サム・スミス&ノーマニの楽曲に著作権訴訟― 控訴裁が原告側の主張を認め、陪審判断に

サム・スミスとノーマニのヒット曲”Dancing with a Stranger”に対する著作権訴訟が、米控訴裁で復活した。原告は2015年の同名楽曲が盗作されたと主張している。
一方で、下級審は訴えを却下していた。しかし、控訴裁は「フック部分の類似性は陪審で判断すべき」として、審理の継続を命じた。
フックの“類似性”が争点に
訴えを起こしたのは、ジョーダン・ヴィンセントと音楽デュオSKXの著作権を管理するサウンド・アンド・カラー社である。彼らは2022年、”Dancing with Strangers”という自身の楽曲が酷似しているとして訴訟を提起した。
また、曲のテンポには違いがあるものの、キーを合わせると構成やメロディが一致すると主張。さらに、フックの歌詞やメロディ、音の配置、下降する旋律パターンなども共通していると訴えた。
一方でスミス側は、ピッチやリズムが異なると反論。また、原告曲は「著作権保護の範囲が狭い」として、保護対象ではないと主張した。
しかし、裁判所は「フックの創作には幅広い表現がある」と指摘。したがって、広範な保護が適用される可能性があると判断した。
音楽訴訟の流れに影響も
さらに、近年は著作権訴訟の早期却下に対する慎重な姿勢が広がっている。実際に『サーヴァント ターナー家の子守』『シェイプ・オブ・ウォーター』『パイレーツ・オブ・カリビアン』に関する訴訟でも、同様の逆転があった。今回の判断も、アーティスト側の勝訴が続くなかで、権利者側にとっては大きな一歩となった。
また、著作権侵害を巡る訴訟では、アーティスト側の勝訴が続いている。エド・シーランも『シェイプ・オブ・ユー』と『シンキング・アウト・ラウド』を巡る2件の陪審裁判で勝訴している。
まとめ
本件は、著作権における「創作的選択の幅」が焦点となった重要な事例である。今後の音楽業界における訴訟のあり方にも影響を及ぼす可能性がある。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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