第18回アジア・フィルム・アワード ノミネーション発表
2025年3月16日(日)に香港にて開催される、アジア全域版アカデミー賞「第18回アジア・フィルム・アワード」(AFA)の各ノミネーションが、1月10日に発表された。
韓国のホラー大作『パミョ/破墓』が最多となる11部門でノミネートされ、注目を集めている。この作品は、チャン・ジェヒョン監督による超自然的スリラーで、風水やシャーマニズムの伝統を織り交ぜながら、不吉な墓をめぐる物語を描いている。韓国内で批評家から高い評価を受けるとともに、同国で年間興行収入トップの大ヒット作となった。
『パミョ/破墓』は作品賞をはじめ、監督賞、主演男優賞(チェ・ミンシク)、主演女優賞(キム・ゴウン)など主要部門にノミネートされた。
アジア・フィルム・アワード今年のノミネート作は、25カ国・地域から選ばれた30作品に及び、16の競争部門で争われる。
香港のノワールアクション大作『トワイライト・ウォリアーズ:決戦!九龍城砦』は、ユイによる小説『City of Darkness』を原作とし、9部門でノミネートされている。ソイ・チェン監督によるこの作品は、1980年代の九龍城砦を舞台に、観客をその荒廃した世界へと引き込む。兄弟愛や逆境の中での強さをテーマにしたこの映画は、作品賞、助演男優賞、撮影賞、音楽賞など多くの部門で評価され、香港アクション映画の復活を予感させる。
インドの映画祭で注目を集めた『All We Imagine as Light』は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したパヤル・カパディア監督による作品で、6部門にノミネートされている。
作品賞、監督賞、主演女優賞(カニ・クスルティ)などが含まれる。
日本の吉田大八監督による静謐な『敵』も6部門でノミネートされた。この作品は、孤独をテーマにした詩的な描写とモノクロの撮影が高く評価されている。
香港はさらに、『お父さん』と『ラスト・ダンス』で3部門ずつノミネートを獲得している。『お父さん』は父と息子の和解を描いた感動的な物語であり、『ラスト・ダンス』は香港の葬儀業界をテーマにした作品である。特に『ラスト・ダンス』では、ベテラン俳優マイケル・ホイが主演男優賞にノミネートされている。
今年の式典にさらなる華を添えるのは、伝説的な映画監督であり武術家でもあるサモ・ハンのAFA審査委員長就任である。サモ・ハンは声明で、「アジア・フィルム・アワードの審査委員長を務めることは光栄です。この重要な役割を担い、アジア映画の成長を引き続き支援していきたいと思います」と述べた。
また、日本の俳優ディーン・フジオカがアンバサダーとして参加し、タイの女優アオクバブ・チュティモン(『バッド・ジーニアス』)、台湾の俳優オースティン・リン、日本の岡田将生ら若手代表者と共に、地域の枠を超えた映画界の連携を強調している。
AFAは、韓国の釜山国際映画祭、日本の東京国際映画祭、香港国際映画祭というアジア映画界の名だたる映画祭による支援を受け、アジア・フィルム・アワード・アカデミーが主催している。
なお、授賞式は、アジア最大級のコンテンツ市場である香港フィルマートの開幕前日、3月16日に開催される予定であり、アジア全域から映画業界関係者が集まり、ビジネスの場としても注目を集める。
昨年開催された第17回アジア・フィルム・アワードでは、濱口竜介監督の『悪は存在しない』が最優秀作品賞を受賞、『怪物』の是枝裕和監督が最優秀監督賞、『PERFECT DAYS』の役所広司が最優秀主演男優賞、『ゴジラ-1.0』が最優秀特殊効果賞と最優秀音響賞の2部門、そしてアジア映画界、アジア文化における業績と貢献を称える「Excellence in Asian Cinema Award」には鈴木亮平が選ばれた。
「第18回アジア・フィルム・アワード」ノミネーションリストは以下の通り。(作品名、国・地域の順)
作品賞
- 『All We Imagine as Light』 インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク
- 『ブラックドッグ』 中国
- 『パミョ/破墓』 韓国
- 『敵』 日本
- 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』 香港
監督賞
- パヤル・カパーリヤー(『All We Imagine as Light』、インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク)
