円谷英二がVFXの世界的団体VESの殿堂入り、日本人初の栄誉
「日本特撮の父」と呼ばれる円谷英二が、視覚効果(VFX)の専門家を網羅的に代表する国際的な名誉専門職団体VES(Visual Effects Society)の生涯功労賞であるHall of Fame(殿堂入り)に選ばれ、8日、ロサンゼルスのソニー・ピクチャーズ・イメージワークスで表彰式が行われた。
過去にウォルト・ディズニー、スタンリー・キューブリック、ジョルジュ・メリエスらそうそうたる顔ぶれが選出されており、円谷は日本人としては史上初の殿堂入りとなる名誉。表彰式には円谷が設立した円谷プロダクションの永竹正幸社長とウルトラマン、バルタン星人が出席した。

永竹氏は、「歴史的な瞬間に立ち会わせていただき、大変光栄に思います。この殿堂入りに関わった全ての方々に、心よりお祝いと感謝を申し上げます」と挨拶。「円谷英二は『見ている人たちに喜びや驚きを与えたい。その喜びや驚きを糧に、想像する喜び、未来に向かう希望、平和や愛を願う優しさなどを育んでもらいたい』と、常に作品を通じてこの思いを伝えようとしていました」と継承している信念を説明した。
その「空想の力」を駆使して生み出したのが、1954年の『ゴジラ』や1966年に始まった「ウルトラマン」シリーズで、世界中の映画制作者に多大な影響を与え続けた。永竹氏は、「円谷英二の功績を、単に技術的な面にとどまらず、国境や時代を超えて未来のクリエイターたちに影響を与え続ける普遍的なインスピレーションの源泉として位置づけ、称えるものです」と、その意義を強調した。

VESは、世界50カ国以上に5000人を超える会員を擁する組織で、円谷の殿堂入りは「VFXの礎を築いたパイオニア」として世界の映画界にその功績が認められたもの。今年2月には俳優の真田広之が「VES Award for Creative Excellence」、山崎貴監督が「VES Visionary Award」を受賞している。
円谷は撮影技師の助手としてキャリアをスタートさせ、カメラマンに昇進すると当時の最先端技術を探求し、日本映画界初の鉄製の撮影用クレーンを制作。さらに、『キング・コング』(1933)に感化され、特撮技術の研究と開発に従事。真珠湾攻撃を再現した『ハワイ・マレー沖海戦』(1942)でその才能を開花させた。
ミニチュアワーク、多重合成、スクリーン・プロセス、光学合成などあらゆる特殊技術の先駆者となり、『ゴジラ』でその名を世界にも知らしめた。1963年に円谷特技プロダクション(現円谷プロダクション)を設立。「ウルトラマン」シリーズを立ち上げたほか、後進の育成や技術継承に取り組んだ。

記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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