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豪華ミュージシャン集結!映画『F1/エフワン』サウンドトラック制作秘話|ジャンルを超えた音楽とグラミー賞への挑戦

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映画『F1/エフワン』サウンドトラック制作秘話
『F1/エフワン』より 写真:Apple TV
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昨年大ヒットした映画『F1/エフワン』のサウンドトラック『F1 THE ALBUM』のプロデュースと監修を務めたケヴィン・ウィーバーは、このアルバムの制作過程について語った。

このサウンドトラックは、第68回グラミー賞のビジュアルメディア向け最優秀コンピレーション・サウンドトラック部門にノミネートされている。

ロックからEDMまで──ジャンルを超えたサントラの挑戦

本作には、クリス・ステイプルトン、エド・シーランロゼBLACKPINK)といった大物アーティストが多数参加し、ロックからポップ、EDM、カントリー、アフロビート、ヒップホップまで、あらゆる音楽ジャンルをまたぐ多彩さで話題となった。

その半面、多くのジャンルやアーティストをまとめ、一貫性を見出すことは困難を極めた。ウィーバーは以下のように語った。

「ある時、『これが一つの作品として成立するのだろうか?』と思いました。これでうまく表現できるだろうか?多様なジャンルを繋げて意味を成すだろうか?しかし、最終的には自然と形になっていきました。ある晩、デモ音源をアルバムらしい曲順に並べて車で聴いていたら、『これはすばらしい作品になる』と感じたのです。映画に感情や雰囲気の起伏があるように、音楽にもそれらが生まれるのを感じました」

Apple TVおよびこの映画の音楽責任者であるデイヴィッド・テイラーによれば、ストリーミング時代におけるリスナーの「ジャンルを問わず聴く姿勢」が、この成功につながったという。

「最近のリスナーはもはや音楽ジャンルに縛られず、さまざまなジャンルをまたいだプレイリストを楽しんでいます。各楽曲が同じ雰囲気を持ちながら、多様性と意外性のあるプレイリストが人気を集めているのです。本作のサウンドトラックは、こうした最近のリスナーの傾向を象徴していると思います」

音楽がストーリーを加速させる

『F1/エフワン』の監督であるジョセフ・コシンスキーとプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーは、「映画のストーリーを伝える上で音楽は欠かせない要素だ」と考え、エグゼクティブ・プロデューサーとしてサウンドトラックにも参加した。ブラッカイマーは次のように語っている。

「仮の楽譜を組み合わせた時点で、音楽がいかに本作のストーリーを推し進めるか分かりました。本作は現代的な映画なので、現代​​的なサウンドトラックが必要であり、観客にはすべてを新鮮に感じてもらわなければなりませんでした。これは、ヒットを狙った曲をレコード会社から受け取って無理やり繋げる、ジュークボックス・ミュージカルのようなやり方とは異なります」

ブラッカイマーによれば、グローバルな人気を誇るF1の映画にあたり、多様性に富んだサウンドトラックが生まれることは必然だった。「スポーツと同じように、あらゆる層の観客に受け入れてもらうためには、国際的な認知度が必要でした。これは、かなり早い段階から話し合っていたことです。ケヴィンとデイヴィッドにテンプレートを渡したところ、天才的なサウンドを生み出してくれました」

テイト・マクレーが新世代サウンドをけん引

ウィーバーがサウンドトラックの構想を練り始めた当初は、シーラン(ジョン・メイヤーとの共作)の「Drive」のように、よりロック色の強いサウンドになると予想していた。この楽曲は第98回アカデミー賞歌曲賞のショートリストにも選出された。

ウィーバーは「ロックを中心に、EDMも少し入れようと思っていました」と語る。「そういった曲もいくつか入れました。当初、ロゼ(BLACKPINK)の『Messy』のような曲は考えていませんでしたが、結果的にすばらしい1枚になりました。こうした変化が、このサウンドトラックをユニークな1枚に仕上げてくれたのです」

BLACKPINKのロゼ=9月3日、韓国・ソウルにて 写真:Sinae Kim
ロゼ(BLACKPINK) 写真:Sinae Kim

本作の収録曲で最大のヒットはテイト・マクレーの「Just Keep Watching」で、Spotifyの再生回数は5億回に迫っている。この曲でマクレーは初めてグラミー賞(最優秀ダンス・ポップ・レコーディング部門)にノミネートされた。

テイラーは、マクレーについてこう語る。「彼女は『スポーツカー』(2025年)のような楽曲で注目を集めました。彼女の楽曲は楽しく魅力的で、車の世界観と相性が良いのです。彼女の数々のヒット曲を手掛けたライアン・テダーに『F1/エフワン』のシーンを少し見せたら、『彼女と相談してみよう』と言ってくれました。私たちもすでにマクレーを候補として考えており、偶然にもすべてがうまくいったのです」

見据えるのは“賞レースのその先”──音楽でF1を彩る挑戦

今年のグラミー賞において最優秀コンピレーション・サウンドトラック部門は、最も激しい競争が予想されている部門の一つだ。スターが勢ぞろいした『F1/エフワン』サントラの他に、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(2025年)、『ウィキッド ふたりの魔女』(2024年)、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024年)、『罪人たち』(2025年)のサウンドトラックがそれぞれノミネートされている。

『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の劇中歌「Golden」は大ヒットを記録し、グラミー賞年間最優秀楽曲賞の受賞有力候補と見られている。『ウィキッド ふたりの魔女』サントラは米ビルボード・アルバム・チャートで初登場2位にランクインし、映画サントラとして記録的なヒットとなった。

『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』Courtesy of Netflix
『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』写真:Netflix

しかし『F1/エフワン』の長期的な目標は、賞の獲得にとどまらず、今後F1の代名詞となるような音楽を世に放つことだという。この点についてブラッカイマーは手応えを感じており、「すでにサーキットではエドやテイトの曲が流れており、成果が出始めています」と述べた。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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