ジャッキー・チェン、ロカルノで栄誉受賞 ブルース・リー追憶と「アジアのロバート・デ・ニーロになりたかった」と告白

ジャッキー・チェン Courtesy of Locarno Film Festival/Ti-Press
ジャッキー・チェン Courtesy of Locarno Film Festival/Ti-Press
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8月9日(土)、香港映画界を代表するスター俳優ジャッキー・チェンは、スイスで開催された第78回ロカルノ国際映画祭でキャリア・レオパード賞(Pardo alla Carriera)を受賞した。その翌日に行われた同映画祭のトークイベントで、チェンは自身のキャリアについて語った。このイベントには大勢のファンが詰めかけ、映画館の外にまで長蛇の列ができた。

キャリア・レオパード賞を手にするジャッキー・チェン Courtesy of Locarno Film Festival/ Ti-Press
キャリア・レオパード賞を手にするジャッキー・チェン Courtesy of Locarno Film Festival/ Ti-Press

ブルース・リーとの思い出、そして今後のキャリアについて

チェンは、ブルース・リー主演の『ドラゴン怒りの鉄拳』にスタントマンとして出演した頃を振り返り、「僕が激しいシーンを何テイクも撮影した後、リーは僕の肩を叩いて『素晴らしい』と言ってくれた」と明らかにした。また、「リーをボウリング場に連れて行き、その場にいた人たちの羨望の的になった」というエピソードを披露した。

リーの没後、チェンは『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編への出演をオファーされたが、チェン自身は「脚本もキャラクターも間違っていた」と感じており、「興行的にも全く振るわなかった」と振り返る。

製作陣はチェンを“第二のブルース・リー”にしたいと考え、ポスターには大きく「新ブルース・リー」、小さく「ジャッキー・チェン」と書かれていたという。チェンは「監督は僕にブルース・リーと全く同じ演技をするよう求めたが、僕はリーではない」と語った。

映画業界で長く活躍する秘訣を問われたチェンは、「常に変化と進化を受け入れ、それを求めることだ」と答えた。例えば、テレビに出演するたびに格闘技の技を披露するよう求められるため、チェンは歌のスキルを身につけたという。「歌うほうが簡単だ」とチェンは笑いながら説明した。

キャリアの後期については「アジアのロバート・デ・ニーロになりたかった」と明かした。チェンはスタントができるだけのアクションスターではなく、「アクションもできる俳優」として評価されたかったのだという。「今になってやっと『ジャッキーは良い俳優だ』と言われるようになった。だからこそ、この賞を受賞できたのだろう」

チェンはチェンは、ジェイデン・スミス主演でチェンが共演したリメイク版『ベスト・キッド』(2010年)についても触れた。このリメイク版はチェンにとって、アクションを次世代へとつなぐきっかけになったという。同作での役柄について、チェンは「僕は師匠役を務めた」と語った。

チェンはアクションシーンの撮影について、「僕はスーパーマンじゃない。スタントをするたびに怖いと感じる」と明かした。簡単そうに見えるアクションシーンでも、常にリスクを考慮しているという。

さらにチェンは、近年の映画スタジオが芸術性よりもビジネスや利益を重視する傾向に触れ、近年の映画スタジオは芸術性よりもビジネスや利益を重視していることに対し、「今は良い映画を作るのがとても難しくなっている」「僕のキャリアを通じて、お金以上の価値を生み出すことができればと願っている」と述べた。

13年ぶりの来日時(2024年)に舞台挨拶に登壇したジャッキー・チェン
13年ぶりの来日時(2024年)に舞台挨拶に登壇したジャッキー・チェン ©︎ The Hollywood Reporter Japan

芸術監督も絶賛!キャリア・レオパード賞受賞について

厳格で真面目な性格で知られるチェンだが、自らは「怠け者でやんちゃだった。若い頃はよく喧嘩をしていた」と明かした。土曜日の受賞スピーチでも、チェンは「71歳で、映画界入りしてから64年になる。それでもまだまだ戦える」と語り、観客を沸かせた。

今回のロカルノ国際映画祭ではチェンの功績を称える特別企画として、チェンが主演と監督を務めた『プロジェクトA』(1983年)と『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)が上映された。

同映画祭の芸術監督ジオナ・A・ナザロ氏は米『ハリウッド・リポーター』に対し、「私は香港映画ファンとして香港に関する本を3冊書いてきたが、ジャッキー・チェンは夢の実現だ」と語っている。

チェンのキャリア・レオパード賞受賞が発表された際、映画祭主催側はチェンを「アジアのメガスターであり名監督、そしてハリウッドの重鎮として、東洋と西洋の架け橋となるアクション映画で愛される存在だ」と称賛した。

ナザロ氏はさらに「監督、プロデューサー、俳優、脚本家、振付師、歌手、アスリート、そして命知らずのスタントマンでもあるジャッキー・チェンは、現代アジア映画界の重鎮であると同時にハリウッド映画のルールを塗り替えるほどの影響力を持っている。チェンは武侠映画のみならず、その枠をはるかに超えた多くの分野で常に革新を続けている」とコメントした。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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