【LGBTQボイス第2弾】Netflix『ボーイフレンド』出演で話題の、高橋アランにインタビュー!「違うからこそ特別」多文化のルーツと自分らしさを語る
「LGBTQボイス」の第2弾として、ハリウッドリポーター・ジャパンは、Netflixの人気リアリティー番組『ボーイフレンド』への出演で話題の、モデル/インフルエンサーの高橋アランにインタビューをおこなった。
連載「LGBTQボイス」では、毎月エンターテインメント界で活躍するLGBTQ+コミュニティの方々に焦点をあて、彼らの声を広く届け、サポートしていくことを目的としている。
第2回は、高橋アランをお迎えした。

高橋アランは、イタリア&ブラジル人の父と日本人の母のもとに生まれ、日本育ちでありながら生粋のブラジル人さながらの天真爛漫な性格の持ち主。カポエイラやサンバ、トゥアークなどブラジルカルチャーに精通する。
Netflix『ボーイフレンド』出演後、日本国内のみならず世界中からの反響に応えていくべく表現者・発信者として日々活動中。音声配信プラットフォーム「Artistspoken(アーティストスポークン)」にてポッドキャスト番組「高橋アランのBONCHACHA」も配信している。
【動画】リアリティシリーズ「ボーイフレンド」予告編 – Netflix
今回のインタビューでは、『ボーイフレンド』出演の経緯や番組を通して得た気づき、そしてファンへの想いや「自分らしさ」、また、多文化的なバックグラウンドが彼のアイデンティティや表現活動にどのような影響を与えているのか、そしてLGBTQ+の一人として伝えたいメッセージについても語ってもらった。
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ーーーまずは自己紹介をお願いします。
高橋アラン: 高橋アランです。Netflixの恋愛リアリティ番組『ボーイフレンド』に出演しました。現在はポッドキャスト「高橋アランのBONCHACHA」などもやっています。いつも楽しく生きている、ただのハッピー野郎です!

出演のきっかけは直感から
ーーーNetflixの恋愛リアリティ番組『ボーイフレンド』に出演が決まったとき、どんなお気持ちでしたか?
高橋アラン: プロデューサーのタイキさんとは、十年ほど前、僕が東京に出てきた頃に出会っていました。数年後、インスタでつながったままになっていて、彼から「こういう番組をやるよ」とDMをもらったんです。当時は恋人がいたので「素敵ですね」で終わっていたのですが、その後に別れて、ちょうど名古屋で働いていた頃、とあるイベント関係者の方から「東京においでよ」と誘われたんです。直感で行ってみたら、偶然そのイベントにタイキさんとNetflixのチームがいて。「何してるの?」「こういう番組をやってるんだ」「じゃあ明日プロフィール送って」と言われたのがきっかけです。男性同士の恋愛リアリティ番組はそれまで見たことがなかったので、純粋にワクワクしましたね。

出演を通して感じた人とのつながり
ーーー番組を通して、自分自身にどんな変化や気づきがありましたか?
高橋アラン: 配信開始から一年ほど経って、ボーイズみんなで集まったとき、最初に頭に浮かんだのはファンの皆さんの存在でした。「旦那と一緒に観ていました」「子どもと観ていました」「人生が変わりました」「大切なものに気づけた」…そんな言葉を直接もらうたび、僕自身も気づかされていたんです。
『ボーイフレンド』は、恋愛番組でありながら“人と人との思いの循環”を描いた作品。言葉や行動で気持ちを伝え続けることの大切さを、僕はこの番組で学びました。これからの人生でも、誰かの心に届く“生きた言葉”を大切にしていきたいと思います。
人の勇気を描いたリアリティショー
ーーーこの『ボーイフレンド』がほかの恋愛リアリティショーと違うのはどんなところだと思いますか?
高橋アラン: 男性同士というテーマはもちろん大きな違いですが、根底にあるのは「勇気を持って気持ちを伝える」「自分と向き合う」という人間的な部分。恋愛の形がどうであっても、人が誰かを想う気持ちに変わりはない。そんなメッセージがある作品だと思います。最初は壁を感じていた人も、観るうちにその壁が薄れていく。そんな番組になったと思います。
急な変化と感謝の気持ち
ーーー今まではいわゆる普通の人だったのに、ある日突然急に人気が出てスポットライトが当たる状況になりました。そのことをどう感じていますか。
高橋アラン: 「人生ってここまで変わるんだ!」という驚きと感謝の連続でした。スーパーで声をかけてもらえたり、憧れの人と直接話せるようになったり。でも僕が大切にしているのは“感謝を忘れないこと”です。変化を受け入れながらも、そこに感謝を持ち続けることで、人生はより楽しくなると思っています。

