レゲエの先駆者ジミー・クリフが死去 ――『ハーダー・ゼイ・カム』で世界に衝撃を与えた伝説、81歳で逝く
レゲエの国際的アイコンであり、映画『ハーダー・ゼイ・カム / The Harder They Come』(1972)の主演として知られるジミー・クリフが、発作と肺炎のため81歳で死去した。クリフの妻ラティファ・チェンバースが現地時間24日、自身のインスタグラムで明かした。
遺族は、「家族や友人、ともに歩んだアーティストの皆さんに感謝します」「世界中のファンの支えが彼の原動力でした」とコメントしている。

ジミー・クリフは1969年に「Wonderful World, Beautiful People」で国際的ブレイクを果たし、レゲエを欧米の音楽市場へ本格的に押し上げた。映画『クール・ランニング』(1993)で使用された「I Can See Clearly Now」も全米18位を記録し、幅広い世代に愛された。これまでグラミー賞を2度受賞、2003年にはジャマイカ最高勲章「Order of Merit」を授与され、2010年にはロックの殿堂入りを果たしている。
キャリアの転機となったのは、ジャマイカ初の本格的劇映画とされる『ハーダー・ゼイ・カム』(1972)。クリフは主人公アイヴァンを演じ、野心と現実の狭間でもがく青年像を圧倒的な存在感で表現した。サウンドトラックには「You Can Get It If You Really Want」や「Many Rivers to Cross」などの名曲が収録され、レゲエ史における不朽の金字塔となっている。

1944年にジャマイカのセント・ジェームズ教区で生まれたジミー・クリフは、14歳でキングストンへ移住し、ファッツ・ドミノやサム・クックに影響を受けながら音楽活動を開始。60年代には名プロデューサー、レスリー・コングとともにヒット曲を連発し、1964年のニューヨーク万博にもジャマイカ代表として参加。ボブ・マーリーをコングに紹介したのもクリフであり、レゲエの礎を支えた人物でもある。
その後、ジミー・クリフはアイランド・レコードと契約し、ロンドンへ拠点を移してレゲエの世界進出を担った。政治的なテーマを扱う「Vietnam」や、キャット・スティーヴンスの曲をカバーした「Wild World」など、音楽性を拡張しながら発信力を強めた。2000年代以降もアニー・レノックス、スティングらとのコラボレーションを展開するなど精力的に創作を続け、2012年のアルバム『Rebirth』と2022年『Refugees』では衰えぬ創造性を示した。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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