『アナザー・シンプル・フェイバー』脚本家が語る、続編のツイストとファッション、そして第3作の可能性

Blake Lively stars as Emily in 'Another Simple Favor.' Lorenzo Sisti/Amazon Content Services 『アナザー・シンプル・フェイバー』でエミリー役を演じるブレイク・ライブリー(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)
Blake Lively stars as Emily in 'Another Simple Favor.' Lorenzo Sisti/Amazon Content Services 『アナザー・シンプル・フェイバー』でエミリー役を演じるブレイク・ライブリー(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)
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シンプル・フェイバー』の続編『アナザー・シンプル・フェイバー』が配信開始された。ブレイク・ライヴリー演じるエミリーは、双子の妹を殺害し服役していたが、出所後カプリ島での結婚式に登場する。相手はイタリアンマフィアの男・ダンテだ。しかし、再び事件が起きる。殺されたはずの三つ子の姉妹・チャリティが現れ、ダンテや元夫ショーンを殺害するのだ。

脚本を手がけたジェシカ・シャーザーは、前作の熱狂的ファンコミュニティ、特にポッドキャスト『ア・シンプル・ポッドキャスト (原題)』の影響で続編制作が決まったと語る。第3作もすでに加速して検討中だという。

また、今作ではクィアな要素が前面に出ている。エミリーとステファニー(アナ・ケンドリック)の関係は「ねじれた愛の物語」として描かれ、LGBTQ+ファンの期待に応える意図が込められている。

ブレイク・ライヴリーのファッションへの関与も大きい。彼女は衣装に強いこだわりを持ち、コテージコアの要素などもアイデアとして取り入れている。カプリ島で購入した巨大な帽子は、彼女自身が選んだものだ。

シャーザーは現在、スリラー小説『She Started It (原題)』の映画化にも取り組んでおり、監督を務める予定だ。

以下で、シャーザーは米『ハリウッド・レポーター』に対し、エミリーとステファニーのねじれた愛の物語、彼女がCOVID-19に感染したことがあるシーンの着想にどうつながったか、ライヴリーが本作に与えた影響、そしてすでに第3作に関する話し合いが始まっていることを語っている。

『アナザー・シンプル・フェイバー』よりアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリー(写真; Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)
『アナザー・シンプル・フェイバー』よりアナ・ケンドリックとブレイク・ライヴリー(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)

最初から続編を作る予定だったのですか?

実はその逆だったの。続編なんて想定してなかった。もし予定していたなら、登場人物の1人を殺人で刑務所に送るような終わり方にはしなかったわ。第2作を作るには、その「巻き戻し」が最初の課題だった。原作シリーズに続編はなく、映画も1本きりのつもりだった。でも、最初の映画が成功し、配信でずっと見られていたことで続編の話が出てきたの。

この映画の脚本は、劇場公開向けか配信向けか、どちらを想定して書いていたのですか?

最初から配信作品だと分かっていたわ。Amazonに直接売ったから、Amazonのプラットフォーム向けだった。それは最初から疑いようがなかったし、脚本の書き方にも影響はなかった。ビジュアル重視の映画で、大画面で観るようなスケール感がある。ポール・フェイグもその視覚的な華やかさと大きな世界観を重視していたの。

今回はアリソン・ジャネイなど素晴らしい新キャストが加わりました。脚本執筆時に、キャストを想定して書いていたのですか?

もちろんよ。『愛は、365の日々で』を観て、ミケーレ・モローネを見たときに、「彼が男性主役だ」と思ったの。それがうまくいって本当に嬉しい。いつも俳優を想像しながら書いているの。最終的にその俳優になるとは限らないし、誰を起用するかは監督の判断だけど、私としては登場人物の口調や個性を思い描くのに役立つの。

エミリーのセリフは本当にウィットに富んでいてテンポが早いですね。ブレイク・ライヴリーのユーモアが反映されていたりしますか?

間違いなくあるわ。彼女自身がとても面白い人だし、彼女の夫(ライアン・レイノルズ)もすごく面白いでしょ。だからお互いの作品に協力してると思う。ポールも素晴らしい監督であり脚本家だから、共同作業は本当に楽しいの。ブレイクは自分のキャラクターにすごく愛着を持っていて、たくさんのアイデアを出してくれる。面白いセリフの中には、私が書いてないものもあるのよ。もはや誰のアイデアだったのか分からないセリフもあるくらい。

たとえばどんなセリフですか?

