ダイアン・キートン「家づくりの美学」|ビバリーヒルズの約38億円豪邸が話題に
今月、肺炎のため79歳でこの世を去ったオスカー俳優ダイアン・キートンの「家づくりの遺産」が、いまもなお息づいている。キートンが手がけた邸宅が、現在2,500万ドル(約38億円※)で売りに出されたのだ。
『アニー・ホール』(1977年)でアカデミー主演女優賞を受賞して以降、『マイ・ルーム』(1996年)、『恋愛適齢期』(2003年)、『花嫁のパパ』(1991/1995年)、『ファースト・ワイフ・クラブ』(1996年)など、多くの名作で観客を魅了してきた名優である。

「リノベーションの達人」としてのもう一つの顔
キートンは俳優業だけでなく、「リノベーションの達人」としても知られていた。長年にわたり家を修復・転売する「シリアル・ホームフリッパー※」と呼ばれていたのだ。
※趣味や投資として複数の物件を購入してはリノベーション(改装・修復)し、売却して利益を得る人のこと。
今回市場に出たのは、かつてキートンが所有していたビバリーヒルズの豪邸である。1927年築のスパニッシュ・コロニアル・リバイバル様式を特徴とするこの邸宅は、キートンが2007年から2010年にかけて所有していたもので、後に『アメリカン・ホラー・ストーリー』や『モンスター』のクリエイター、ライアン・マーフィーが1,000万ドル(約15億3千万円※)で購入している。現在は不動産会社ビバリーヒルズ・エステーツのブランデン&レイニー・ウィリアムズ夫妻によって販売中だ。
「本物を、本物らしく」──キートンの美学
キートンはかつて『アーキテクチュラル・ダイジェスト』誌の取材でこう語っている。
「本物の家を見つけたら、できる限り『本物らしく』修復したいのです。私はカリフォルニアとその歴史に恋しています。1920年代のロマン、屋内外がつながる暮らし、アーチや快適さ――そうした要素すべてに魅了されているのです。私の夢は、カリフォルニア建築の魅力を体現する家々を買い取り、再生していくことです」
カリフォルニアの夢を体現する邸宅
このロサンゼルスの邸宅は、延べ床面積約780平方メートルにおよび、ベッドルーム6室、バスルーム9室を備える。プールとスパ、スポーツコート、暖炉、ゲストハウス、ジム、ワインセラー、2台分のガレージ、さらに複数のリビング&ダイニングスペースを備えた、まさに「カリフォルニアの夢」を体現する邸宅である。
ダイアン・キートンはスクリーンの外でも、美と情熱を追い求める真のアーティストであった。
※2025年10月27日時点の為替レートで換算
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】
- 【追悼】ダイアン・キートンの名作映画15選 ――『アニー・ホール』ほか不朽の傑作でたどる軌跡
- 2025年、ハリウッドを包んだ悲しみ —— 巨星たちの旅立ち【追悼録】
- 【前編】家族で楽しむハロウィン映画38選 ――『ビートルジュース』、『キャスパー』ほか
- 【後編】家族で楽しむハロウィン映画38選 ――『リメンバー・ミー』、『ハリー・ポッター』ほか
- ロバート・レッドフォードとダイアン・キートンが遺した「人間らしさ」──70年代の輝きと現代の喪失
