『バービー』大ヒットも…2023年に女性が主役を務めた映画は30%、過去10年で最低
映画『バービー』が大ヒットを収めた2023年。しかし、最新の調査結果で、ハリウッド業界は現在もなお、主に男性主人公の映画に投資していることが判明した。
南カリフォルニア大学(USC)のアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブ(AI2)によると、2023年公開のトップ100作品のうち、女性主人公/準主役を据えた映画が占める割合はわずか30%だったという(過去10年で最低)。22年の44%から、大きく落ち込む結果となった。
「女性にとって悲惨な後退」
AI2の創設者ステイシー・L・スミス氏は声明で、「映画界の女性にとっては、悲惨な後退です」と述べた。
「この数字は、業界に身を置く女性に与えられている機会も象徴しています…2023年の衰退は、業界の失態です」
45歳以上の女性主人公は3本
さらに、45歳以上の女性を主役/準主役に迎えた映画は、『コカイン・ベア』、『My Big Fat Greek Wedding 3(原題)』、そして『マジック・マイク ラストダンス』の3本のみだった(同年齢層の男性の場合は32本で、うち24本が白人男性)。
全体としては、有色人種の俳優が主役を務めた作品は38本(黒人: 15本、多民族/その他: 10本、アジア人: 9本、ヒスパニック/ラテン系: 3本、中東/北アフリカ: 1本)で、22年の31本から上昇した。中でも、有色人種の女性が主人公の映画は14本にとどまった。
主執筆者のキャサリン・ネフ氏は声明で、「映画業界は、女性に対して消極的であり続けています。これは有色人種の若い女性だけでなく、中年以上の過小評価されている女性にも当てはまります」と伝えた。
増加を推進…小規模スタジオの存在
大手のなかでは、ディズニーが女性/有色人種の主人公の映画を最も多く手がけた。またディズニーとワーナーは、有色人種の主人公が公開作品の38.5%を占めていたが、小規模配給会社(A24など)が製作した作品の半数以上は、歴史的に排除されてきたバックグラウンドを持つ人物を主役にしていた。
「注目すべきなのは、過小評価グループに属する主人公の増加が、歴史あるスタジオによって推進されているわけではないという点です」とスミスは語る。
「2023年にみられた上昇は、小規模の配給会社や海外作品のおかげです。大手スタジオは今年、G・フロイド殺人事件後の取り組みを反映すべきでしたが、インクルージョンの拡大を後押しする立場にはありませんでした」
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌
【関連記事】
- 全世界のテレビ業界で最も影響力のある女性35人 – THR Japan (hollywoodreporter.jp)
- 4人のハリウッド業界人が“ポスト・ストライキ”時代を予想: 今後、何が待ち受けているのか? – THR Japan (hollywoodreporter.jp)