『エイリアン:アース』製作者ノア・ホーリーが語る|人間とゼノモーフの境界線とは

ドラマ『エイリアン:アース』は、映画シリーズでおなじみの最恐モンスター「ゼノモーフ」をめぐり、従来にはない新たな展開を描き出している。特にエピソード7で見せた「ゼノモーフが人間に従う」というシーンは、ファンの間で賛否を呼んだ。製作者ノア・ホーリーが、その意図やリスク、今後の展望を語る。
―― ゼノモーフを“従わせる”展開は大胆でしたが、狙いは?
ホーリー:最大の不安は、ファンに受け入れられるかどうかでした。私は彼女(ウェンディ)がペットのようにゼノモーフを飼う姿を描きたいわけではない。むしろ一時的な「同盟関係」として見せることで、物語の幅を広げようとしました。映画なら2時間で終わるけれど、ドラマは継続が必要なので、ただ襲わせるだけでは物語が持続しない。だからこそ別の使い方が必要でした。
―― “怪物を調教する”ことには倫理的問題もあるのでは?
ホーリー:「できること」と「すべきこと」の違いを描きたかったんです。これは『ジュラシック・パーク』とも共通するテーマで、ウェンディは「ゼノモーフも犠牲者だ」と考えて同情はしている。けれど、危険な存在に共感することが安全かといえば、まったく違う。その理想と怪物の本能の間にある危うさがドラマの緊張感を生んでいるんだと思います。
―― ウェンディがゼノモーフに人間を襲わせる場面は衝撃的でした。
ホーリー:彼女はまだ12歳。衝動的で、先を考えずに行動してしまう。怒りに突き動かされ、仲間が傷つけられたことへの報復として命令ました。もちろん結果は危険だけれど、成長過程で「行動には必ず結果がある」ことを学ぶ成長の過程でもあります。
―― ゼノモーフそのものについて改めてどう考えていますか?
ホーリー:彼らは捕食者であり、極めて知的で計算高い。ただし目的は食事ではなく「繁殖」にあるのが興味深いところです。だからこそウェンディの選択が重要になってきて、人間性を選べば周囲は守られるが、疎外感に支配されれば彼女自身が怪物に近づいてしまう。その葛藤こそが物語の核なんです。
―― ティモシー・オリファント演じるキルシュも謎めいた存在ですね。
ホーリー:彼は科学者だが、人間的な道徳心を欠いている。行動の多くがプログラムによって制御されている可能性もあります。『エイリアン』初作のアンドロイド・アッシュのように、矛盾した指令を抱えて暴走する危険性もある。視聴者にとって「彼はどこまで自分をコントロールできるのか」という問いが物語をさらに複雑にしていると思います。
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ホーリーは「ゼノモーフを飼い慣らす物語ではなく、人間と怪物の危うい同盟関係を描く挑戦」だと語る。人間性と怪物性の境界線、そして登場人物たちの選択が、従来の映画シリーズにはなかった哲学的な緊張を生み出している。『エイリアン:アース』は単なるホラーを超えた問いを観客に投げかけ続けている。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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