戦争アニメ『ペリリュー』公開、映画初主演の板垣李光人「感じたままを反映させるよう演じた」
アニメーション映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』が5日、全国325館で封切られ、声優を務めた俳優の板垣李光人と中村倫也、久慈悟郎監督、原作者で共同脚本の武田一義氏が初日舞台挨拶を東京・新宿バルト9で行った。
太平洋戦争の激戦地・ペリリュー島で、終戦を知らずに2年間生き抜いた34人の若き兵士たちを描く。原作の同名コミックは、愛くるしいキャラクターと史実に基づいたリアリティあふれる戦闘シーンとのギャップが高い評価を受け、日本漫画家協会優秀賞を受賞している。

板垣は、死んでいく仲間の最期を書き残す「功績係」の田丸役で映画初主演。自身と同世代の過酷な経験に思いをはせ、「今の我々では理解しきれない部分もあるが、現代の我々に近い目線で、自分のまま、感じたままを反映させようと演じた」とアフレコを振り返った。
描写については、「絵柄自体は可愛らしい、優しい雰囲気だが、内容は生々しく凄惨。このタッチでなければ描けないところもあって、神のような塩梅(あんばい)だと感じた」と説明。「皆さんの心の中に種がまかれたと思う。それを育てていくのも良し、そっとしておくのも良いと思う。でも、その種が多くの人に植わってくれれば」と呼びかけた。

一方の中村は、田丸が信頼を寄せる上等兵・吉敷役。武田氏から「第一声から戦場で強く冷静なだけでなく、父親がおらず母と妹を持つ長男としての吉敷でいてくれて想像以上」と絶賛され、「声優は難しいからこそやっていきたい。仕事増えるかなあ。売れたいなあ」と素直な思いを吐露し、会場の笑いを誘った。
武田氏は、「戦争ものは年齢層が高くなりがちなので、グッとハードルを下げて若い人にも見てもらいたかった。現代の子供が見ても友達のように思えるように描いたので、お子さんが見てくれるのはうれしいですね」と感慨深げ。久慈監督は、「2人それぞれの最後のセリフが大切で、スタッフ一同注目していたが、バシッと一発で決めてくれた。いい映画ができたなと思う」と感慨深げに話した。


『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1』
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取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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