【レビュー】『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』歌って踊るティモシー・シャラメとカラフルな夢の世界へ

12月大注目の最新映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。今回は、本作の見どころや豪華実力派キャストたちの魅力をはじめ、実際に観てきた感想をレビューしていきます。

ティモシー・シャラメは、母親が好きだったジーン・ワイルダー主演の『夢のチョコレート工場』(1971)を観て育ちました。

12歳の頃には、ジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場』(2005)に出会い、その世界観に感動。2作品とも、原作はロアルド・ダールの児童小説『チョコレート工場の秘密』です。

当時はまさかウィリー・ウォンカを演じるとは夢にも思わなかったというティモシー・シャラメ主演の『ウォンカとチョコレート工場』が12月8日(金)に公開。

チョコレート工場ができる以前の若き日のウィリー・ウォンカを描いた本作は、ジョニー・デップ扮するウォンカのようなトリッキーさは全くなく、どこまでもピュアで初々しいキャラクターとなっています。まさに、クリスマスシーズンにふさわしい王道のファンタジー映画です。

COURTESY OF WARNER BROS. PICTURES

監督は『パディントン』シリーズのポール・キングがメガホンを取り、プロデューサーは『ハリー・ポッター』シリーズのデヴィット・ヘイマンが担当。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のラストシーンはオックスフォード大学で撮影されましたが、じつは『ハリーポッター』シリーズに登場するホグワーツ魔法学校の食堂や図書館のロケ地としても有名な場所。ウォンカの世界にハリー・ポッターまで出てきそうな街並みは、映画ファンには嬉しいポイントです。

本作の最大の見どころは、やはり主演のティモシー・シャラメの魅力。全13曲を見事に歌い上げ、観客たちを夢の世界へ誘う才能はさすが。大人も子どもも楽しめる王道ファンタジーに仕上がっているのは、ティモシーの持つ正統派な佇まいがあるからこそ。

ティモシー・シャラメが歌う主題歌『ピュア・イマジネーション』とウンパルンパの歌は、『夢のチョコレート工場』(1971)の名曲が使われています。

ウォンカ役のティモシー・シャラメとウンパルンパ役のヒュー・グラント COURTESY EVERETT COLLECTION

脇役陣も、ゴージャスでマジカルな華を添えています。アクが強すぎる宿屋に扮するのはオスカー女優のオリビア・コールマン。『エンパイア・オブ・ライト』では心のバランスを崩した女性を演じますが、本作ではその面影はどこにもなく、ウォンカたちを困らせる悪役に徹しています。

ウォンカの母親役はサリー・ホーキンス。ウォンカにチョコレート作りと夢を見ることの素晴らしさを教える役どころです。サリーの魅力である周りを幸せにする素朴さは、短い出演時間にもかかわらず本作でも炸裂。

ウンパルンパ役はなんとヒュー・グラント。ミステリアスな不思議さがぴったりですが、前2作品のウンパルンパとの最大の違いはウォンカと心を通わせる点です。作品をより一層ハートフルに、そしてなぜか憎めない愛されキャラとして役を仕立てる手腕はさすがです。

さらには、変わり者の神父役をローワン・アトキンソンが演じるなど、実力派キャストが勢ぞろい。『ラブ・アクチュアリー』『ノッティングヒルの恋人』のヒュー・グラントと『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソンは、リチャード・カーティス作品の常連。『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で2人の貴重なやりとりを目撃できるのはたまりません。

JAAP BUITTENDIJK/WARNER MEDIA

全編通して、夢を持つことの素晴らしさをテーマに物語は展開していきます。「夢を持つ」という言葉は、きっと言い古されて当たり前のように思えるかもしれません。しかし自分が何者か分からず夢を持てない時期を経験した人なら、夢があるだけでどんなに日々が充実するかを痛感しているはず。

同じく私もそうですが、夢があるだけで、モノクロの日々がカラフルな日常に変わり、毎日朝が来るのが待ち遠しくなります。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、そんな夢を持つ人が見えているカラフルな世界をティモシー・シャラメの魅力と彩り豊かな音と映像で表現しています。

年末だからこそ、ぜひ、夢を持つことの素晴らしさを映画館で体感してほしい作品です。

ティモシー・シャラメの初来日の様子や最新情報はこちらから。

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