『ザ・ディプロマット』シーズン3衝撃ラスト解説|主要キャストが語るシーズン4の展望

※本記事は、『ザ・ディプロマット』シーズン3の最終話「シュレーディンガーの妻」の重大なネタバレを含みます。
シーズン3の衝撃ラストを解説|ケイトとハルの関係の行方
シーズン1・2の衝撃的なクリフハンガーから一転、『ザ・ディプロマット』シーズン3はドラマチックな結末を迎えた。駐英大使の米国外交官ケイト・ワイラー(演:ケリー・ラッセル)は、別居状態の夫ハル(演:ルーファス・シーウェル)と涙の和解を果たす。
ケイトは、かつて関係のあったスパイのカラム(演:エイダン・ターナー)から、イギリス沖で発見されたロシアの原子力潜水艦が忽然と姿を消したと知らされる。カラムはロシアが潜水艦を回収したと考えたが、ケイトは別の見解を持っていた。
一方で、グレース・ペン大統領(演:アリソン・ジャネイ)の夫トッド・ペン(演:ブラッドリー・ウィットフォード)は、グレースがハルと不倫しているのではないかと疑う。トッドは、グレースとハルの核兵器に関する議論を聞きながら、意味ありげに「何も心配することはないだろう?」と問いかける。そして最終話では、グレースとハルが共謀していたことが明かされる。
本記事では、米『ハリウッド・リポーター』によるケリー・ラッセル、ルーファス・シーウェル、アリソン・ジャネイ、ブラッドリー・ウィットフォードの4名のメインキャスト、そしてショーランナー・脚本家であるデボラ・カーンへのインタビューから、『ザ・ディプロマット』シーズン3の結末とシーズン4の展望をまとめた。
“夫婦関係”と“国家の陰謀”が交錯したシーズン3の結末
シーズン3の衝撃的な結末について、ショーランナー兼脚本家のカーンは「よりリアルなサスペンスを描くことができて興奮しました。登場人物たちの個人的な葛藤だけでなく、国家・世界規模の葛藤も生まれているという問題を取り上げることが重要だと感じた」と語った。
グレース・ペン大統領を演じるジャネイは、シーズン2の結末を読んだ時に思わず台本を壁に投げてしまったというが、シーズン3の結末についても「背筋が凍りついた」と語った。「信じがたいほど闇に満ちた秘密の決断を下した2人ですが、ケイトはそれを知っています。彼女の表情を見て、我々にとって厄介な存在になると確信しました。シーズン4はこの秘密から始まるでしょう」とジャネイは述べた。
さらにジャネイは、このシーンが「大胆な決断やリスクを恐れない」「目的によって手段を正当化する」という、グレースとハルの共通点を示していると語る。「潜水艦から核兵器を取り外すというアイデアを思いついたのはハルかグレースか、考えてみたんです。しかし、誰が提案したにせよ、世界を核戦争から救うという目的を考えれば、私たち2人は『やろう、これは価値のあるリスクだ』と言ったと思います」
ハルを演じるシーウェルもジャネイの見解に同意し、こう語った。「これは微妙な決断で、現実的な政治だと言えます。歴史上、『政治的に得策なのは危険人物の最も近くにいること』という考え方は絶えません。グレースが下してきた決断の中には、善も悪もあります。そして、ハルは自分がそこに存在するだけで助けになると信じているんです」
一方で外交官ケイト・ワイラーを演じるラッセルは、ケイトならこのような行動は決して取らないと語る。「ケイトは国を愛し、国を信じている、真の政府職員なのです。彼女が権力に汚されることはないでしょう。そこが彼女のすばらしい部分です。一方、ハルは微妙な立場でも柔軟な選択をします」
『ザ・ディプロマット』シーズン4の展開は?制作者とキャストが語る展望
すでに制作が決定しているシーズン4の展開について、ケリー・ラッセルは、シーズン4のストーリー展開を知らないと語った。「デボラがどんなストーリーを書くかは誰にも分かりませんが、大変なことになると思います。大きな信頼を寄せていますが、ケイトとハルの関係はさらに複雑になるでしょう。まさかシーズン3がこんな結末になるとは。一体どうやってこの状況から抜け出すのでしょうか?」
ショーランナー兼脚本家のカーンはシーズン3の結末について「ケイトがハルの新たな一面を見た瞬間」だと語った。そして、2人が和解した直後に予想外の一面を見ることに意味があるという。「何十年も一緒にいた相手のことを理解していると思っていたが、それは思い込みだったと気づくのです。どれだけ時間をかけて関係を構築しても、状況は変わり続けるのだと2人は気づきます」
グレースの夫トッドを演じるウィットフォードは、「世界情勢に計り知れない影響を与える重要な事実が明かされるのに、トッドは妻に嫉妬しているなんて、思わず笑ってしまいました」と語る。「シーズン2の終わりとは全く異なる形で、とんでもない可能性が残されています。本当に衝撃的でした」
