米批評家が選ぶ!2025年ベスト海外ドラマ&アニメベスト10|『キャシアン・アンドー』『プルリブス』『アドレセンス』…話題作が目白押し

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左から『Mussolini: Son of the Century(英題)』『ザ・スタジオ』『Common Side Effects(原題)』『キャシアン・アンドー』『Such Brave Girls(原題)』『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』 写真:Andrea Pirrello; Apple TV+; Adult Swim; Disney+; Courtesy of HBO; Vishal Sharma/Disney
左から『Mussolini: Son of the Century(英題)』『ザ・スタジオ』『Common Side Effects(原題)』『キャシアン・アンドー』『Such Brave Girls(原題)』『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』 写真:Andrea Pirrello; Apple TV+; Adult Swim; Disney+; Courtesy of HBO; Vishal Sharma/Disney
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米『ハリウッド・リポーター』は、批評家ダニエル・ファインバーグとアンジー・ハンが選ぶ今年のテレビ番組ベスト10を発表した。スター勢揃いの話題作から新作アニメまで多彩な作品が並んだが、以下の作品は2人ともベスト10に選出している。

ぜひ年末年始のお供に、お気に入りの海外ドラマ・アニメを見つけてほしい。


ダニエル・ファインバーグが選ぶベスト10

今年、私が最も衝撃を受けた作品は『ムッソリーニ:世紀の落とし子(英題:Mussolini: Son of the Century)』と『キャシアン・アンドー』だ。この2作はいずれも悪の台頭を深く掘り下げ、ファシズムへの警告を発している。現代の私たちの生活には、100年前のヨーロッパの生活と多くの共通点があることが分かった。

世界的なパンデミックや長期にわたる何度かのストライキを経て、メディア統合の影も迫る中、今年はMubiのようなインディペンデント系制作のドラマや北極を舞台とする『ここが世界の最北端』など、一風変わったすばらしい作品が台頭した。

また、新進気鋭のクリエイターも活躍している。伝記ドラマや医療ドラマといった定番ジャンルでも、リアリティとコメディを融合させた作品や従来の概念を覆すアニメ作品が登場した。

1. 『ムッソリーニ:世紀の落とし子(英題:Mussolini: Son of the Century)』(Mubi)

『ムッソリーニ:世紀の落とし子(英題:Mussolini: Son of the Century)』 写真:Andrea-Pirrello
『ムッソリーニ:世紀の落とし子(英題:Mussolini: Son of the Century)』 写真:Andrea-Pirrello

『ムッソリーニ:世紀の落とし子』は、イタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニが台頭した時代を舞台に、迫り来るファシズムに強烈な警告を発している。

ステファノ・ビセスとダヴィデ・セリーノが脚本を執筆し、ジョー・ライトが監督を務めた本作は全8話構成。オペラやドイツ表現主義、初期映画の原初的な手法を借りつつ、恐ろしいプロパガンダ作品に仕上がっている。視聴者は、ムッソリーニを演じるルカ・マリネッリの野性的な演技に圧倒されるだろう。

シェイマス・マクガーヴェイによる息をのむような撮影法と、音楽ユニットのケミカル・ブラザーズのトム・ローランズによる音楽が不気味さを際立たせている。

2. 『キャシアン・アンドー』シーズン2(Disney+)

『キャシアン・アンドー』 写真:Disney+
『キャシアン・アンドー』 写真:Disney+

スター・ウォーズ』シリーズのドラマ『キャシアン・アンドー』は、シリーズ最高傑作と評される『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)へと続く最後の4年間を描いた前日譚だ。

監督のトニー・ギルロイはスター・ウォーズの世界観の中で、知的かつ怒りに満ちたスリリングな本作を生み出した。この大胆さに敵う作品は滅多にないだろう。

今年配信されたシーズン2は全12話構成。同シリーズらしい壮大な興奮の中にも、第2次トランプ政権の台頭やガザ侵攻の泥沼化、そして権威主義的な政治と市民の不安を投影し、あらゆる紛争の考察に役立つ一つの視点を提供した。本作は今や、今後すべてのスター・ウォーズ作品の方向性を判断する基準となっている。

