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東宝グループが日本アニメのヨーロッパ展開を加速——英配給会社を買収&欧州新拠点を設立

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『すずめの戸締まり』(2022年) 写真:©2022 "Suzume" Film Partners
『すずめの戸締まり』(2022年) 写真:©2022 "Suzume" Film Partners
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東宝、日本アニメのヨーロッパ戦略を強化

東宝グループはアニメのグローバル市場の成長を見据え、日本アニメの海外展開を加速させている。その一環として、12月19日(金)に発表した事業計画の中で、イギリスのアニメ配給会社Anime Limited(アニメ・リミテッド)の買収と、ドイツのPLAION PICTURES(プレイオン・ピクチャーズ)との提携を明らかにした。

2012年に設立されたAnime Limitedは主にイギリスとフランスで事業を展開し、日本アニメの劇場配給やパッケージソフトの販売、ストリーミング配信を行っている。過去には『進撃の巨人』シリーズ、『呪術廻戦』シリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ、『君の名は。』(2016年)、『天気の子』(2019年)などの作品を手がけた。同社がイギリスで配給を担った東宝作品『ゴジラ-1.0』(2023年)は、日本の実写映画としてイギリス国内歴代最高興収を記録した。

『ゴジラ-1.0』写真: COURTESY OF SHIROGUMI

PLAION PICTURESはドイツ、イタリア、その他のヨーロッパ地域における東宝の優先パートナーとなり、イギリス・フランス以外のヨーロッパ地域でも東宝の事業が本格化すると見られる。

また、東宝の海外事業を統括する連結子会社TOHO Globalは、2025年内に欧州統括会社をロンドンに設立することを発表した。Anime Limitedはこの欧州統括会社の子会社となる。この欧州統括会社を拠点に、同グループが保有するアニメ・実写作品のIP、テレビ・ストリーミング配信、パッケージソフト、グッズ、ゲームなどをヨーロッパ向けに展開する。

同グループは最近、自社IPを中心としたグローバル事業基盤の構築に取り組んでいる。2024年にはアメリカのアニメ配給会社GKIDSを買収したほか、シンガポールにToho Entertainment Asiaを設立し、北米とアジアに事業拠点を確立した。さらに今回ヨーロッパに統括会社を置いたことで、東宝グループは主要3地域すべてに拠点を持つことになった。

東宝グループによると、今回の買収と提携が業績に直接与える影響は軽微で、これらは中長期的な事業成長を見据えた計画である。

世界的人気を追い風に日本アニメ市場が拡大

ヨーロッパの2024年のアニメ市場は約47.7億ドル(約7,520億円)と推計されている。この市場は年率2桁成長を続け、2030年には約90.5億ドル(約1兆4,280億円)規模に達すると見込まれている。東宝グループの戦略は、この市場に直接参入することを目的としている。

劇場と配信の両方において、日本のアニメ・実写映画の人気は世界的に急上昇中だ。ソニーグループが北米配給を担う『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(2025年)は、全世界累計興行収入7.3億ドル(約1,150億円)を突破した。

ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

GKIDSも宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(2023年)や新海誠監督の『すずめの戸締まり』(2022年)などを北米で配給し、どちらも異例の好成績を収めている。

※為替レートは2025年12月20日時点の数値で換算しています。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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