転校生のような緊張感と仲間意識
ーーーカメラの前で自分をさらけ出すことに、迷いや葛藤はありませんでしたか?
高橋アラン: ありました。僕は途中参加だったので、すでに出来上がった関係性の中に入る緊張がありました。カメラ自体は好きなんですが、“人と人”としてどう関わればいいのかを常に考えていました。まるで転校生の気分ですね。でもそのなかで、自分が“つなぐ役”になれると気づいた。僕のようなキャラクターは他にいなかったので、それを武器に、みんなと話し、つながりを広げていこうと思いました。
印象に残る人間関係の瞬間
ーーー番組の中で特に印象に残っているエピソードや瞬間があれば教えてください。
高橋アラン: 入居して2日目くらいに、家のルール(ゴミの分別など)でちょっとしたすれ違いがあったんです。悪気はなかったんですが、言葉の選び方ひとつで受け取り方が変わることに気づきました。後の「鶏むね肉ジュース」の話し合いでもそうでしたが、誰も悪者ではなく、みんなが“よりよい関係を作りたい”という思いで動いていた。衝突をきっかけに、むしろ絆が深まった瞬間でしたね。人と本気で向き合うことの大切さを改めて感じました。
ファンからもらった人生の宝物
ーーー番組放送後、視聴者からの反響で印象に残っているメッセージや出会いはありましたか?
高橋アラン: あります。「つらい時期を支えてくれてありがとう」と震える手で手紙を渡してくれた方がいました。上智大学のセルフラブのトークショーや、プライドのランウェイイベントにも来てくれて、「ありのままの自分で幸せ者になる」と宣言して歩く姿を見たとき、涙が止まりませんでした。僕が何気なく“日々の小さな宝物”を大切にしていたことが、誰かの人生を救うことにつながっていた。その事実に胸が熱くなりました。そういう関係を、これからも大切にしていきたいです。

ズッ友であり続けるボーイズたち
ーーー共演者の方々とは今も交流がありますか?
高橋アラン: あります、ズッ友です。『ボーイフレンド』はみんなで作り上げた作品。会うたびに、心の中に新しい花が咲いているような感覚があります。深い話もバカ話もできて、関係性に水をやるように、互いを育て合える仲間です。
【動画】第4回 『ボーイフレンドナイト』全員集合! | ボーイフレンド | Netflix Japan
多文化の中で育まれたアイデンティティ
ーーーイタリア・ブラジル・日本という多様なルーツをお持ちですが、ご自身の中で特に影響を感じている文化はどれですか。
高橋アラン: 僕は2歳からずっと日本で育ちましたが、ブラジルの「ハッピーで音楽が大好きな国民性」は僕の中にしっかり生きています。子どものころは見た目で浮いたり、のけ者にされたりすることもあった。でも「違うから特別」という感覚をくれたのがブラジル文化でした。いま同じ思いをしている子がいたら、「その違いこそが魅力だよ」と伝えたいですね。
ーーーブラジルに行く予定はありますか。
高橋アラン: まだなんです。生まれてすぐ日本に来たので、行ったことがないのに“ブラジルが恋しい”という不思議な感覚があります。いつか必ず行って、29年ぶりに家族と再会したいです。
恋愛における心と心のつながり
ーーー『ボーイフレンド』の中でも描かれていましたが、ご自身の恋愛観について教えてください。
高橋アラン: 僕にとって恋愛の中心は「心のつながり」です。『ボーイフレンド』出演前までは、自分の恋愛のスタイルを固定していたけど、こだわりすぎると新しい経験を逃すと気づきました。見た目や第一印象で判断せず、柔軟に感じることが大切。「自分の好きな部分を増やしていくコレクターでありたい」と思っています。恋愛も自己発見の連続です。
ーーー番組の中では、ネタバレにならないように言いますと、最後あの方と結ばれましたね。
高橋アラン: 家の中で最も長く時間を過ごした相手でした。最初から「好きです」ではなく、「ありがとう」から始まる関係。僕は物事をはっきり言うタイプですが、彼と過ごす中で“言葉以外のコミュニケーション”の大切さを学びました。今も彼のことを尊敬しているし、何があっても応援しています。彼が心から幸せになれる人に出会えたら、僕は本当に嬉しいです。

ラベルを超えて伝えたいこと
ーーーLGBTQ+をテーマにした番組への出演は、社会的にも大きな意味を持っていたと思います。出演者として、どんな思いで臨まれていましたか?今の日本社会におけるLGBTQ+コミュニティの現状について、感じていることがあれば教えてください。
高橋アラン: 自分がゲイなのかバイなのか、そういったラベルを決めすぎないまま出演しました。大事なのは「人間対人間としてのつながり」であって、恋愛の形ではない。最初は「自分とは無縁」と感じていた視聴者の方が、「結局は同じ人間なんだ」と感じてくれる。それがこの番組の本当の意味だと思います。『ボーイフレンド』を通して、誰もが“愛すること”“想いを伝えること”に勇気を持てる世界になったら嬉しいです。
ーーーたしかに。もう垣根を超えた、自分とは縁のない世界だとかじゃなくて。結局のところ、人間同士の繋がり、絆という意味で、みんなやっぱり一緒なんですね。アランさんはそのメッセージを、本当に全面に伝えてくれたので、良い影響を受けた方々がたくさんいると思います。
高橋アラン:本当にそうだと思います。もう本当に素敵な経験だったなって思います。

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【関連リンク】
ポッドキャスト番組「高橋アランのBONCHACHA」: https://tr.ee/QxCP27l2fw
高橋アラン公式インスタグラム: https://www.instagram.com/alantakahashi_official/
公式TikTok: https://www.tiktok.com/@takahashialan
公式X: https://x.com/TAKAHASHIALAN1
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