第38回東京国際映画祭が開幕、『てっぺんの向こうにあなたがいる』主演の吉永小百合が特別功労賞受賞
第38回東京国際映画祭が27日、開幕した。東京ミッドタウン日比谷前に敷かれたレッドカーペットには、国内外のゲスト約270人が登場。オープニング作品『てっぺんの向こうにあなたがいる』の主演の吉永小百合、のん、阪本順治監督がトップバッターを務めた。
同作は、女性として初めてエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんの半生とその家族を描く物語。映画祭は33年ぶりとなる吉永は「田部井さんとご一緒にこの夜を楽しみたい」と、前面に田部井さんの写真、背面にエベレストをデザインした帯の着物姿を披露した。

オープニングセレモニーでは、吉永小百合が特別功労賞を受賞。日本の俳優としては初受賞で、クリスタルのトロフィーを受け取り、「3年前に大好きな先輩の(スクリプターの)野上照代さんが受賞されているのでとても光栄です。そして、これからも一歩一歩映画の道を歩いていけたらと思う。皆さん、お導きください。ありがとうございます」とさらなる意欲を見せた。

田部井さんの若き日を演じたのんは、「参加させていただいて、お二人とここに立っている喜びにあふれている」と満面の笑み。阪本監督は、「いろいろな映画祭に参加しているが、オープニングは初めてでありがたい。山の映画ではあるが、家族、人生の映画でもあるので先入観なく見てほしい」とアピールした。
初監督作品『イン・アイ・イン・モーション』がウィメンズ・エンパワーメント部門で上映されるフランスの俳優ジュリエット・ビノシュが特別ゲストとして登壇。「映画作りは目の前に深淵が立ちはだかり、自分の繊細な部分をさらけ出さなければいけなかったが、大いに可能性のある作業だった」と語った。

フェスティバルアンバサダーの瀧内公美から「俳優として撮影に当たり大事にしているもの、譲れないものは?」と質問されると、「とにかく精いっぱい突っ走れ」と助言。さらに、「カメラの前に立つということは、神の目に見つめられる感覚。未知の領域を監督といろいろな発見をしていく経験だから」と金言を授けた。
コンペティション部門の審査委員長を務めるイタリアのプログラマーのカルロ・シャトリアン氏は「私にとっても映画を愛する者にとっても日本は大事な国。さまざまな背景を持つ者が集い、全てを終えた時には少し違った自分になっていると思う」と抱負。そして、安藤裕康チェアマンが開会を宣言し、10日間の会期がスタートした。

取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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