ブラッド・ピット主演『F1/エフワン』特別上映──出演者が制作秘話を語る

特別上映の概要
Appleは映画『F1/エフワン』の招待制特別上映会をアカデミー映画博物館で開催した。本作は、現役を退いたF1ドライバー、ソニー・ヘイズ(演:ブラッド・ピット)が、友人の不振チームを救うため30年ぶりにレースへ復帰する物語である。
会場には観客が長蛇の列をなし、観客は上映後のQ&Aにも参加した。ステージには主演のブラッド・ピットに加え、製作を務める史上7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトン、ジョセフ・コシンスキー監督、ジェリー・ブラッカイマー(製作)、そして俳優のダムソン・イドリス、サラ・ナイルズが登壇した。
トークはキャラクター設定、革新的な撮影技術、そして作品づくりにおけるハミルトンの重要な役割へとおよび、視覚効果、音響、編集、演技などクラフト面での成果が強調された。登壇者はたがいの貢献を称え合い、画面上に映し出されたチームワークの化学反応を垣間見せたのである。
企画の発端とハミルトンの役割
「すべては、私がルイス・ハミルトンに連絡を取ったところから始まった」とコシンスキー監督は振り返る。コシンスキー監督はハミルトンを作品の「秘密のスパイス」と表現。脚本の事実確認から、ドライバーとしての実体験に基づくストーリーへの示唆に至るまで、ハミルトンの関与が本作の成功に不可欠であったことを明かした。
ハミルトンは「いつか映画づくりにかかわるのが夢だった。ここ数か月、観客の反応を間近で見られたことは大きな特権である」と語る。さらに「車載映像は、F1本家を上回る出来栄えだ」と述べ、リーグ側が本作のカメラ技術を放送改善に活用する可能性に言及した。
かつてない撮影技術と収録体制
コシンスキー監督は「この映画を撮るためのカメラは企画当初は存在していなかった」と明かす。SONYは『トップガン マーヴェリック』(2022年)で使われた技術を発展させ、マシン外装に装着できる超小型・低背型の試作機を開発。さらにAppleのエンジニアリングチームは、iPhoneをベースにした特注カメラを設計し、実際のF1レース開催中に、F1マシン2~3台に搭載して4K映像を収録した。世界各地のサーキットごとの固有音を捉えるため、コース音のフィールド録音も敢行。映像と音響の素材は5,000時間超におよび、圧倒的なリアリティを目指したチームの執念を物語っている。
実戦さながらの撮影と本物の走行
実際のグランプリ開催中に撮影したため、テイク数は極端に限られ、俳優陣には常に最高の集中力が求められたという。「FIA(国際自動車連盟)に実行可能性を示すため、ストップウォッチでリハーサルしたこともある」とコシンスキー監督は語る。
ピットとイドリスはイギリスGPのフォーメーションラップを本物のF1ドライバーと同走し、観客数十万人の前で時速約180マイル(約290km)に達する走行シーンを自ら演じた。製作のブラッカイマーも「映画でブラッドとダムソンが車に乗っているとき、彼らは本当に運転している」と強調する。
主演2人のトレーニングと役づくり
苛烈な役づくりに向け、主演の2人は徹底的なトレーニングを実施。イドリスは作中の大クラッシュ前に実在のドライバーに取材を行い、「実際に炎の中にいた」と語るほど身体表現の精度を追求した。ライバルでありチームメイトのジョシュア・ピアースを演じるうえで、ベテランのピットと組むことで得た自信が撮影を円滑にしたとも明かしている。
サラ・ナイルズが語るキャラクター創造
サラ・ナイルズは、ジョシュア・ピアースの母バーナデットという重要人物を演じるにあたり、コシンスキー監督の開かれた姿勢が短いシーンを濃密な対話へと変えたと語る。「ジョー(監督)が私にバーナデットというキャラクターを自由に作り上げるための余白を与えてくれた。それが彼女の人物像を形づくるうえでとても重要だった」と述べた。
最終的に、物語の核はピットにとってごく自然に腑に落ちるものだったという。「これは贖罪と再生の物語である。だれもが、もう一度立ち上がらねばならない瞬間を経験している。だからこそ、万人に響くのだ」とピットは語った。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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