『ゴジラ-1.0』レビュー: 恐怖と感動が共存する怪獣映画

『ゴジラ-1.0』写真: ©TOHO

70年の時を経て、日本で愛されてきた怪獣が今まで以上に咆哮している。きっと、過去最高のゴジラ映画の1つだろう。『シン・ゴジラ』から7年、壮大なスリルと本物の感情が混ざり合う『ゴジラ-1.0』は、アメリカが制作したシリーズに恥をかかせた。おそらく、エンディングで胸がいっぱいになる唯一のゴジラ映画だ。

山崎貴監督が脚本・VFXも兼任する『ゴジラ-1.0』は、本質的にリブート作品だ。時は、第二次世界大戦末期、特攻隊員・浩一(神木隆之介)はエンジントラブルを装い、基地に着陸する。しかし、到着後まもなくゴジラが出現し、浩一と整備兵(青木崇高)以外は全員死亡してしまう。

数か月後、東京に戻った浩一は両親が亡くなり、家を失ったことを知る。やがて、赤ん坊を抱える典子(浜辺美波)と友人になり、隣人(安藤サクラ)に助けられながら共同生活を開始する。浩一は新たな幸せを感じる一方で、使命を放棄したことや、生存者としての罪悪感に苦しめられていた。

その間、米軍の核実験が原因で、ゴジラはさらに強大な力を持つようになっていた。そして、本島にたどり着いたゴジラは銀座を壊滅させてしまう。浩一はゴジラを倒すことを決意し、スキルを生かして科学者チームの作戦に協力していく。

長い間、ゴジラは日本が経験した核の惨禍の象徴とみなされており、本作でもそのテーマは明らかだ。しかし、浩一のトラウマを描くことで、『ゴジラ-1.0』にはよりパーソナルな要素が加わっている。ゴジラ退治こそが唯一の罪滅ぼしだと考える故に、浩一は一度は逃れた特攻に近いものに進んで参加するのだ。

さらに、優れた人間ドラマに加え、壮大なアクションシーンも盛りだくさんだ。ゴジラがジョーズ並みの獰猛さで船を追いかけるシークエンスは、非常に興奮する。報道によると、製作費はわずか1500万ドルだが、ゴジラが暴れまわるシーンの出来栄えは最高に素晴らしい。同様の作品に10倍の予算を費やすことを何とも思わないハリウッドの大手スタジオは、即刻日本に行って学習するべきだ。

「ゴジラが激怒している!」といったセリフは(翻訳されたものだが)、ぎこちなさが感じられた。しかしながら、ゴジラの到来を水面に浮かぶ死んだ魚で予感させるなど、全体を通して細部の描写が光っている。山崎監督は、純粋な恐怖と感動が入り混じるゴジラ映画を見事に作り上げた。丁寧に愛情を込めて作られたゴジラは、今後70年間も東京で暴れまわることになるだろう。

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

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