幻の脚本『十一人の賊軍』60年の時を経て白石和彌監督で映画化、主演は山田孝之&仲野太賀

『十一人の賊軍』
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『日本侠客伝』『仁義なき戦い』シリーズなどの人気作を生み出した脚本家の笠原和夫さんが、1964年に執筆した脚本『十一人の賊軍』が白石和彌監督、山田孝之と仲野太賀のダブル主演で映画化され、11月1日に公開される。

幕末の戊辰戦争のさなか、新発田藩(現在の新潟県)で起きた奥羽越列同盟軍(旧幕府軍)への裏切り事件を基に、捕らえられていた11人の罪人たちが決死隊として砦を守ろうと奮闘する集団構想劇。笠原さんは「勝てば官軍、負ければ賊軍が当たり前の時代に、果たして勝つことだけが正義なのか?」と疑義を呈し脚本を執筆。だが、当時、東映京都撮影所長だった岡田茂氏は結末が気に入らずボツの判断を下した。笠原さんは怒りに任せ、原稿用紙350枚に及ぶ脚本を破り捨ててしまったという。

それから60年、紀伊宗之プロデューサー(現K2 Pictures代表)が残されていたプロットと出合い、「コレだ、と思いました。この作品には、歴史のはざまでもがく⼈間の熱いドラマが描かれていたからです。⽇本が世界と戦える映画とは、⽇本固有の⽂化に根ざした時代劇が⼀番」と企画。白石監督、脚本の池上純哉氏ら『孤狼の血』(2018)のスタッフが集結し、笠原さんの反骨精神を受け継ぐ体制を調えた。

『十一人の賊軍』

撮影は既に終了しており、白石監督は「笠原さんの名に恥じぬよう、今この映画を世に送り出す意義を考え、重圧につぶされそうになりながらも泥だらけになって撮影しました。完成したら、笠原さんの墓前に⼿を合わせご報告してまいります」と手応え十分の様子。主演の2人に対しては、「山田さんは、俳優としても人としても大きく心強い存在でした。仲野さんは、愚直で正義感あふれる侍を⾒事に演じてくれています。2人がスクリーンで暴れ姿を早く見てもらいたい」と絶賛した。

山田は『凶悪』(2013)以来11年ぶりの白石組で、「スタッフ、キャストの皆さんが何とか乗り越えようとしていたのが伝わってきて、⼤変だったけど楽しい撮影でした。ここまで⼤変だったからこそ、何としてでもいい作品を作ろうと⼀丸となって撮影に挑んでいました」と満足げに述懐。「映画で描かれる賊どもの⽣きざまが、見た⼈たちの⼼に届いて勇気づけることができるといいなと思っています。この映画を最後まで突っ⾛ろうと思います」と決意をにじませた。

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一方、2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主演が決まっている仲野も「これまでにない達成感があります。撮影は過酷を極め、殺陣も初めての挑戦でしたが、どんなに⼤変なシーンでも信頼できるスタッフの皆さまのおかげで確実に格好良い映像が撮れているという⾃信をもって最後まで⾛り切ることができました」と自信を深めた様子。『50回目のファーストキス』(2018)以来の共演だった山田には「精神的にも体⼒的にも、いろいろな⾯で引っ張っていただき、⽀えていただきました」と感謝した。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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