実写版『白雪姫』の苦境:批判と混乱の中で迎える公開

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ディズニーの実写版『白雪姫』は3月20日に公開予定だが、長年にわたりソーシャルメディアで批判を受けてきた。オリジナル版とは異なる現代的なアプローチや主演のレイチェル・ゼグラーの発言が物議を醸し、さらに政治的論争の的となっている。
ディズニーは公開に向けたプロモーション戦略を慎重に進めており、3月15日のLAワールドプレミアでは特別な対策を実施。通常のレッドカーペットでの報道関係者の取材を禁止し、俳優がその場で質問されるのを避けている。公式の説明では「家族向けの祝祭的なイベント」としている。
レッドカーペットの制限は珍しくなく、過去にはワーナー・ブラザースが『ザ・フラッシュ』で同様の対応を取った。ただし、主演のエズラ・ミラーが犯罪で告発されていたのに対し、ゼグラーは発言による反発を受けているだけであり、状況は異なる。
ディズニーが『白雪姫』に対して消極的な姿勢を見せているとの見方もある。映画館関係者や競合スタジオの関係者によると、ディズニーの大規模なマーケティング戦略が最近まで異例の静けさを保っており、アメリカでの前売り券の販売開始も公開のわずか2週間前の月曜日になってようやく始まったという。通常、ディズニーの実写映画は1か月以上前からチケット販売を開始することが多い。
しかし、『白雪姫』は今年の春公開作でも競合となる女性向け映画が少ないため、PRの遅れが目立っている。ある映画業界関係者は、「ディズニーはこの映画を何とか終わらせようとしているように見える」と語る。「前売り期間が2週間未満というのは、映画に自信がないというサインだ」とも指摘している。
一方で、ディズニー内部ではこの見方を否定する声もある。関係者によれば、当初から公開直前の数週間でプロモーションを本格化させる計画だったという。実際、ゼグラーとガル・ガドットはアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務め、そこから宣伝活動が本格化。ロサンゼルスには映画の巨大な看板が設置され、キャスト陣もテレビ番組などに次々と出演している。
皮肉なことに、さまざまな議論や混乱が続く中でも、本作の興行予測は順調だとされている。『白雪姫』は米国内興収5,000万~5,600万ドルでのデビューが予想されており、上限に達すれば2015年公開の実写版『シンデレラ』に匹敵するオープニング興収を記録する可能性がある。ただし、映画館関係者の一部は「観客の関心が急激に高まらなければ、2019年の『ダンボ』のように興行収入が低調に終わるかもしれない」と懸念を示している。
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そもそも、この騒動はどうして起きたのか?その経緯を振り返ると、複雑な事情が見えてくる。『白雪姫』のゼグラーのキャスティングが発表された2021年、すぐに批判が巻き起こった。彼女がコロンビア系の出自を持つことが、「肌が雪のように白い」とされる白雪姫のイメージに合わないとの声が上がったためだ。
さらに、七人の小人の描写について誤解を招く報道が広まり、ウェブ監督は当初から1937年版アニメを基にしたCGIキャラクターとして描く方針だったことが明らかになった。ゼグラー自身も過去のインタビューでオリジナル版について否定的な発言をしており、彼女は「女性が権力を持つ描写が極めて時代遅れ」とし、「白雪姫の王子は彼女を文字通りストーカーしている」とも語った。また、「私たちの映画が『ポリコレ白雪姫』だと言う人がいるけど、実際その通り。だって、それが必要だったから」とも言っていた。
また、ゼグラーは2016年の米大統領選でトランプ氏が当選した際、Instagramで「トランプ支持者、トランプに投票した人、そしてトランプ自身が決して安らぎを得られませんように」と投稿し、「この国には深刻な病がある」とコメント。その後、発言を謝罪した。
5年前、ディズニーは主演女優2人が政治的立場を巡って批判を浴びるとは予想していなかっただろう。PRの失敗と反ポリコレの怒りが、映画のマーケティングに暗い影を落としてしまった。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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