永瀬正敏『いきもののきろく』11年ぶり再公開に感無量「感謝しかない」
俳優の永瀬正敏が原案・主演の映画『いきもののきろく』の初日舞台挨拶が7日、東京・ テアトル新宿で行われた。
2013年、永瀬が『戦争と一人の女』の舞台挨拶で名古屋のシネマスコーレを訪れた際、 支配人の木全純治氏が名古屋市を流れる中川運河を舞台にした短編映画の監督を依頼したのがきっかけだった。
永瀬は、監督は断ったものの出演は快諾しそのまま現地をロケハン。自身が東日本大震災の被災地を慰問した時に、被災者から聞いて深く心に刺さった「皆は瓦礫(がれき)って言うけれど、自分たちには生活の一部だったんだよ」という言葉を胸にプロットを執筆。 これを井上淳一監督が脚本にした。
当時は短編映画を映画館で上映する慣習がなく、14年にシネマスコーレで公開されたのみ。だが昨年、井上監督の師に当たる若松孝二監督の追悼イベントで上映したところ再注目され、11年ぶりの劇場公開にこぎつけた。
永瀬は、満席となる出足に「監督の尽力、開けていただいたテアトル新宿さん、そして何より劇場に来ていただいた皆さんに感謝しかありません」と感慨深げ。撮影当時は大学生だったヒロインのミズモトカナコも、「芝居の『し』の字も分からなかった小娘だったけれど、スタッフの皆さんに温かくフォローしていただき、素晴らしい環境での撮影だったと改めて感じます。上映できて幸せ」と笑顔で話した。
地球を脅かすような大災害の後に残された男女が、廃材などを使っていかだを作り新たな希望を見いだしていく物語。東日本の後も熊本や能登で地震が相次ぎ、井上監督は「古くなっていないので映画としてはいいのかもしれないが、世界を見ればウクライナやガザで戦争が起きていて世の中的には不幸になっているのかもしれない。ただ、途中からでもやり直せると示すことが、この時代にフィクションを作る責務」と力説した。
永瀬も、「いいのか悪いのかは分からないけれど、僕たちは作品として残すことしかできない。映画になって残せて良かった」と同意。そして、「劇場に来てもらって、広めていただいて知ってもらう映画。半歩でも進む何かを感じてもらえたら」とアピールした。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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