私が一番笑うのは、1作目でブレイクがアナと公園にいて、厳しい上司について話すシーン。「あいつら、顔面を犯してくるわよ」ってセリフ。あれは絶対私じゃない。そんな表現知らなかったもの(笑)。でも最高よ。ああいう新しい発見があるのも、この仕事の楽しみのひとつね。

今回の方がツイストの数が多かったですね。観客をより驚かせようというプレッシャーはありましたか?

あったわ。続編を作るときって、前作を上回らないといけないというプレッシャーがあるから。今回は、規模も予算も前作より大きくして、イタリアという新しい舞台を加えることでストーリーに刺激を加えたの。新しいキャラクターも登場させて、より多くのツイストを盛り込んだの。

チャリティが実は生きていたという展開は本当に驚きました。その発想はどこから?

いくつかの要因が重なった結果ね。ブレイクが最初の映画で双子を演じるのをとても楽しんでいて、「またやりたい」と思っていたの。双子の片方は死んでるからどう再登場させるか考えていたとき、1作目に三つ子の伏線があることを思い出して。ならばまだ会っていない3人目の姉妹がいてもいいだろうと考えたのよ。

チャリティのエミリーへの執着はショッキングでした。あれは初期から構想していたのですか?

前作には大きなゲイファン層がいて、その支持をしっかり受け止めたかったの。クィアな要素を盛り込みたいという思いがあり、それにふさわしい物語を探していた。『ア・シンプル・ポッドキャスト』というポッドキャストもあって、3人のクィアな女性たちがホストをしていたの。その番組で私やキャストがインタビューを受けて、改めて作品への情熱が高まったの。そこから続編制作の話が動き出した。だから、このシリーズにクィアな要素を入れるのは当然だったし、エミリーとステファニーの関係は、ひとつの愛の物語だと考えているの。ロマンチックではないけど、それでも確かに“愛”なの。

『アナザー・シンプル・フェイバー』ステファニー役のアナ・ケンドリック(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)
『アナザー・シンプル・フェイバー』ステファニー役のアナ・ケンドリック(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)

ブレイクはそのアイデアを読んでどう反応しましたか?ポールの反応は?

私は脚本家ストライキ中だったので、そのやり取りすべてに関われたわけじゃないの。でも、ブレイクはこの決定に賛成していたと思う。彼女の了承なしに進められたものではないはず。むしろ彼女自身が積極的に取り組んでくれたように感じているわ。

ポールやブレイクのような監督や大スターから、脚本に対して意見が来ることもあると思います。今回も何かありましたか?

もちろんよ。面白かったのは“コテージコア”っていう文化的トレンドを私は知らなかったんだけど、ブレイクが興味を持っていて、そのアイデアを持ち込んできたの。チャリティのキャラクターにその影響が見られるわ。古風なギンガムのドレスやレトロなヘアスタイルは、ブレイクの提案だったの。

今作でもファッションが重要な要素ですね。脚本執筆時にルックを想像したり、ブレイクがコスチュームに関わったりしましたか?

ブレイクはファッションに関して大きな発言権を持っていたし、衣装デザイナーとの連携も素晴らしかった。私はコスチュームデザイナーではないから、脚本では雰囲気だけ示して、あとは彼らに任せることが多いの。でも今回は特に、ヨーロッパのロケーションを活かした新しいルックに挑戦できる機会でもあって、衣装面でも一段上を目指していたと思う。

エミリーがかぶっていた巨大な帽子や、チャリティの喪服スタイルなど、印象的な衣装が多かったですね。

あの帽子はもともとの衣装じゃなくて、ブレイクがカプリで買い物中に見つけたの。現場で気に入って、そのまま劇中に取り入れたのよ。チャリティの喪服ルックもやりすぎなくらいゴージャスだけど、それが映画全体の“やりすぎ感”とマッチしていて、私たちとしてはその“狂気”を楽しんでいたわ。

ステファニーが真実を話してしまう「真実の血清」シーンもユニークでした。あれはどこから来たアイデアですか?

