『モンスター: エド・ゲインの物語』チャーリー・ハナムが語る“人間の本質”——Netflix実録ドラマの真意とは

[※本記事には『モンスター: エド・ゲインの物語』のネタバレが含まれます。]
Netflixのホラーシリーズ『モンスター』の第3弾『モンスター: エド・ゲインの物語』が配信中。これまでのシーズンが「殺人事件を美化している」という意見に対し、主演のチャーリー・ハナムと制作陣は「今回のシーズンは決してセンセーショナルではない」と否定した。
チャーリー・ハナムが語る新シーズンへの思い
新シーズンの配信に先立ち、ドラマの主人公エド・ゲインを演じるチャーリー・ハナムが、米『ハリウッド・リポーター』の取材に応じた。「もし人々が本作について語り、考えさせられるなら、それだけで観る価値があると思う。私が確信しているのは、この作品が人間の本質と少年(エド)の行動心理を誠実に探求したものだということだ」と語った。
制作陣は「センセーショナルな描写」について反論
本作は、兄のヘンリー(演:ハドソン・オズ)を殺害し、母のオーガスタ(演:ローリー・メトカーフ)も亡くなった後、ウィスコンシン州の田舎で隠居生活を送るエド・ゲインの様子を描くドラマ作品。
1950年代の連続殺人犯として知られるエドは、殺害した女性の皮膚を身にまとい、墓を掘り起こしていた。シリーズでは、エドが女性の下着を着けて自慰行為をする場面も描かれている。チャーリー・ハナムは「作品がセンセーショナルだとは決して感じなかった。すべて物語を正直に伝えるためだ」と語る。
共同監督を務めたイアン・ブレナンも「このシリーズは搾取的であってはいけない。辛い部分も含めて、全体を描くことが重要だった」と説明。
続けて「今シーズンは決してセンセーショナルではない。孤独で精神を病んだ一人の男が、いかに文化や映画に影響を与えたかを描いている」と述べ、エドの犯罪が『サイコ』(1960年)『羊たちの沈黙』(1991年)『悪魔のいけにえ』(1974年)に影響を与えたことにも触れた。
エド・ゲインの精神的苦悩と“内なる怪物”を描く、物語の核心
本作はエドの統合失調症や精神的な苦悩を中心に描かれている。恋人のアデライン役を演じたスザンナ・ソンは、「社会や当時の医療制度の不備に憤りを感じるが、エドへの単純な同情では語れない。人間の内面に潜む“怪物”を考えさせられる」と語った。
ブレナンも「エドの内面の恐ろしさや、彼の脳が閉じ込められた牢獄のような状態を描くことは、殺人描写と同じくらい重要だった」と説明。「エド・ゲインは一度見た映像に強くとらわれ、忘れられなかった。すべてはホロコーストから始まり、ヴィッキー・クリープスが演じるキャラクターが、その恐怖を見事に表現している」と語った。
第1話では、アデラインがホロコーストの描写がある漫画をエドに見せ、ナチスのイルゼ・コッホ(演:ヴィッキー・クリープス)が登場。クリープスは「自身の祖父が強制収容所にいたこともあり、この役を演じる想像ができなかった。撮影中に涙を流したこともあったが、チーム全員が敬意をもって接してくれたおかげで、恐怖を乗り越えられた」と語った。
「真のモンスター」とは誰か
『モンスター』シリーズは毎シーズン異なる物語を描きながらも、「真のモンスターとは誰か?」という共通の問いを投げかける。今シーズンでは、エドがカメラに向かって「目をそらせないのは君だ」と言うシーンもある。
ハナムは視聴者に対して「虐待と孤立の中で未診断の精神疾患に苦しみ、その苦しみが恐ろしい形で現れたのはエド・ゲイン自身なのか。それとも彼の人生を娯楽として消費し、美化した映画制作者たちなのか」と問う。
ブレナンも「今シーズンでは、恐怖を目にしたときに何が起こるかを最も正面から問いかけている。同時に、私たち自身が“本来は見るべきではないもの”を映しているという自覚を持つための手段でもあった」と補足。「人々は本当にそれを観るべきなのか――その問いを突き詰めたかった」と語った。
『モンスター: エド・ゲインの物語』は現在Netflixで配信中。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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