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カニエ・ウェスト出演フェスが中止、イギリス入国拒否が原因で――俳優や英首相も痛烈批判

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カニエ・ウェスト出演フェスが中止、英への入国拒否が原因で
カニエ・ウェスト 写真:VICTOR BOYKO/GETTY IMAGES FOR KENZO
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ラッパーのカニエ・ウェストが、ロンドンの大型音楽フェス「ワイヤレス・フェスティバル」のヘッドライナーに起用された。しかし、この決定がイギリス内外で大きな波紋を呼んだ。

反ユダヤ的発言を繰り返してきたウェストの出演に抗議し、スポンサー企業が相次いで撤退を表明。俳優のデヴィッド・シュワイマーやキア・スターマー英首相らも声明を発表し、事態は政界にまで波及している。最終的に、同フェスは開催中止が発表された。

カニエ・ウェスト、謝罪と復帰公演後も「反ユダヤ」問題は収まらず

ウェストはここ数年、反ユダヤ・親ナチス的な言動を繰り返し、問題視されてきた。自らをナチスと称し、ナチスのシンボルである鉤十字をあしらったTシャツを自身のウェブサイトで販売したほか、「ユダヤ人を殺害する」とまで公言したこともある。

昨年には「Heil Hitler(ハイル・ヒトラー)」という楽曲をリリースし、主要ストリーミングサービスでの配信が禁止された。総フォロワー数3,300万人以上を誇るウェストの影響力は計り知れず、社会問題にまで発展している。

今年1月には米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に謝罪広告を掲載し、双極性障害などのメンタルヘルスの問題が一連の言動の要因だったと説明した。しかし、それ以上の具体的な行動には至っていない。

一方で、最近では音楽界へのカムバックも果たしている。先月リリースした最新アルバム『Bully』は、今週のBillboardアルバムチャートで2位にランクインした。また先週、ロサンゼルスのSoFiスタジアムで2夜にわたる公演を行い、チケットはソールドアウトした。

カニエ・ウェスト出演フェス中止へ――スポンサー撤退、英政府が入国を拒否

現地時間4月4日(土)にイギリスの人気野外音楽フェス「ワイヤレス・フェスティバル」へのウェストの出演が発表されると、再び議論が過熱。翌日にはペプシやディアジオ、ペイパルといった主要スポンサーが相次いで撤退を表明した。

ウェストの起用に関して、主催者であるフェスティバル・リパブリックの幹部は声明を発表し、「観客はある程度の寛容さと希望を持って受け入れるべき」と主張した。

ところが7日(火)、事態は一転し、フェスの中止が発表された。その原因は、イギリス政府がウェストの入国を拒否したことだ。主催者は「内務省がウェストのイギリス入国を拒否したため、ワイヤレス・フェスティバルは中止された」とコメントを発表した。同フェスは7月10日(金)から12日(日)に開催予定だった。

俳優デヴィッド・シュワイマーも痛烈批判

『フレンズ』シリーズ(1994~2004年)で知られる俳優デヴィッド・シュワイマーは現地時間6日(月)、Instagramでウェストを批判した。さらに、同フェスのスポンサーから撤退した各社を「正しい倫理観を持つ企業の姿が見られてよかった」と称賛した。

デヴィッド・シュワイマー 写真: Dia Dipasupil/Getty Images
デヴィッド・シュワイマー 写真:Dia Dipasupil/Getty Images

シュワイマーは、ウェストの謝罪広告を「復帰公演を見据えたPR戦略に過ぎないかもしれない。彼は以前も謝罪したが、その後謝罪を撤回し、ユダヤ人への憎悪をさらに煽った」と痛烈に批判した。

また、ウェストの復帰公演にローリン・ヒル、トラヴィス・スコット、シーロー・グリーンらが出演したことに言及し、「これらのアーティストは、ウェストの過激な反ユダヤ主義を軽視しているように見える」と指摘した。

結論として、シュワイマーは「ここ数年の彼の憎悪に満ちた発言によって傷つき、失望したすべてのファンの信頼を再構築する姿勢を示すまで、彼にパフォーマンスの場を与えるべきではない」と主張した。

問題は政界まで波及――スターマー英首相も懸念を表明

ウェストの反ユダヤ問題は政界にまで波及し、キア・スターマー英首相も『ザ・サン』紙の取材に応じ、以下のようにコメントした。

Alleged Baby Reindeer Stalker Sent UK Labour Boss 276 Emails: The Sun
キア・スターマー英首相 写真:THR.com

「カニエ・ウェストが過去に反ユダヤ主義的な発言やナチズムの賛美をしてきたにもかかわらず、ワイヤレス・フェスティバルへの出演が決定したことは、非常に憂慮すべき事態だ」

「いかなる形であっても反ユダヤ主義は忌み嫌うべきものだ。この主義が現れた時は、どんな場所でも毅然と立ち向かわなければならない。イギリスをユダヤ人たちが安心して暮らせる場所にすることは、すべての人の責任である」

カニエ・ウェスト、ユダヤ人コミュニティとの対話を申し出る

同フェス出演について各方面から批判を受けたウェストは、BBCを通じてユダヤ人コミュニティに歩み寄る声明を発表した。「傷つけてしまった皆さんへ。ワイヤレス・フェスティバルを巡る議論を注視しており、直接向き合いたいと思っています。私の唯一の目的は、ロンドンで音楽を通じて団結と平和、愛をもたらすショーを届けることです」

さらに、ウェストは「言葉だけでは不十分であり、行動で変化を示さなければなりません」とし、イギリスのユダヤ人コミュニティと面会する意向も示した。

この提案に対し、英国ユダヤ人代議員会の会長フィル・ローゼンバーグ氏は「面会に応じる用意がある」としながらも、「面会の条件は、同フェスの出演をキャンセルすること」と提示した。

結局ワイヤレス・フェスティバルは中止となったが、ウェストを巡る議論が収束する気配はない。この問題は音楽業界にとどまらず、政界まで巻き込んだ大きな社会問題として、依然として注目を集めている。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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