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3. 『アイズ・オン・ザ・プライズ/自由をかけた戦い 1977-2015』(HBO)

『アイズ・オン・ザ・プライズ/自由をかけた戦い 1977-2015』 写真:HBO
『アイズ・オン・ザ・プライズ/自由をかけた戦い 1977-2015』 写真:HBO

『アイズ・オン・ザ・プライズ/自由をかけた戦い 1977-2015』は全6話からなるドキュメンタリーシリーズ。1950~1960年代に行われた公民権運動以降の有色人種たちの戦いが、6人の監督によって映し出された。

各エピソードは、サウスブロンクスのコミュニティ活動やアファーマティブ・アクションを求める闘争、ミリオン・マン・マーチ(100万人大行進)の様子など、有色人種が権利を勝ち取るまでの長い道のりを視聴者に思い出させる。

そして彼らが苦労の末に勝ち取った多くの成果は、トランプ政権によって再び覆されようとしている。視聴者は本作を現代と照らし合わせて観ることになるだろう。

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4. 『‎リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習』シーズン2(HBO)

『‎リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習』 写真:John P. Johnson/HBO
『‎リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習』 写真:John P. Johnson/HBO

コメディアン・俳優のネイサン・フィールダーが送る『‎リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習』は、シーズン1の時点でコメディ、リアリティ番組、そして自伝といった要素が見事に融合していた。そして今年配信されたシーズン2では、さらにスリリングな飛躍を遂げている。

飛行機事故に興味を抱いたフィールダーは、パイロットと副操縦士のコミュニケーション改善に乗り出す。そのプロジェクトの中で歌のコンテストを開催したり、大物議員と面会したりと、フィールダーはドタバタ劇を繰り広げるが……。最終的にはフィールダー自身が自閉症の診断を受けるなど、シリアスとコメディの両軸で展開される。

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5. 『長くて短くて、短くて長い』(Netflix)

『長くて短くて、短くて長い』 写真:Netflix
『長くて短くて、短くて長い』 写真:Netflix

『長くて短くて、短くて長い』は、『ボージャック・ホースマン』(2014~2020年)以来となるラファエル・ボブ=ワクスバーグの単独アニメ作品だ。家族とユダヤ教をテーマとする本作は、『ボージャック・ホースマン』ほど話題にならなかったものの、記憶と時間を巧みに操り、家族とはどのような存在かを描き出している。

各話の展開も面白く、ボブ=ワクスバーグの駄洒落や言葉遊び、ユーモアが暗いシーンにもちりばめられている。これらのピースが組み合わさることによって、さらに美しい作品に仕上がっている。

6. 『ローダウン 独自調査ファイル』(FX)

『ローダウン 独自調査ファイル』 写真:Shane Brown/FX
『ローダウン 独自調査ファイル』 写真:Shane Brown/FX

『レザベーション・ドッグス(原題:Reservation Dogs)』(2021~2023年)で知られるスターリン・ハージョが監督を務めた『ローダウン 独自調査ファイル』は、ジャーナリストであるリー・レイボン(演:イーサン・ホーク)の型破りな活躍を描くミステリーコメディだ。

本作は一見、よくある複雑な推理ドラマのように見える。しかし実際には、文化のるつぼであるオクラホマを称えており、暴力シーンにも独特の魅力を見出すことができる。緻密に構成された物語というよりは、魔法のようなシーンと雰囲気を集めた作品と言えるだろう。しかし、一瞬一瞬のカットが美しく、心地よく感じられる。

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7. 『プルリブス』(Apple TV)

