『マリア』で大活躍のアンジェリーナ・ジョリー、2度目のオスカーを狙う

アンジェリーナ・ジョリー、映画『Maria(原題)』写真: Pablo-Larrain
アンジェリーナ・ジョリー、映画『Maria(原題)』写真: Pablo-Larrain
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今年初めに開催されたアカデミー賞授賞式で、エマ・ストーンは初受賞からわずか7年で2度目のアカデミー主演女優賞を受賞した。アカデミー賞を複数回受賞するのは極めて稀なことだと思うかもしれないが、それは間違いである。ストーンは史上45人目の複数回受賞者となった。

アンジェリーナ・ジョリーはすでに一度受賞しているから次のアカデミー賞授賞式で主演女優賞を取ることはないだろうと思う人もいるかもしれない。彼女はちょうど25年前に公開された『17歳の恋』で別カテゴリーとはいえ助演女優賞を受賞している。彼女の今年の受賞は十分あり得るだろう。

ジョリーは、若くして亡くなった20世紀の傑出した女性たちを描いたチリ人映画監督パブロ・ララインの非公式3部作(前2作は2016年の『ジャッキー』と2021年の『スペンサー』)の最終作『マリア』で、伝説的だが問題を抱えたオペラ歌手マリア・カラスを大胆かつ力強い演技で演じ、自身の存在を強くアピールした。

史上最高の声の持ち主だったカラスをジョリーが演じる。 パティ・ルポーンなど、マスタークラスの舞台でカラスを演じた女優たちとは違って、これまで歌をあまり歌ったことのないジョリーに、どうやって「ラ・ディヴィーナ」のような声を出させることができるのだろうか?どうやらその答えは、ジョリーが何カ月も勉強し、映画で聴くことができる音楽を実際に演奏し、それをデジタル技術でカラス自身の声とブレンドした、ということのようだ。

ジョリーがカラスと全く同じように歌えないことは分かっているが、スクリーン上ではその違和感は全く感じられない。彼女の口の動きがスピーカーから流れる声の音と一致していない例を見つけるのは困難だろう。もしあったとしたら、この映画はそこで終わっていただろう。しかし、これは始まりに過ぎない。

ジョリーが演じるカラスはかつて世界で最も有名な女性の一人であり、マスコミに執拗に追い回された。50代前半のカラスは、自分の声がもっと強かった頃の音に悩まされており、録音を聞くことすらできなくなる。そしてファンからの称賛が必要なとき以外は、パリの豪華なアパートから出ない。彼女は忠実な執事(アルフレッド・モリーナに似たピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)とメイド(アンドレア・ライズボローに似たアルバ・ロルヴァケル)の懇願にも関わらず、大量の薬を飲んで心身の健康を少しずつ蝕んでいく。特に、その中の1錠は、実際にはそこにいないジャーナリスト(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞候補となったコディ・スミット=マクフィー)に自分の人生についてインタビューされているという錯覚を引き起こす。作品を通して私たちは彼女のジェットコースターのような人生の浮き沈みを知ることになる。

映画のテンポなどについてはとやかく言うこともできるし、少し蛇足なところもある。しかし、ジョリーの演技や、妹のヤキンチ・カラスを演じたヴァレリア・ゴリーノ、恋人のアリストテレス・オナシスを演じたハルーク・ビルギナーなど、彼女を取り巻くあまり知られていない俳優たちの演技にとやかく言うことはできない。

アカデミーの評価としては『ジャッキー』のナタリー・ポートマン、『スペンサー』のクリステン・スチュワートに続く、ジョリーの主演女優賞ノミネートが期待できるとのこと。『ジャッキー』は衣装デザイン賞とオリジナルスコア賞にもノミネートされている。『マリア』にはオリジナルスコアはないが、マッシモ・カンティーニ・パリーニによる見事な衣装とジュエリーがあるので、その点でもチャンスがある。 伝説的なカメラマンであるエド・ラックマンは、今年初めに『エル・コンデ』で撮影賞にノミネートされた。また、今シーズンがオープンなシーズンであることを考えると、ララインの監督賞ノミネートやスティーブン・ナイトの脚本賞ノミネートも否定できない。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/山中 彩果

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