【追悼】ブリジット・バルドー91歳|フランス映画史を変えた永遠のアイコン、その功績と影響
ブリジット・バルドーが死去 フランス映画界の伝説、91歳
フランス映画界を代表する女優であり、1950〜60年代に世界的なセックスシンボルとして一時代を築いたブリジット・バルドーが死去した。91歳だった。
動物保護団体「ブリジット・バルドー財団」の関係者がAP通信に対し、南フランスの自宅で亡くなったことを認めた。死因や正確な死亡時刻は公表されていない。報道によれば、バルドーは2024年11月に入院していたという。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は追悼の意を表し、SNSで「彼女は“世紀の伝説”だった」とコメント。「映画、声、まばゆい栄光、動物への惜しみない情熱、そしてフランス共和国の象徴“マリアンヌ”のモデルの一人ともされたその顔──ブリジット・バルドーは“自由に生きること”を体現していた」と述べている。
バルドーは、ロジェ・ヴァディム監督(当時の夫)による1956年の問題作『素直な悪女(原題:Et Dieu… créa la femme)』で世界的スターとなった。性的表現のタブーを打ち破る奔放な演技は、当時の観客に衝撃を与え、バチカンから上映禁止を受けるなど大きな論争を巻き起こした。
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映画『素直な悪女』(1956年)
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18インチ(約46cm)と称された極めて細いウエスト、無造作な長髪、そして自然体の美しさ。ワンピース水着が主流だった時代にビキニを流行させ、カンヌ国際映画祭では常にパパラッチの視線を独占した。1999年に発表された『プレイボーイ』誌の「20世紀で最もセクシーなスター100人」では、マリリン・モンローらに次ぐ第4位に選ばれている。

映画史を変えた代表作と名演
女優としての代表作には、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『真実』(1960/原題:La Vérité)、ジャン=リュック・ゴダール監督の傑作『軽蔑』(1963/原題:Le Mépris)などがある。特に『軽蔑』で演じたカミーユ役は、フランス映画の革新運動「ヌーヴェルヴァーグ」を象徴する存在として映画史に刻まれている。
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映画『軽蔑』(1963年)
一方で、その名声の裏で過酷な経験も多かった。1960年には私生活のスキャンダルをきっかけに自殺未遂を起こし、救急搬送される姿さえも報道の対象となった。「私は追われる動物の気持ちが分かる」と後に語っている。
1973年、映画『ドンファン(原題:Don Juan ou si Don Juan était une femme)』の撮影中、バルドーは突如として女優引退を決意。「映画はもう終わり。ばかばかしく、無意味に感じた」と回想している。39歳だった。
なお、映画『私生活』(1962/原題:Vie privée)は、スター女優の孤独を描いた自伝的作品として知られる。
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映画『私生活』(1962年)
動物愛護活動家としての第二の人生
引退後は、動物愛護活動家としての人生を歩み始めた。1986年に設立した「ブリジット・バルドー財団」を通じ、毛皮産業、狩猟、闘牛、動物実験などに強く反対し、フランス社会に大きな影響を与えた。
その一方で、極右政党支持や過激な発言によりたびたび論争の的ともなった。#MeToo運動への批判的発言なども含め、晩年の言動は賛否を呼び続けた。
ブリジット・バルドーは、映画界の束縛からも、社会的規範からも自由であろうとした稀有な存在だった。2014年、なぜこれほど独立心が強いのかと問われた際、彼女は笑ってこう答えている。
「私の人生の男は、私自身よ」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

単行本
『ブリジット・バルドー 映画ポスター・コレクション ~世界がB.B.に恋した時代~』
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