山田洋次監督、第38回東京国際映画祭で特別功労賞を受賞
長年にわたり日本映画界を牽引してきた巨匠・山田洋次監督に、ついにふさわしい栄誉が贈られる。第38回東京国際映画祭は、特別功労賞を山田監督に授与することを発表した。60年以上にわたるキャリアの中で、山田監督は戦後日本映画の変遷そのものを映し出してきた存在である。
山田監督は1961年の家庭ドラマ『二階の他人』で監督デビュー。以来、91本もの作品を手がけ、庶民の日常を繊細に描いた人間ドラマから、時代劇の枠を刷新した大作まで幅広いジャンルに挑んできた。なかでも1969年から1995年までに全50作が公開された国民的人気シリーズ『男はつらいよ』は、日本人の心に刻まれた永遠の名作であり、同一俳優が主演する最長の映画シリーズとしてギネス世界記録にも認定されている。
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1970年代の『幸福の黄色いハンカチ』や『故郷』に見られる温かな家庭劇から、晩年の傑作『たそがれ清兵衛』(2002年)、『隠し剣 鬼の爪』(2004年)に至るまで、山田作品を貫くテーマは、日本人のユーモアと誇り、そして時代の流れに静かに耐えながら生きる姿である。
松竹黄金期から現代インディーズの隆盛、そして国際的アートシネマの時代に至るまで、山田監督は日本人の心の風景を描き続けてきた。93歳となったいまも創作意欲は衰えず、最新作『TOKYOタクシー』(仏映画『Une belle course(邦題:パリタクシー)』のリメイク)は、映画祭のセンターピース作品として上映され、11月21日に全国公開される予定だ。
東京国際映画祭のチェアマン安藤裕康氏は「山田洋次監督は、日本社会の現実を洞察力と温かさをもって見つめ、それを数々の映画芸術として結晶させてきた」と称え、「映画への深い愛情と映像文化の未来への確かな情熱」に賛辞を送った。
さらに山田監督は本映画祭で複数の役割を担う。黒澤明賞の審査委員長として、アカデミー賞受賞監督クロエ・ジャオと日本の李相日監督に栄誉を授与するほか、是枝裕和が企画する「TIFFラウンジ」シリーズでは、10月30日に李監督とのマスタークラス対談にも登壇する。
これまで山田監督は、芸術選奨文部大臣賞・毎日芸術賞(1970年)、菊池寛賞(1972年)、紫綬褒章・朝日賞(1996年)、勲四等旭日小綬章(2002年)、文化功労者(2004年)、日本藝術院会員(2008年)、文化勲章(2012年)、東京都名誉都民顕彰(2014年)など、国内外で数々の栄誉に輝いている。
第38回東京国際映画祭は、10月27日から11月5日まで開催される。
▼山田洋次監督作品
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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