第36回東京国際映画祭の全容発表、安藤裕康チェアマン「さらなる発展目指す」

第36回東京国際映画祭(10月23日~11月1日)のラインナップが27日、都内で発表された。

コンペティション部門には15作品が選出され、日本映画では岸善幸監督の「正欲」、小辻陽平監督の「曖昧な楽園」、富名哲也監督の「わたくしどもは。」の3本が入った。中国映画も3本が選ばれており、市山尚三プログラミングディレクターは「国のバランスより作品のクオリティを重視した」と説明した。審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督をはじめ、アルベルト・セラ監督、プロデューサーの國實瑞恵さん、プロデューサーのチャン・ティ・ピック・ゴックさん、女優のチャオ・タオが審査委員を務める。

会見には小辻、富名両監督が出席。共に初の参加で、小辻監督は「毎年プログラムはチェックしていて、雲の上の存在の素晴らしい映画祭だと思っていた。この作品をより多くの方に知ってもらいたい」と抱負。富名監督も、「妻がプロデューサーの小さな作品ですが、この機会にワールドプレミアで見てもらえるのはうれしい」と話した。

アジアの新鋭で競う「アジアの未来」部門でも10本中、木村聡志監督の「違う惑星の変な恋人」、小路紘史監督の「辰巳」が選ばれた。ほかに世界の話題の最新作を集めた「ガラ・セレクションや日本映画の現在地を伝える「Nippon Cinema Now」など上映作品は計219本で、昨年より45本も増えた。

フェスティバル・ナビゲーターの安藤桃子監督は、「映画は技術的に思いもよらない発展を遂げているし、上映の仕方もさまざま。だからこそ変わらない本質が一層際立ってくると思う。それは映画という言語の根幹は視点であるということ。世界中の視点は変わらない。小津安二郎監督の特集は一つの象徴ではないかと思う」と持論を展開した。

海外からも監督や俳優はもちろん、ジャーナリストやバイヤーなど映画関係者が600人以上訪れる見込み。安藤裕康チェアマンは、「コロナが5類となり制約も解けたので、映画祭のさらなる飛躍を目指したい」と意欲を語った。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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