『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』鳥肌モノのオープニングが話題に――恐怖と美が融合した衝撃の映像
HBOのホラー・スリラー作品『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』が、第2話の公開に合わせて驚異的なタイトルシークエンスを披露した。ハロウィンに合わせてHBO Maxで数日早く配信されたその映像は、驚くほど美しい。

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メイン州デリーの絵はがきが徐々に崩れる
この幻想的なアニメーションは、1960年代初頭の一見穏やかなメイン州の町を舞台に、その裏に潜む恐怖を少しずつ暴き出していく。絵はがきのように美しい光景が次々と変化し、ペニーワイズによる惨劇から核戦争の脅威に至るまで、悪夢のような連鎖が描かれるのだ。
背景には、1956年の陽気すぎるポップソング「A Smile and a Ribbon」(ペイシェンス&プルーデンス)が流れ、映像の不穏さをさらに際立たせている。このオープニングは、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『ゲーム・オブ・スローンズ』『ウエストワールド』など、数々の革新的なオープニングタイトルを生み出してきたHBOの系譜を受け継ぐ最新の傑作である。
アンディ・ムスキエティ監督の狙い
本作の製作総指揮および監督を務めるアンディ・ムスキエティは、このオープニングのコンセプトを「恐怖への下降」と表現している。着想の原点は、映画版『イット』で使われた観光ポストカード風のタイトル「ウェルカム・トゥ・デリー」にあったという。
ムスキエティはこう語る。「『ウェルカム・トゥ・デリー』という名前には観光地らしい響きがあり、ポストカードや美しい外観を連想させる。しかしそれこそがデリーという町の本質なのだ。見た目は健全で魅力的だが、その下には得体の知れない恐怖が潜んでいる」
災厄の歴史を1本の映像に封じ込める
ムスキエティはまた、このタイトルシークエンスを制作したスタジオ「フィルモグラフ(Filmograph)」をおおいに称賛している。「制作過程では何度も微調整を重ねた。次の一歩をどこまで踏み込むか、そのバランスを慎重に探った。これは、スティーヴン・キングの原作『イット』で描かれる壮大な災厄の連なり──すべてが鉄工所の爆発へと収束していく流れを視覚的に反映したものなのだ」と語る。

なお、オープニングに登場する鉄工所の爆発や、その他の出来事がすべてシリーズ本編で描かれるわけではない。少なくとも第1シーズンでは、その多くが直接的には登場しない見込みである。シークエンスの中で印象的な場面のひとつに、1930年代に実際に起きた「ブラッドリー・ギャング」の銃撃戦があるが、これも象徴的な要素として扱われている。

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「A Smile and a Ribbon」の不穏さ
重要な役割を果たしているのが、挿入曲「A Smile and a Ribbon」だ。当初、この楽曲は登場人物が学校へ行く準備をするシーンに使われる予定だったという。しかし試しにオープニングに当てはめてみたところ、驚くほど完璧にフィットしたのだ。映像が進むにつれてどんどん奇妙さと不気味さを増していく中、この曲は「幸せだと声を上げれば上げるほど、それを信じてしまう」という不穏な一節を響かせ、物語全体の狂気と皮肉を象徴するテーマとして見事に機能している。
「この曲は『心の状態を偽ること』、つまり『感情を装うこと』について歌っているのだ。あれほど美しいメロディーに包まれたメッセージが、実はそれ自体で恐ろしいのである」とムスキエティは語る。
やり過ぎ寸前まで攻めたビジュアル設計
タイトル映像を手掛けたフィルモグラフのチームも、制作の舞台裏について興味深いエピソードを明かしている。なかには、ムスキエティでさえ「やり過ぎだ」と感じた要素もあったという。
フィルモグラフのディレクターであり代表のアーロン・ベッカーはこう語る。「私たちの課題は、スティーヴン・キングの原作小説からインスピレーションを得て、さらにドラマの世界に存在する情景をつなぎ合わせる方法を見つけることだった」

「アンディ(監督)は、過去へ遡るというアイデアに強いこだわりを持っていた。しかも、それを特定の媒体で表現したいと考えていたんだ。小さな町のギフトショップで売られているような観光ポストカードを通してね。それが、キング作品の語り口、そしてデリーという町の性質に完璧に合致していたのである」とベッカーは語る。
CG×フィルムの質感
アニメーション自体はCGで制作されたが、HBOは完成した映像をあえてフィルムに焼き付けることを許可した。これにより、わずかにざらついた質感が加わり、リアリティと時代感がいっそう高まったという。
「アンディはずっと言っていたんだ。『もっと汚く見えるバージョンがいい』ってね」と、関係者は笑いながら語る。
そのフィルムグレインのざらつきは、挿入曲とも絶妙に調和している。当時の録音特有のノイズ──レコードのスクラッチ音やパチパチとした雑音──がそのまま残る「A Smile and a Ribbon」は、まるで映像の質感と呼応するかのようだ。
フィルモグラフのプロデューサー、トロイ・ジェームズ・ミラーはこう語る。「曲を手に入れて映像に合わせてみたら、ほとんど完璧にシンクロしたんだ。これはまさにこの作品のための一曲だと確信したよ。それ以来、この曲が頭から離れないんだ」
「スキップしないで観てほしい」オープニング
「この曲があったからこそ、映像がさらに輝いたんだ」とベッカーは語る。「楽曲そのものが強烈な違和感を持っているからね。子どもたちが成長していく中で、自分の恐怖を本物ではないと必死に思い込もうとする──その心の動きを、この曲はまさに鏡のように映し出しているんだ」

フィルモグラフのエグゼクティブ・プロデューサーであり共同代表のセス・クラインバーグも付け加える。「視聴者には、まるで作品本編と同じように『イースターエッグを探す感覚』でオープニングを見てほしいと思っている。スキップせずに細部まで注目してもらえれば、私たちが仕込んだ無数のディテールに気づけるはずだ。それこそが特別な体験になる。このプロジェクトは、私たちにとって本当にお気に入りの作品なんだ」
クライマックスに潜むイースターエッグ
このシークエンスには、1908年のイースターエッグ・ハントの最中に起きた「鉄工所爆発事件」を描いたポストカードも登場する。クライマックスを飾るその一枚には、炎から逃げ惑う少女の姿が描かれているが、当初は彼女の目玉が飛び出すという、さらに衝撃的な演出が予定されていたという。しかしそれはさすがに『やり過ぎ』と判断され、ムスキエティの指示で修正された。「あれはやり過ぎだった。だから少し引き戻したんだ」とクラインバーグは笑う。
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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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