコは初体験で、声変わりに差し掛かっていたため一部プレスコも採用されたが「刺激物を控えたり、白湯を飲んだり、大きな声を出さないなどのどの調子を整えた。僕の中にラジャーが入って、冒険をしている感覚だった。ひたすら楽しかった」とうれしそうに振り返った。

ラジャーを生み出す少女アマンダの母リジー役の安藤は、「私も絶対にリジーをやりたいと思った。原作を娘に読み聞かせしたらゲラゲラ笑って喜んでいたので、早く映画を見せたい」と満足げ。ラジャーを追う謎の男ミスター・バンティング役の尾形も、「台本を読んでもよく分からなかったが、絵を見たら凄く親近感が湧いて私以外にはない。このままいけば何とかなると思った」と話し、笑いを誘った。

そのほかの声優として鈴木梨央、仲里依紗、山田孝之、高畑淳子が出演。「屋根裏のラジャー」は12月15日に全国で公開される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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