『Dear Santa』レビュー:ジャック・ブラックの悪魔的な魅力が引き立てる ― ファレリー兄弟初挑戦のクリスマスコメディ
ファレリー兄弟が初めてクリスマス映画に挑戦し、ボビー・ファレリー監督による新作コメディ『Dear Santa(原題)』がParamount+で公開された。
『Dear Santa』は、『メリーに首ったけ』や『ジム・キャリーはMr.ダマー』のようなファレリー兄弟の代表作には及ばないかもしれないが、七面鳥やエッグノッグと一緒に毎年のホリデーシーズンを楽しむ作品としての役割は十分果たすことだろう。
物語は、眼鏡をかけた少年リアム(ロバート・ティモシー・スミス、注目の若手俳優)がサンタ宛てに書いたつもりの手紙が、誤ってサタンに届いてしまうところから始まる。その結果、サタンがある夜リアムの寝室に現れる。角を生やし、バーガンディ色の革と毛皮の衣装をまとったサタン(ジャック・ブラック)は、「悪い心そのままで来たぜ」と登場。真実をすぐには明かさず、代わりにリアムに3つの願いを叶えると提案する。しかしその裏には、少年の魂を奪おうという狙いが隠されていた。なお、ジャック・ブラックにとってサタン役は、2001年の『愛しのローズマリー』以来となるファレリー兄弟との共演となる。
リアムが最初に願ったのは、憧れの同級生エマ(カイ・チェフ)の気を引くこと。サタンは即座にその願いを叶え、リアムはVIP席とバックステージパス付きでエマをポスト・マローンのコンサートに連れて行くことになる。このエピソードでは、スーパースターのラッパー兼シンガーであるポスト・マローンが本人役で登場するシーンが描かれ、ティーン層を狙った映画の魅力を引き立てている。
しかし、サタンとの取引にありがちなように、物事はすぐに複雑になる。リアムの友人ギビー(ジェイデン・カーソン・ベイカー)ががん患者を装わなければならなくなるエピソードや、心配する両親(ブリアンヌ・ハウィー、ヘイズ・マッカーサー)がリアムを子ども心理学者のもとに連れて行く展開も描かれる。この心理学者を演じるのは、いつも面白い演技を見せるキーガン=マイケル・キーだが、今回はあまり活躍の場がない。
この映画の救いとなっているのは、やはりジャック・ブラックの全力のコメディ演技である。晩年期のジャック・ニコルソンを思わせる低く響く声を使い、彼はこのカラフルな役柄を心から楽しんでいる様子を見せている。その楽しさが視聴者にも伝わってきている。彼の演技のおかげで、数多くの冴えないジョークも何とか我慢でき、そこそこ面白いジョークはさらに笑えるものになっている。持ち前の狂気じみたエネルギーと完璧なタイミングでの演技は見どころである。
公平に言えば、ピーター・ファレリーとリッキー・ブリットが共同執筆した脚本には、いくつかの笑える場面もあった。ただし、サタンがリアムの嫌味な英語教師(P・J・バーン)に腹痛を引き起こす呪文をかける場面など、ファレリー兄弟らしい下品なユーモアも含まれていた。「大人の男が失態をするたびに、悪魔が角を得るんだ」と、得意げにサタンがリアムに教えるシーンがその一例である。
また、大人には楽しめるものの、ターゲットとなる若い観客には少し難解なポップカルチャーのネタもいくつかあった。例えば、映画『カッコーの巣の上で』への言及や、映画『シャイニング』を引用したネタなどがそれにあたる。
感傷的な結末で幕を閉じる『Dear Santa』は、この手の映画としてはやややり過ぎな印象を受けるかもしれない。それでも、劇場公開されたばかりの『レッド・ワン』と同じように、ストリーミングサービスでは長く残り続けることだろう。
『Dear Santa』は、Paramount+で11月25日から配信が開始されている。
映画『Dear Santa』
キャスト:ジャック・ブラック、ロバート・ティモシー・スミス、キーガン=マイケル・キー、ブリアンヌ・ハウィー、ヘイズ・マッカーサー、ポスト・マローン、P・J・バーン、ジェイデン・カーソン・ベイカー、カイ・チェフ
監督:ボビー・ファレリー
脚本:リッキー・ブリット、ピーター・ファレリー
上映時間:1時間48分
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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