『モンスター:エド・ゲインの物語』主演チャーリー・ハナムと制作者が伝えたかったメッセージ――「現代社会にも繋がる物語」
現地時間11月9日(日)、Netflix『モンスター:エド・ゲインの物語』のFYCイベント(エミー賞ノミネート推薦イベント)が行われ、主演のチャーリー・ハナム、共同クリエイターのイアン・ブレナン、エグゼクティブ・プロデューサー兼監督のマックス・ウィンクラーが登壇した。
本イベントでは、本作の主人公のモデルであり1950年代に実在した殺人鬼エド・ゲインについて、さまざまな考察が交わされた。
単なる“連続殺人ドラマ”にしない——描きたかったのはエド・ゲインの“感情”
本作は、ブレナンとライアン・マーフィーによるNetflixホラーシリーズの第3弾。第1弾はジェフリー・ダーマー、第2弾はメネンデス兄弟が題材となった。ブレナンは「このシリーズでは、誰を主人公にするかを決める際に、試行錯誤を繰り返しています」と明かした。

「視聴者の多くは『どうせ連続殺人犯のドラマでしょ』と言い、殺人シーンや殺人犯の物語はウケません。ましてや、10時間もかけて犯人の頭の中を覗くほど興味を持つ人は少ないのです。頓挫したパイロット版もいくつもあります」
シリーズ第1弾のダーマーは、ブレナンがどうしても描きたかったテーマだった。一方で、マーフィーは数年前からゲインを描くことにこだわっていたという。ゲインは、女性を殺害してその皮を身にまとうほか、墓を掘り返すなど猟奇的な犯罪を続けていた。この事件は数々の模倣犯を生み、『サイコ』(1960年)や『悪魔のいけにえ』(1974年)などの作品にインスピレーションを与えた。
ウィンクラーは「私が興味深いと感じたのは、エドは自分がどう見られているかについて、発言する機会がなかったことです。彼の行動の数々は衝撃的ですが、物語が展開するにつれ、彼が実際にどんな感情を持っていたのか理解できるようになります。それは最も重要なことだと思います」と語った。
さらにウィンクラーは、次のように続けた。「エドは『大勢の人を殺して乳首のベルトを作った、ただの精神異常者だ』と見られがちです。しかし、実際に彼が受けた虐待やトラウマ、彼を苦しめた精神疾患、当時のアメリカという時代背景、ニクソン政権下のメンタルヘルス政策などを掘り下げれば、かなり説得力があり、誠実に、思いやりを持って語る価値のある物語だと感じました」
ハナムは、ゲインの犯罪を模倣する事件が起きた際、「エドは治療を受けて安定した精神状態になっていました。しかし、自分が恐ろしい模倣犯を生んだかもしれないということに、ひどく恐怖を感じていたのです」と説明する。

ゲイン役を引き受けた経緯と葛藤
ハナムは、マーフィーがゲイン役の第一候補に挙げた俳優だった。オファーを受けた時、ハナムはゲインの役柄についてマーフィーと2時間話し合った結果、二つ返事で承諾したという。
ハナムはゲインを演じるため、彼について徹底的に調べた。しかし、凶悪事件に関する資料を読んで「(オファーを受けたことは)間違いだった」と感じたことを明かした。その後、マーフィーから「私たちはエドの行動自体にはあまり興味がない。彼はなぜあんな行動を取ったのか、そして人間を“モンスター”に変えてしまう原因は何なのか、その答えを見つけたかった」と説明され、納得したという。
本作が現代社会に与える影響について問われたブレナンは、このように説明した。「精神疾患と男性の孤立が掛け合わされると、危険が生じます。これはどんな場所でも起こりうることであり、人々の孤立化はますます進んでいます。現代の殺人犯も、孤独と精神疾患を抱えた男性であることが多いのです。こうした時代に生きる私たちにとって、本作は非常にタイムリーなものだと感じます」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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