ウィットフォードとジャネイは、シーズン4の企画書すらまだ見ていないという。しかしラッセルと同様、カーンに絶大な信頼を寄せている。
「これから何が起こるか全く分かりませんが、登場人物たちの私生活はもっと混乱していくでしょう。地政学的な問題や厄介事も増えると思います。さらに残酷な決断を下さなければならないシーンがあるといいですね。その決断が彼らの私生活にどのような影響を与えるのか、そして政治とどう融合するのか、それがこのドラマの醍醐味です」とジャネイはシーズン4の展開を予想する。
ウィットフォードは、「このドラマでは、才能豊かなすばらしいクリエイターたちが活躍しています。ここまでのストーリーは非常にスリリングで驚きに満ちており、予想の斜め上を行くばかりでした。カーンら製作陣を信頼しているからこそ、自分の役について要望を出そうとは思いません」
ウィットフォードとジャネイは『ザ・ディプロマット』シーズン4へのレギュラー出演が決定している。カーンら製作陣は、この大統領夫妻にもっと焦点を当て、ワイラー夫妻との対比を描きたかったという。
「ケリー、ルーファス、アリソン、ブラッドリーの4名による共演シーンの撮影は、ご褒美のような体験でした。彼らにとってもすばらしい経験だったようです。4名は互いに協力しながら撮影をしています」とカーンは明かした。
女性大統領とその夫の葛藤
ウィットフォードによれば、妻が大統領となり絶大な権力を手にしたという状況に、トッドは上手く対処できていない。「トッドは自分を買いかぶっています。権力を手にした妻に夢中で、自分もこの状況に対処できると思い込んでいます。彼のことは(カマラ・ハリス前副大統領の夫)ダグ・エムホフのような人物だと思っていました。しかし、実際にその立場になると、ジェンダーの逆転に対応できるだけの能力が彼にないことは明らかです。彼は裏方に回り、妻を支えるために自身のキャリアプランを中断します。彼は妻を深く愛していますが、この状況にどう対処すべきかまだ分かっていないのです」
一方でジャネイは、大統領が女性であることで「より厳しい監視の目が向けられる可能性がある」と語る。「女性大統領としてグレースが下す決断に対して、恐らくより厳しく判断されるでしょう。女性が権力を持つと厳しい目を向けられる傾向にあります。しかし、彼女はこの任務をやり遂げる力を持っています」
しかし、そうした性差別的な要素についてシーズン3では描かれていない。この要素を描いていないのは意図的かと問われたカーンは、「そういった要素なしでもストーリーを進められるという安心感があったのかもしれません。私は、できる限りキャラクターの性別が逆でも成立するように描いています。グレースも女性大統領としてではなく、『大統領となった一人の人間』として描いています」
修復か、決別か――ワイラー夫妻の選択の理由
実質的に離婚状態であるケイトとハルが、表向きには結婚生活を続けて「仮面夫婦」になる決断について、ケイトを演じるラッセルは「ちょっとやりすぎだったと思います」と語った。「ケイトは一貫してハルのキャリアに従ってきましたが、今回はそれに従いたくなかったのです。だから何度も試してみましたが、上手くいきませんでした。だから今度は、こういう関係性を試してみようと思ったのでしょう」
夫ハル役のシーウェルは、「ハルは別居を提案したものの、ケイトとの関係を修復したがっています。相手を必要としていないように見せることで、相手を手に入れられると思っているのです」と語る。
カーンによれば、ハルと仮面夫婦となったことで、ケイトは自分の精神的な課題と向き合うことになる。「ケイトはパイロット版からずっと離婚を望んでおり、その望みを叶えるプロセスが重要だと思いました。そして、2人の関係を終わらせることはできても、自分自身とは向き合い続けなければならないと気づくのです」
『ザ・ディプロマット』シーズン1~3はNetflixで配信中。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- 『ザ・ディプロマット』制作者がシーズン3の展開を語る!「常に政治情勢を気にしている」政治ドラマならではのやりがいと複雑さ
- 【Netflix】2025年10月のおすすめ配信作品|小栗旬主演『匿名の恋人たち』、『ウィッチャー』シーズン4ほか
- マイケル・ファスベンダー主演!Netflix新作ドラマ『Kennedy』でケネディ家の興亡を描く
- 『ザ・ピット』エミー賞制覇!救急医療ドラマが最優秀作品賞を受賞
- 【ハリウッドの政治映画20選】衝撃作『ゲット・アウト』ほか、権力やアメリカ政治を問う傑作を厳選!