ジェレミー・アレン・ホワイト×オースティン・バトラー対談|“魂の融合”が生まれた瞬間──実在のミュージシャンを演じる難しさ

ジェレミー・アレン・ホワイト、『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』より 写真:Courtesy of 20th Century Studios
ジェレミー・アレン・ホワイト、『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』より 写真:Courtesy of 20th Century Studios
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スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』でブルース・スプリングスティーン役を演じるジェレミー・アレン・ホワイトと、『エルヴィス』(2022年)でエルヴィス・プレスリー役を演じたオースティン・バトラーによる対談が実現した。2人はいずれも実在のミュージシャンを演じた俳優として、それぞれの役作りや、実在の人物を演じる難しさについて語り合った。

パフォーマンスか、それとも私生活か──実在のミュージシャンを演じる難しさ

主なトークテーマとなったのは、「ミュージシャンのパフォーマンスと私生活の境界線」だ。バトラーはプレスリーの私生活の表現に悩んだという。

「最初は『エルヴィスはこんなことを言うだろうか?』『彼の声はこんな感じかな?』など、考え込む瞬間がいくつもありました。しかし、その経験が一種の“境界線”になります。ある時点を過ぎた時、ある瞬間、天井を突き抜けて、自分とプレスリーの魂が一体になったように感じました」と、バトラーはプレスリー役の経験を振り返る。

オースティン・バトラー演じるエルヴィス・プレスリー WARNER BROS/COURTESY EVERETT COLLECTION
オースティン・バトラー演じるエルヴィス・プレスリー 写真:WARNER BROS/COURTESY EVERETT COLLECTION

ホワイトは「まさにその通りです」と同意し、スプリングスティーンを演じた心境を明かした。「ブルースのパフォーマンスやインタビューを見ることはできます。しかし、それらはあくまでも公の姿で、ある種の“演技”が含まれます。取材の場での話し方と、母親に向ける言葉のトーンはまったく違います」

「僕も『これはブルースらしい声や見た目になっているだろうか?』と考え、同じ壁にぶつかっていました。参考映像は大量にありましたが、彼のプライベートな姿は誰も知りません。そこには大きな余白がありました。ある時点で自分の考えを手放して、『自分とブルースの感情が繋がっていますように』と願いました」とホワイトは語った。

スプリングスティーン本人が撮影をサポート

ホワイトとバトラーは、役のインスピレーションの源についても語った。

プレスリーは故人であるため、当然ながらバトラーは会うことができなかった。しかし、オーストラリアでロケをしたことに大きな意味があったという。「オーストラリアでの撮影中、日常生活から離れることができたことは幸運でした。その時、コロナ禍に突入して世界全体の状況が一変してしまったのです。しかし、そのおかげでさらに想像の世界に没入できました」

一方、ホワイトはスプリングスティーン役を演じるにあたり、本人から多くの助言を得ることができた。撮影の大部分にスプリングスティーン本人が立ち会い、現場以外でも話す機会があったという。

「ブルースとマネージャーのジョン・ランダウ(映画ではジェレミー・ストロングが演じる)は、長きにわたってすばらしい関係を築いてきたコンビです。ジョンはブルースのキャリアやイメージ、そして公の場で見せるあらゆる面をコントロールしてきたのです。そのため、2人は撮影現場によく顔を出していました。この映画で、2人はブルースのコントロールを少しだけ緩め、スコット・クーパー監督や僕らスタッフ・キャストに委ねたのだと思います」

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』 ジェレミー・アレン・ホワイト(ブルース・スプリングスティーン役)とジェレミー・ストロング(ジョン・ランダウ役)
ジェレミー・アレン・ホワイト(ブルース・スプリングスティーン役)とジェレミー・ストロング(ジョン・ランダウ役) 写真:Photo courtesy of 20th Century Studios. © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は現地時間10月24日より全米の劇場で公開される。日本では11月14日に劇場公開予定。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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