『ストレンジャー・シングス』ヴェクナ役ジェイミー・キャンベル・バウアーが語る、最終シーズン舞台裏とシリーズへの思い「存在感と迫力を失いたくない」
【※本記事は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』最終話までのネタバレを含みます。】
Netflixの大ヒットシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』における重要なキャラクターの一人が、強敵ヴェクナだ。ヴェクナを演じた俳優ジェイミー・キャンベル・バウアーは米『ハリウッド・リポーター』のインタビューに応じ、シリーズのフィナーレにおけるヴェクナの運命と、長きにわたる役作りの舞台裏について語った。
4つ目の顔、ミスター・ワッツイットの誕生
バウアーは、シーズン5の撮影に入るまで、ヴェクナがどのような結末を迎えるのかを知らされていなかったという。制作を務めたダファー兄弟によれば、結末の執筆には特に長い時間がかかり、最終的にキャストが台本を手にしたのはシーズン5の制作が佳境に入った頃だった。
ヴェクナ、ヘンリー・クリール、001(ワン)という3つの顔を持つ複雑なキャラクターを演じてきたことに加え、結末を知らされていない中、綿密な話し合いと準備を重ねて撮影が進められた。
特に、001はブレナー博士(演:マシュー・モディーン)率いるホーキンス研究所の最初の被験者であり、イレブン(演:ミリー・ボビー・ブラウン)誕生のきっかけとなった重要人物でもある。複数の人格や時間軸、ストーリー上の役割が交錯する中で、バウアーは複雑な演技プランを常に考え続ける必要があったという。
シーズン5で、バウアーは上記に加え「4つ目の顔」を演じることになった。それが「ミスター・ワッツイット」だ。ミスター・ロジャースを思わせる穏やかな表情の裏に、壮大な計画を隠し、ホーキンスの子どもたちを次々と誘拐した人物である。
全8章を通して、イレブンと仲間たちはついにヴェクナ/ヘンリー/ミスター・ワッツイットを打ち倒す術にたどり着く。そして、シリーズの原点でもあるジョイス・バイヤーズ(演:ウィノナ・ライダー)が息子ウィル(演:ノア・シュナップ)を誘拐されたこと、そしてホーキンスの人々が受けてきた被害を報いるため、決定的な一撃を放つのだった。

バウアーが語る、4時間かけた特殊メイクと“ヴェクナの変化”
——以前のインタビューで、「クランクアップの日の自分の写真を見たら、世界のすべての重荷から解放されたような顔をしていた」とおっしゃっていました。今もスッキリした気持ちでしょうか?
そうですね、今は本当に身軽な気分です。終盤の第5~7章が配信された時、とても解放感を感じました。そして最終話が公開された今、ようやくすべてから解き放たれた感覚です。
——前シーズンでは、ヴェクナの特殊メイクに何時間もかけ、CGによる加工は抑えられていました。シーズン5では、ヴェクナの特殊メイクは変化しましたか?
前シーズンでは全身プロテーゼの特殊メイクを施し、頭からつま先まで装着するのに約7時間半かかっていました。シーズン5でプロテーゼを使用しているのは、胸元から頭部と腕の部分です。長い指と爪はそのまま残し、それ以外はモーションキャプチャースーツを着ていました。今回は装着時間が約4時間に短縮され、そのぶん各部門がより密に連携できるようになったと思います。
全身プロテーゼではありませんが、映っているのは間違いなく私自身です。身体の感覚を保つことができたので、衣装・特殊メイクチームとは「このスーツに何が必要か」「どこまで表現できるか」といった議論を制作段階から重ねることができました。
——今回、衣装に新たに追加されたものはありますか?
ヴェクナのスケール感や威圧感、存在感を保つため、肩にアメフト選手のようなパッドを入れました。シーズン5では攻撃によって身体が損傷していたので、腕の動かし方にも細かな指示がありました。
——SNSでは「オゼンピック(ダイエット薬)で痩せたのでは?」と言われていましたが、ご覧になりましたか?
はい。「ズンバ(ダンス・フィットネスの一種)で痩せたんだって!」と思って見ていました。腕を一定の角度で保つために、側面にブロックを2つ取り付けています。靴には3インチ(約7.6センチ)のインソールを入れ、カメラワークに応じて高さを調整しました。
私から一つだけ強くお願いしたのは、「存在感と迫力だけは絶対に失わないでほしい」ということです。全身プロテーゼの前シーズンと比べ、スーツを使用したシーズン5は、視聴者に与える印象が大きく変わってしまうと思いました。
ミスター・ワッツイットという新たな顔
——今シーズンでは、ミスター・ワッツイットという新たな一面が登場しました。このことは役作りにどのような影響を与えましたか?
ミスター・ワッツイットは、ほぼ別人格として捉えていました。ヘンリー・クリール役として舞台『ストレンジャー・シングス:ザ・ファースト・シャドウ』に出演した時のように、ムードボード(イメージを紙や画面上でコラージュし、雰囲気や世界観を伝えるもの)を作りました。
歩き方や精神面で役立ちそうなものや、他のキャラクターや実在の人物の資料を集めたのです。そこから抽象的な記憶の断片を取り出して、「ミスター・ワッツイット」としての新たなヘンリーの姿を形作っていきました。参照資料やアイデアを重ねて融合させる作業だったと思います。
特に役立った資料の一つは、映画『幸せへのまわり道』(2019年)に登場するミスター・ロジャース(演:トム・ハンクス)です。『ハーメルンの笛吹き男(原題:The Pied Piper of Hamelin)』(1957年)のヴァン・ジョンソン、『シャイニング』(1980年)、『ストーカー 3日目の逆襲』(2020年)といった映画の要素も取り入れました。記憶や経験を保ちつつ、優しさをどう表現するかがポイントでした。
——この役は孤独ですが、シーズン5では子どもたちとの共演も増えました。それでも孤独感はありましたか?
不思議なことに、子どもたちとは本当に楽しい時間を過ごすことができました。まだ当時の状況を飲み込めていない部分はありますが、子どもたちがとても優しく接してくれたんです。撮影終盤には、合間にゲームをしたり、冗談を言い合ったりしていました。
第7章の終盤、みんなでテーブルを囲むシーンはかなり不気味ですが、撮影中はクスクス笑い合っていたのを覚えています。とても心が温まる瞬間でした。「そうか、ここにいていいんだ」と、現実に引き戻してくれた感覚になりました。
というのも、私は意識的にメソッド演技法(俳優が感情的な面で役柄になりきる演技法)を取り入れているわけではありません。ただ、ああいう役を演じているとどうしても役が頭の中を占め、常に考え続けてしまうんです。しかし、ストーリーが進むにつれて孤独感は薄れていき、特に第7章から最終話にかけてはかなり楽になっていました。

