ワーナー・ブラザーズ、インタビュー資料を巡ってディディと法廷バトルへ

'The Fall of Diddy' Mara S. Campo and Phil Pines
『ザ・フォール・オブ・ディディ』に出演するM・S・カンポとP・パインズ 写真: Investigation Discovery
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ワーナー・ブラザーズの弁護人はニューヨークの判事に対し、渦中の音楽プロデューサー、ショーン・“ディディ”・コムズが同社に対して出している召喚令状の棄却を要求した。売春目的の人身売買や組織的恐喝の容疑に関する公判を控えるディディ。そんな彼の弁護団はワーナー・ブラザーズに対し、同社が制作したディディのスキャンダルにまつわるドキュメンタリー、『ザ・フォール・オブ・ディディ(原:The Fall of Diddy)』中で使用された資料を引き渡すよう要求していた。

ことの発端は先月にまで遡る。ディディの弁護団はワーナー・ブラザーズに対し、今年の1月27日の『ザ・フォール・オブ・ディディ』に出演したディディの元料理人と元恋人の二人に対するインタビューの未編集映像と、彼らと番組プロデューサーの間で交わされたやり取りなどのメモ、そして番組から二人に対して行われた金銭の支払いに関する記録を全て引き渡すよう、召喚令状を出していたのだ。

5月に「ディディ事件」の公判を控える中で、一方のワーナー・ブラザーズも反撃に出た形だ。同社の弁護人、トーマス・サリバン氏は火曜日、アラン・サブラマニアン連邦判事に対し、合衆国憲法で保障された報道の自由を根拠としてディディ側の出した召喚令状を棄却するよう訴えた。

「コムズ氏はドキュメンタリーに出演した2人の特定の人物に関する未公開資料を入手しようとしています。問題となっている未公開資料は報道の自由にて保障される記者の特権(Reporter’s Privilege)の保護対象であります。というのも、その特権は未公開のニュース資料にも適用されるからです」

アメリカ合衆国憲法においては修正第1条にて「言論の自由」が保障されており、その中には「報道の自由」も含まれる。ここでサリバンが言及する「記者の特権」とは、メディアが法廷の圧力によって秘匿情報の公開を強要されることを防ぐためのもので、アメリカでこの特権は報道機関の自由を保障するための要と見られており、全50州中49州でその権利を保障する規定が明確に設けられている。

しかし、ここで問題となるのは今回の裁判を管轄するのが州ではなく連邦政府レベルということだ。というのも連邦レベルで「記者の特権」を明確に保障する法令は存在しないからだ。しかしサリバンは怯まない。彼はディディ側に司法省の設ける「記者の特権」の例外として認めうる合理的な事情はないと主張する。

というのも、彼女らは「ディディ事件」の重要参考人になりうる立場の人物だからだ。もし、未公開資料がディディ側に渡った場合、ディディ側が彼女らにとって不利になるような材料を探し出そうとするかもしれない。サリバンはこう綴る。

「A氏はコムズ氏の専属料理人でした。彼女はドキュメンタリー中でコムズ氏が自身にどのように接していたか、また彼女が働いていた際に耳にしたコムズ氏に関する噂について証言しています。またB氏はコムズ氏の元恋人でした。彼女はドキュメンタリー中で交際期間中のことを証言しており、その中にはコムズ氏による性加害疑惑に関するものも存在します」

更に、サリバンは未公開の資料がそもそも事件と関連するかの確証がない段階で出された召喚令状は、「記者の特権」に優越する正当な事情を持っているとは言えないとも指摘している。

これに対しサブラマニアン判事はディディ側に、木曜日を期限として応答するように要求している。米『ハリウッド・リポーター』はこの件に関してディディの代理人にコメントを求めたが、記事公開時点で返信はない模様だ。

5月に初公判を目前に控える中で泥沼化の様相を呈する法廷バトル。今後の展開からも目が離せない。

※本記事は要約・抄訳です。オリジナル記事(英語)はこちら

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