『プルリブス』 写真:Apple TV
『プルリブス』 写真:Apple TV

アルバカーキを拠点に活動するヴィンス・ギリガンは、自身がプロデューサーを務めた『X-ファイル』シリーズ(1993~2018年)のルーツに立ち返っている。『プルリブス』は『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)をベースに、非常に面白くも、悲しく独創的な世界を描き出した。

本作はシンプルな設定だが、消化不良を抱えたヒロインを通して、スリリングな多種多様の方法で展開する。古い世界に居心地の悪さを感じ、それ以上に明るく新しい世界を嫌う主人公を演じるレイ・シーホーンは、本作で「人気俳優」から「国民的俳優」へとステップアップを遂げた。

8. 『アドレセンス』(Netflix)

『アドレセンス』でエミー賞に史上最年少でノミネートされたオーウェン・クーパー Courtesy of Netflix
『アドレセンス』 写真:Netflix

ジャック・ソーンスティーヴン・グレアム制作による『アドレセンス』は、今年最も話題になったドラマ作品の一つだ。本作をここまで押し上げた要因の一つは、単なる「離れ業」にとどまらない技術と、単なる「論争」にとどまらないテレビ的な演出の組み合わせだ。

フィリップ・バランティーニ監督による長回しのワンショット撮影は、時にはある部屋での会話を、閉所恐怖症の発作が起きたようなスリラーへと変える。グレアム、エリン・ドハーティ、そしてブレイク中の新人オーウェン・クーパーといったスター俳優たちは、ワンショット撮影にのまれることなく、混乱の中で一人の少年の教訓的な物語を演じきった。

9. 『サッチ・ブレイブ・ガールズ(原題:Such Brave Girls)』(Hulu)

『サッチ・ブレイブ・ガールズ(原題:Such Brave Girls)』 写真:Hulu
『サッチ・ブレイブ・ガールズ(原題:Such Brave Girls)』 写真:Hulu

キャット・サドラー監督・主演によるコメディ『サッチ・ブレイブ・ガールズ』は2023年にシーズン1が配信され、今年シーズン2が制作された。本作には過激でブラックな笑いが数多く仕掛けられ、精神疾患や不幸な恋愛、そして死といったテーマの中にもユーモアを見出している。

本作はルイーズ・ブリーリーが演じる母親と、サドラーとリジー・デイヴィッドソンが演じる姉妹を通じて「家族のトラウマ」を描いている。サドラーの自信に満ちた声は、家庭に充満した毒素を辛辣なパンチラインに変える。

10. 『ここが世界の最北端』(Netflix)

『ここが世界の最北端』 写真:Jasper Savage/Netflix
『ここが世界の最北端』 写真:Jasper Savage/Netflix

ステイシー・アグロック・マクドナルド、アレシア・アルナクク=バリル制作の『ここが世界の最北端』は、北極圏を舞台とした心温まるコメディだ。撮影はカナダ北極圏のイヌイットコミュニティで敢行された。

数ある成長物語の中でも、本作はわずか8話の中に独自の解釈を加え、北極圏の人々のユニークな一体感を描いている。アンナ・ランブのキラリと光る演技にも注目だ。


アンジー・ハンが選ぶベスト10

ここ数年、テレビ番組の大きな低迷が話題となっているが、ここ数カ月間は特に注目すべき作品が見当たらなかった。今年のテレビ番組が注目を集めた話題のほとんどは、スティーヴン・コルベアの番組終了やジミー・キンメルの番組放送停止、Apple TVのドラマ『サヴァン』の配信延期など、政治的動揺を反映したものだった。

ドラマについては、既存作品を拡張したものやニュースから着想した犯罪ドキュメンタリーなど、いわゆる「安全パイ」とされるジャンルが目に付いた。しかし、これらの作品が長期的にヒットすることは少なく、多くはすぐに忘れ去られていく。また、「メディア統合」と「生成AIの台頭」という2つの大きな課題が迫る中、テレビ業界の将来が明るいとは到底思えない。

