『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』スプリングスティーン本人が絶賛——ジェレミー・アレン・ホワイトの歌声を「自分かと思った」
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は世界規模のプロモーションツアーを経て、 現地時間10月22日(水)、ハリウッドで開催中であるAFIフェストのオープニング作品として上映された。
同作は、シンガーソングライターのブルース・スプリングスティーンがアルバム『ネブラスカ』(1982年)を制作した1980年代初頭を舞台に、その成功の光と影を描く。

レッドカーペットでは、スプリングスティーン役を演じたジェレミー・アレン・ホワイトの歌声について話題に上った。共演したマーク・マロンはホワイトの歌唱シーンについて、「本当に驚きました。ブルースから聞いた話では、本人も自分とジェレミーの歌声を聞き分けられない曲がいくつかあったそうです」と米『ハリウッド・リポーター』に語った。
脚本・監督を務めたスコット・クーパーは、「ホワイトが激しさや繊細さの表現を得意としていることと、ブルースが持つ肉体性や堂々とした態度を兼ね備えていることはもともと知っていました。しかし最初の頃は、歌唱のうまさに確信を持てませんでした」と明かす。
ホワイトはスプリングスティーンを演じるにあたり、ボーカル、ギター、ハーモニカ、そして動作や所作の厳しいレッスンを受けたという。レコーディングは、テネシー州ナッシュビルの歴史あるスタジオ「RCAスタジオB」で行われた。
クーパーはホワイトの歌声を初めて聴いた時、「『なんということだ、信じられない』と思いました。まるで雷に打たれたような衝撃で、私の映画人生における最高の経験の一つです」と絶賛した。

上映後、ステージに登壇したスプリングスティーンは、「この映画を応援してくださってありがとうございます。しかし、私にとって映画の仕事は今夜が最後です。これからは音楽に専念します」と冗談まじりに感謝の意を表した。
このステージでスプリングスティーンは名曲「Land of Hope and Dreams」(1999年)を披露した。その歌唱前、スプリングスティーンは米政治情勢について以下のようにコメントした。
「私は半世紀にわたり、アメリカの“音楽大使”のような存在として旅をする中で、世界中の人々が抱くアメリカへの愛と称賛を目にしてきました。近年のようにアメリカがどれほど傷つけられても、依然としてこの国と理想のために戦う価値はあります。この曲をアメリカへの祈り、そして私たちの団結のために捧げます。“No kings.”(王はいらない)」

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は現地時間10月24日に全米で公開された。日本では11月14日に劇場公開予定。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- 『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』魂の叫び感じる日本版本予告&ポスター解禁──関連作品情報も紹介
- 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』が早くもアカデミー賞最有力候補に?|魂を描く感動音楽ドラマ
- ジェレミー・アレン・ホワイト×オースティン・バトラー対談|“魂の融合”が生まれた瞬間──実在のミュージシャンを演じる難しさ
- ブルース・スプリングスティーン、トランプ政権を「腐敗、無能、反逆的」と批判
- 【音楽伝記映画】エミネムからボブ・ディラン、ホイットニー:音楽史を彩る名作を厳選
