第38回東京国際映画祭が開幕|吉永小百合が特別功労賞を受賞、ポール・シュレイダー監督『MISHIMA』が日本初上映
10月27日、第38回東京国際映画祭が華やかなオープニングセレモニーとともに幕を開けた。オープニング作品として上映されたのは、阪本順治監督による新作『てっぺんの向こうにあなたがいる』。女性として初めてエベレスト登頂を果たした登山家・田部井淳子さんを描いた伝記作品である。
国内外のスターが降臨!吉永小百合が特別功労賞を受賞

オープニングセレモニーでは『てっぺんの向こうにあなたがいる』で主演を務めた吉永小百合が特別功労賞を受賞。日本映画の黄金期から現在にいたるまで、数々の名作に出演してきた吉永にとって、本作は実に124本目の出演作となる。
レッドカーペットには吉永や坂本監督、共演ののんをはじめ、第38回東京国際映画祭のナビゲーターを務める瀧内公美や俳優の斎藤工、中国からファン・ビンビンとピーター・チャン、そしてフランスのジュリエット・ビノシュら国内外のスターが次々と登場し、華やかに夜を彩った。
国際的な地位の再構築へ――東京国際映画祭の新たな挑戦
東京国際映画祭は、ながらく方向性の定まらない時期を経て、安藤裕康チェアマンのもと国際的な地位の再構築に乗り出している。日本映画の豊かな遺産や世界的なアニメ人気、日本文化への高まる関心を背景に、より国際的な発信力を強化する狙いだ。
今年のコンペティション部門で審査委員長を務めるのは、元ベルリン国際映画祭アーティスティック・ディレクターのカルロ・シャトリアン。シャトリアンはスピーチで「映画を愛するすべての人にとって、日本という国に来られるのは名誉であり喜びである。私たちは異なる背景や感情を持ってここに集まったが、10日後には少しちがう自分になっているだろう。たがいを知り、この世界を知ること――それこそが映画の力だ」と語った。
会場は厳戒態勢|経済産業副大臣は、日本映画を通じた文化発信へ意欲
会場となった東京・日比谷周辺では、ドナルド・トランプ大統領の来日にともなう大規模な警備体制が敷かれていた。今回の訪問では、天皇陛下との会見や高市早苗首相との会談が予定されており、約1万8,000人の警備員が動員される厳戒態勢となった。
これまでの映画祭では首相からのビデオメッセージが恒例だったが、今年は代わりに経済産業副大臣の井野俊郎氏が登壇。井野氏は、カンヌ国際映画祭併設の「マルシェ・デュ・フィルム」で、日本が2026年のカントリー・オブオナー(Country of Honour)に決定したことを祝福するとともに、大ヒット中の映画『国宝』(2025年)を称賛した。
「近年『国宝』が大ヒットを記録し、日本の文化遺産の中核である歌舞伎への関心が再び集まっている。このような作品が日本文化の振興に貢献していることを、たいへんうれしく思う。政府は今後も、意義深い日本作品の世界への発信を支援していく」と語った。
ポール・シュレイダー監督『MISHIMA』がついに日本初上映
オープニングセレモニーでは、アメリカの名匠ポール・シュレイダーも紹介された。マーティン・スコセッシとの長年の協働で知られるシュレイダー監督は、自身が脚本・監督を務めた1985年の名作『MISHIMA(原題)』を携えて来日。
本作は三島由紀夫の生涯と思想を描いた作品だが、右翼団体の反発により日本では長年上映されてこなかった。三島の生誕100年を記念し、今回ついに“日本初上映”が実現する。
レッドカーペット上でインタビューを受けたシュレイダー監督は「いつか日本で上映されると信じていたが、40年もかかるとは思わなかった」と笑いながら回答。日本の観客へコメントを求められると「ドナルド・トランプのことで、アメリカを責めないでくれ!」とユーモアを交えて締めくくった。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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