そうした状況でも、すばらしい番組は確かにあった。今年は衝撃的にはっきりと時代を捉えた番組や、親しみやすさで心を慰めてくれる番組、その正反対の独創性で楽しませてくれる番組に出会うことができた。テレビ業界には浮き沈みがあるものの、人間が創造力と優れた才能を生み出し続ける限り、観るべき作品は常に存在するだろう。

1. 『キャシアン・アンドー』シーズン2(Disney+)

『キャシアン・アンドー』 写真:Des Willie/Disney+/Lucasfilm/Everett Collection
『キャシアン・アンドー』 写真:Des Willie/Disney+/Lucasfilm/Everett Collection

トニー・ギルロイが監督を務めたドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン2は、シーズン1よりさらにレベルアップしている。本作はファシズムを蔓延させる方法や、それに抗うためにどれほどの犠牲が払われるか、そしてそれでもなお戦う必要性を力強く訴えている。

今年、主流メディアの多くはアメリカにおける権威主義の傾向に抗った。そうした中で、大人気の『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品がはっきりとこの状況を反映したことは、非常に心が沈むが正しい流れだった。

2. 『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』(HBO Max)

『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』 写真:HBO
『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』 写真:HBO

今年は非常に多くの医療ドラマが世に放たれた。しかし、R・スコット・ゲミルが製作総指揮を務める『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』シリーズが最もすばらしかった。特に、病院を舞台に生き生きと繰り広げられる俳優たちのアンサンブルに注目したい。

ノア・ワイリー演じるロビー医師は、毅然としつつ豊かな感情を見せ、アンカーの役割を果たした。疲れ切ったベテラン主任看護師(演:キャサリン・ラ・ナサ)から悩みを抱える研修医(演:ジェラン・ハウウェル)まで、登場人物たちは時に悲惨かつスリリングに、時に温かく、緊迫感あふれるリアルタイムドラマを見せてくれた。

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3. 『長くて短くて、短くて長い』(Netflix)

『長くて短くて、短くて長い』 写真:Netflix
『長くて短くて、短くて長い』 写真:Netflix

ラファエル・ボブ=ワクスバーグの最新作『長くて短くて、短くて長い』は、ごく普通のユダヤ人家族のありふれた生活を描いている。そのため、一見それほど個性的な作品には思えないかもしれない。しかし、その第一印象は裏切られるだろう。

本作は登場人物の垣根を超え、数十年にわたる時を横断しながら、ある家族の強さや欠点、ささやかなトラウマを描き出している。その描写は非常に具体的で、彼らの記憶はまるで私たち自身のものに思えるだろう。愛に満ち溢れた本作を観ると、彼らの喜びや喪失感もまるで自分が体験した記憶のように感じられる。

4. 『コモン・サイド・エフェクツ(原題:Common Side Effects)』(Adult Swim)

『コモン・サイド・エフェクツ(原題:Common Side Effects)』 写真:Adult Swim
『コモン・サイド・エフェクツ(原題:Common Side Effects)』 写真:Adult Swim

Adult Swimのアニメ『コモン・サイド・エフェクツ』は、「死そのものを治すことができる」という魔法のキノコをめぐる戦いを描いた、陶酔感あふれる独創的な作品だ。

本作はダークなユーモアとスリリングな展開、そして心を和らげる優しさとシュールな美しさに満ちている。観続けていても、最終的にどこへ向かうのかまったく分からなかった。ただ次の作品が待ち遠しい。

5. 『ザ・スタジオ』(Apple TV)

『ザ・スタジオ』 写真:Apple TV
『ザ・スタジオ』 写真:Apple TV

ザ・スタジオ』はセス・ローゲンが主演・共同制作を務める爽快なコメディだ。ローゲン演じる映画スタジオ経営者は、映画への情熱と「収益を上げなければならない」という義務感の板挟みになるが、驚きと笑い、そして意外な感動を生み出していく。

ショービジネスへの風刺を含む本作は、危機に瀕した業界への告発、輝かしい過去への賛辞、そして歴史あるメディアとそれを支え続ける人々へのラブレターになりうるのだろうか?

