ホーム » MUSIC » 無許可のビリー・ジョエル伝記映画化

ビリー・ジョエル激怒――『ボヘミアン・ラプソディ』製作陣、“無許可”伝記映画を強行

/ /
『ボヘミアン・ラプソディ』製作陣、ビリー・ジョエル本人の許可なしで映画化へ
ビリー・ジョエル、2024年11月9日ラスベガス公演にて 写真:ETHAN MILLER/GETTY IMAGES
スポンサーリンク

『ボヘミアン・ラプソディ』で世界的大ヒットを記録したアカデミー賞受賞製作陣が、ビリー・ジョエルの同意なしに伝記映画を進行。2021年から続く権利闘争の一部始終。

伝説のロック・ポップ・スター、ビリー・ジョエルの半生を描く伝記映画の製作が進行している。しかし当のジョエル本人はこのプロジェクトに一切関与せず、製作陣を「法的にも職業倫理的にも完全に誤った判断」と公式声明で糾弾している。

ビリー・ジョエル伝記映画、“無許可”で進行中――描かれるのは「ピアノ・マン」以前

映画のタイトルは『Billy & Me(原題)』。監督を務めるのは、現在公開中の『Michael/マイケル』の編集を手がけ、2018年の伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞(編集賞)を受賞したジョン・オットマン。脚本はアダム・リップが担当する。

製作陣が権利を取得しているのは、ビリー・ジョエルのかつてのマネージャーであるアーウィン・メイザー、そしてジョエルの長年の友人ジョン・スモールの両名の伝記権(ライフライツ)のみだ。しかしジョエル側の代理人によれば、ビリー・ジョエルは2021年以降、製作陣に対して「ジョエル自身の伝記権を取得しておらず、映画化に必要な音楽権利も取得していない」という事実を繰り返し通告してきたという。

ビリー・ジョエル側の公式声明

「2021年以降、関係者全員に対して、ビリー・ジョエルの伝記権を保有しておらず、このプロジェクトに必要な音楽権利も確保できないことを正式に通達してきた。ビリー・ジョエルはいかなる形においてもこのプロジェクトを認可・支持しておらず、その承認なしに前進しようとする試みは、法的にも職業倫理的にも完全に誤った判断である」

製作者側「ヒット曲に依存した作品ではない」と説明

ビリー・ジョエル、無許可伝記映画を痛烈批判「法的にも倫理的にも完全に間違い」
1973年のビリー・ジョエル 写真:DON HUNSTEIN/SONY MUSIC ARCHIVES/HBO

米『ハリウッド・リポーター』の取材に応じた脚本家のアダム・リップは、本作がジョエルの「生涯を描く」伝記映画でも、ヒット楽曲に依存した作品でもないと強調する。

「本作が描くのは、富や名声を手にする前——彼を“ピアノ・マン”たらしめたあの名曲が生まれる前の、ビリーの活動初期です。描かれる時代の多くは、バンド“ザ・ハッスルズ(The Hassles)”でカバー曲を演奏していた頃であり、若きミュージシャンとしての自分のアイデンティティを模索していた時期です」

製作陣が権利を取得しているのは、ビリー・ジョエルの元マネージャー・アーウィン・メイザーと、長年の友人で“ザ・ハッスルズ”時代のドラマー、ジョン・スモールの2名の伝記権のみだ。スモールはコンサルタント、共同エグゼクティブ・プロデューサー、セカンドユニット監督として製作に参加しており、「本作を全面的に支持している」という。

一方、ジョエル側の代理人によれば、製作陣はジョエル自身の伝記権も、映画化に必要な音楽権利も取得していない。この事実は2021年以降、繰り返し通告されてきた。

米国では、本人の許可がなくても一定条件下で実在人物を描いた映画を製作できるケースがある。ただし、楽曲使用権や肖像権、名誉毀損リスクなど複雑な法的問題が伴うため、今回のように本人側と対立するケースは極めて異例だ。

『Michael/マイケル』成功の裏で浮上したビリー・ジョエル問題

ビリー・ジョエルVS『Michael/マイケル』製作陣 無許可映画を巡り対立激化
ジャファー・ジャクソン、『Michael/マイケル』より 写真:Glen Wilson

近年、音楽伝記映画はハリウッド最大級のヒットジャンルへと成長している。『ボヘミアン・ラプソディ』や『エルヴィス』、『Michael/マイケル』の成功以降、“実在ミュージシャン映画”はスタジオにとって重要IPとなった。今回の騒動は、その熱狂の裏側で起きている権利問題を浮き彫りにしている。

本作を手がける監督ジョン・オットマンは、音楽伝記映画の分野で高い評価を受けてきた。2018年の『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞(編集賞)を受賞し、2026年公開の『Michael/マイケル』ではその編集を担当。同作は現在、北米歴代最高の音楽伝記映画として興行記録を更新中だ。

ビリー・ジョエル伝記映画が大炎上――本人は「一切認可していない」と声明
オースティン・バトラー、『エルヴィス』より写真:WARNER BROS/COURTESY EVERETT COLLECTION

数年にわたる開発期間を経ていることから、オットマンが当初から無許可での製作を想定していたのか、それともジョエルから何らかの承認を得ることを期待していたのかは現時点では不明だ。

近年の音楽伝記映画の最重要人物の一人である彼が、今度は本人が反対するプロジェクトを進めているという事実は、業界内でも注目を集めている。この対立がどのような決着を迎えるのか、今後の動向が注目される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