——テーブルを囲むシーンは第7章のラストでしたね。物語を壮大なフィナーレへと加速させました。
子どもたちが白目になるあの表現は、実際に彼らが自分たちでやっていたんです。それがとても奇妙な感じでした。
ちなみに、何人かの子どもたちはやり方が分からなかったようで、あのシーンは何度か撮り直しています。そのたびにダファー兄弟が「いや、君ならできる」と声をかけていました。結果的に、世間がまったく予想していなかった展開になったと思います。
結末を知って「さまざまな感情が一気に押し寄せた」
——前シーズンでは、ダファー兄弟からヴェクナの展開についてより詳細な説明を受けていた印象があります。シーズン5では、結末が見えない中で撮影に臨んだのでしょうか?第7章の撮影時に結末を知っていましたか?
第7章の撮影が半分ほど進んだ頃には最終話の全体像が提示されており、どのような結末を迎えるのかは理解していました。それ以前は、先の展開が分からないまま演じていた部分もありました。
——シーズン5における役柄を理解するうえで、ダファー兄弟に最も多く聞いた質問は何でしたか?
キャラクターというより、「この並行宇宙は物理的にどう機能しているんですか?それを視覚的に説明してもらえますか?」など、世界観についての質問が多かったです。ダファー兄弟は折りたたみ式キャンプチェアを持ってきて、「こういう仕組みなんだ。こうやって折りたたまれる」と説明してくれました。結局、当時は完全に理解できませんでしたが「……分かりました(笑)」と返しました。
また、ミチオ・カク氏(理論物理学者)の著書も読みました。理論物理学について、今でも完全に理解できたとは言えませんが、とても面白かったです。
ダファー兄弟と最も議論したのは、ヘンリーが子どもたちに「マックス(演:セイディー・シンク)は怪物だ」と告げるシーンについてです。当初の台本には、「ヘンリーは前後に歩き回っている。彼は明らかに動揺しており、子どもたちは彼が動揺する様子を見て、彼と同じように動揺していく」と書かれていました。
しかし私は、「ヘンリーは動揺しないはずです。冷静さを装いながらすぐに決断し、落ち着きを保とうとすると思います。そのように変更できませんか?」と提案しました。その方が、視聴者は子どもたちが破滅へと向かう姿を目の当たりにし、「いや、やめて、そんなことしないで!」と叫びたくなるだろう、と思ったんです。この時は、ヘンリー/ヴェクナについてダファー兄弟に長文でメッセージを送りました。

——ヴェクナの結末を知った時、どのような気持ちでしたか?
本当に感情的になってしまいました。そう言うと曖昧ですが、それ以外に表現できないほど、さまざまな感情が一気に押し寄せてきたんです。
——セットや衣装などを持ち帰ることはできましたか?
ヴェクナの片手を持ち帰りました。それから、自分の顔を3D化したポリスチレン製の模型と、ヴェクナの顔を3Dプリントした模型もいただきました。
「ストシン」シリーズの未来、そして俳優としての将来
——『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は完結しましたが、シリーズ自体は続いていきます。アニメシリーズ『ストレンジャー・シングス:1985年の冒険』、実写スピンオフ、そしてブロードウェイの舞台『ストレンジャー・シングス:ザ・ファースト・シャドウ』は今後も上演されます。バウアーさんにとって、このシリーズでの経験は終わりを迎えたのでしょうか?
分かりません。ただ、この作品に関わることができた時間は特別なものでした。私の人生を大きく変えてくれたんです。私と本シリーズとの関係が終わったかどうかを決めるのは、ダファー兄弟でしょう。しかしどんな形であれ、このプロジェクトに参加できたことに心から感謝しています。
——バウアーさんにとって、2026年に最も優先したいプロジェクトは何ですか?
睡眠です(笑)。個人的に取り組んでいるプロジェクトもありますが、その時が来れば自然と形になると思います。急ぐつもりはなく、インスピレーションに導かれるままに進めようと思います。何よりも、まずは十分な休息を取ること、そしてここから先にどんな可能性があるのかをゆっくり考えたいです。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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