6. 『プルリブス』(Apple TV)

『プルリブス』 写真:Apple TV
『プルリブス』 写真:Apple TV

ヴィンス・ギリガンがエグゼクティブ・プロデューサーを務めたSF作品『プルリブス』は、AIの台頭から孤独感の蔓延まで、さまざまなテーマを扱っていると解釈できる。しかし核心にあるのは、「そもそも人間として生きることはどんな意味を持つのか」というより根本的な問いだ。

レイ・シーホーン演じるキャロルは人間嫌いだった。しかし世界を救おうとする彼女の行動は、「人間らしさ」とは何なのか、そしてこの混沌とした世界でなぜ戦う価値があるのかを、私たちに問いかける。

7. 『チェア・カンパニー』(HBO)

『チェア・カンパニー』 写真:Sarah Shatz/HBO
『チェア・カンパニー』 写真:Sarah Shatz/HBO

『チェア・カンパニー』は、職場で受けたちょっとした屈辱をきっかけに、陰謀論に溺れていくビジネスマン(演:ティム・ロビンソン)を描いている。ロビンソンの痛々しくぎこちないコメディタッチの演技はすばらしく、視聴者に共感を抱かせる。

彼の物語は予測不能で、奇妙なキャラクターが数多く登場するリアリティーのないものだった。しかし、「理不尽な世界に違和感を抱く」という点で、妙に共感できたのだ。

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8. 『ここが世界の最北端』(Netflix)

『ここが世界の最北端』 写真:Netflix
『ここが世界の最北端』 写真:Netflix

『ここが世界の最北端』は、最も過酷な気候の地が舞台となっているにもかかわらず、今年最も温かみに満ちた作品の一つだった。カナダ北極圏の奥地、主にイヌイットが暮らす村の日常を描いた本作は、小さな町を舞台とするコメディとしてよくある作風だった。

しかし、テレビドラマとして異例の舞台設定や、活気に満ちた独自の文化を取り上げたこと、そして主演俳優のアンナ・ランブがこのジャンルに新たな風を吹き込んだことは確かだ。ランブは本作でブレイクを果たした。

9. 『ミスター・ラヴァーマン(原題:Mr Loverman)』(BritBox)

『ミスター・ラヴァーマン(原題:Mr Loverman)』 写真:BritBox
『ミスター・ラヴァーマン(原題:Mr Loverman)』 写真:BritBox

イギリスBBCのドラマ『ミスター・ラヴァーマン』はアメリカでほとんど話題にならなかったが、過小評価されていると言えるだろう。アンティグア生まれのロンドンっ子(演:レニー・ジェームズ)が長年疎遠だった妻(演:シャロン・D・クラーク)を捨て、数十年来の恋人(演:アリヨン・バカレ)と駆け落ちする物語だ。

ジェームズの演技や作中に込められた皮肉なユーモア、登場人物たちの複雑な関係性はすばらしい。メインキャラクターの3人は、手に汗握る化学反応を見せている。衣装とセットも絶妙に美しい。

10. 『アドレセンス』(Netflix)

『アドレセンス』 写真:Netflix
『アドレセンス』 写真:Netflix

『アドレセンス』を観た時、優しい顔をした少年(演:オーウェン・クーパー)が冷酷にも同級生を殺害するという、衝撃的な犯罪を到底理解できなかった。彼を生み出した文化的背景、そして彼の行動が家族や地域社会に与えた衝撃をのみ込むことで精一杯だったのだ。

ジャック・ソーンとスティーヴン・グレアムは、非人間的な行為の裏に潜む人間性を見出し、通常は不可能に思える長回しの撮影によって、心を揺さぶる感情的な効果を生み出した。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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