あれは脚本の初期段階からあったの。でも面白いエピソードがあって、実はあのシーンを書いたとき、私はコロナで熱があって、家族から隔離されていたの。熱でうなされながら、「ステファニーが無邪気な真実ばかり話すのって面白いかも」と思いついたのよ。PTAの会長になるために嘘をついた話とかね(笑)。熱にうなされていた状態から出てきたアイデアだったけど、結果的には面白いシーンになったと思う。

『アナザー・シンプル・フェイバー』より、ショーン役のヘンリー・ゴールディング(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)
『アナザー・シンプル・フェイバー』より、ショーン役のヘンリー・ゴールディング(写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services)

ステファニーとショーンの関係についてですが、なぜ再び恋仲に戻らなかったのでしょう?

実は1作目のラストでは、2人がくっつくエンディングもあったのよ。プロポーズのフラッシュモブシーンも撮ってあるし、それはYouTubeやDVDの特典に入ってるの。でもテスト上映ではその結末が不評だったの。観客は、アナが自立して生きるストーリーを望んでいたのよ。だから最終的には「男を得たから勝ち」という見え方にならないように、エンディングを変更したの。

今作でショーンを殺したのはなぜ?

それは私のアイデアではないの。私が脚本に関わった後に決まったことだから、詳細は他の脚本家に聞いてほしいわ。

エミリーがステファニーに復讐すると思わせて、実は彼女を守った展開が印象的でした。彼女たちは本当の友達になったと考えていいのでしょうか?

そう思っていいと思うわ。前作では友情から始まって敵対関係になったけど、今作ではその逆をやってみたかったの。最初は敵でも、最後には“ありえない友情”が芽生える。観客はエミリーが復讐を企んでいると予想するけど、実際は違う。エミリーには信頼できる人がほとんどいないから、誠実で善良なステファニーを味方として必要としていたの。

エミリーがダンテの秘密を守っていたのも、彼女の人間味が垣間見えました。彼女は誤解されやすい人物でしょうか?

とても複雑なキャラクターだと思うわ。優れた映画の“悪役”って、人間味があるものよね。誠実さや脆さ、時には優しさも持っている。それが彼女の魅力でもあるし、予測できない展開を作る要素でもあるの。

『アナザー・シンプル・フェイバー』より、(エミリー役)ブレイク・ライブリー、(ダンテ役)ミケーレ・モローネ、(ヴィッキー役)アレックス・ニューウェル、(ステファニー役)アナ・ケンドリック写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services
『アナザー・シンプル・フェイバー』より、(エミリー役)ブレイク・ライヴリー、(ダンテ役)ミケーレ・モローネ、(ヴィッキー役)アレックス・ニューウェル、(ステファニー役)アナ・ケンドリック写真:Lorenzo Sisti/Amazon Content Services

ラストではチャリティが刑務所に入り、エミリーがその正体を明かさずイタリアに残ります。なぜ真実を明かさなかったのですか?

エミリーはすでに多くの罪を抱えていて、再び刑務所に戻るリスクがあるの。だから自由になる道を選んだのよ。そして何より、息子と一緒にいたい。チャリティが刑務所に行くのも、彼女が犯した罪に見合った結果だから、不公平だとは思わないわ。

ダンテの母がエミリーに「もうひとつのシンプル・フェイバーを」と手紙を渡すシーンがありましたが、次はどんな復讐が待っているのでしょう?

それは第3作でのお楽しみね。実のところ、私にもまだ分からないの(笑)。

第3作で、まだ描きたい物語はありますか?

もちろんよ。実際、すでに話し合いは始まってるし、私たちはまたこのキャラクターたちに戻りたいと願ってる。

次回作までまた7年も待つことになるのでしょうか?

いいえ、今回はもっと早くなると思うわ。ポールが言っていたけど、前作のあと何年も経ってからようやく続編のアイデアが出たの。だから今回は、うまくいけばもっと加速すると思う。

エミリーがイタリアに残ったまま物語が終わりましたが、彼女の未来は?

私にもまだ分からないわ。もしまた呼んでもらえたら、そのときに腕まくりして考えることにするわ。

ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』に関する騒動がこの映画に影響を与えたことは?

私はその騒動に巻き込まれたことはないし、ブレイクが今大変な状況にあるのは理解してるけど、先週のプレミアは純粋に作品を祝う時間だったわ。私自身は影響を感じてないし、この映画に集中できている。前作のファンも多いし、みんなに作品を楽しんでもらえたら嬉しいわ。


※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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