- グァン・フー(『ブラックドッグ』、中国)
- チャン・ジェヒョン(『パミョ/破墓』、韓国)
- リティ・パン (『ポル・ポトとの会合』、カンボジア、フランス、台湾、カタール、トルコ)
- 吉田大八(『敵』、日本)
主演男優賞
- エディ・ポン (『ブラックドッグ』、中国)
- チェ・ミンシク(『パミョ/破墓』、韓国)
- ラウ・チンワン(『お父さん』、香港)
- 長塚京三(『敵』、日本)
- マイケル・ホイ(『ラストダンス』、香港)
主演女優賞
- カニ・クスルティ(『All We Imagine as Light』、インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク)
- シルヴィア・チャン(『娘の娘』、台湾)
- 河合優実(『ナミビアの砂漠』、日本)
- キム・ゴウン(『パミョ/破墓』、韓国)
- シャーハーナー・ゴースワーミー(『サントーシュ』、インド、イギリス、フランス、ドイツ)
助演男優賞
- 光石研(『夜明けのすべて』、日本)
- 池松壮亮(『ぼくのお日さま』、日本)
- リー・カンション(『黙視録』、シンガポール、台湾、フランス、アメリカ)
- チュー・パクホン(『ラスト・ダンス』、香港)
- フィリップ・ン(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
助演女優賞
- Maggie LI Lin Lin(『All Shall Be Well』、香港)
- ディヴィヤ・プラバー(『All We Imagine as Light』、インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク)
- イム・ジヨン(『リボルバー』韓国
- 瀧内公美(『敵』、日本)
- ヤン・クイメイ(『Yen and Ai-Lee』、台湾)
新人監督賞
- 山中瑶子(『ナミビアの砂漠』、日本)
- 空音央(『HAPPYEND』、日本、アメリカ)
- ドン・ズージェン(『わが友アンドレ』、中国)
- サンディヤ・スリ(『サントーシュ』、インド、イギリス、フランス、ドイツ)
- チューン・ミン・クイ(『ベトとナム』、フィリピン、フランス、シンガポール、オランダ、ドイツ、イタリア)
新人俳優賞
- イ・ドヒョン(『パミョ/破墓』、韓国)
- 栗原颯人(『HAPPYEND』、日本、アメリカ)
- プッティポン・アッサラッタナクン(『Lahn Mah(原題)』、タイ)
- ディラン・ソウ(『お父さん』、香港)
- ダオ・ドゥイ・バオ・ディン(『ベトとナム』、フィリピン、フランス、シンガポール、オランダ、ドイツ、イタリア)
脚本賞
- 和田清人、三宅唱(『夜明けのすべて』、日本)
- パヤル・カパーリヤー(『All We Imagine as Light』、インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク)
- チャン・ジェヒョン(『パミョ/破墓』、韓国)
- ピエール・エルワン・ギヨーム、リティ・パン(『ポル・ポトとの会合』、カンボジア、フランス、台湾、カタール、トルコ)
- モハマド・ラスロフ(『聖なるイチジクの種』、イラン、ドイツ、フランス)
衣装デザイン賞
- ヤン・ドンリン(『千里江山図』、中国)
- チェ・ユンソン(『パミョ/破墓』、韓国)
- Dorjee Dradhul GURUNG(『Shambhala』、ネパール、香港、フランス、ノルウェー、カタール、台湾、トルコ、アメリカ)
- 宮本茉莉(『敵』、日本)
- ブルース・ユー、カレン・イップ(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
美術賞
- フォ・ティンシャオ、LI Chang(『ブラックドッグ』、中国)
- ファム・フォン・ラン(『Don’t Cry, Butterfly』、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア)
- SEO Sung-kyung(『パミョ/破墓』、韓国)
- 林田裕至(『箱男』、日本)
- ケネス・マク、CHAU Sai Hung Ambrose(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
編集賞
- Clément PINTEAUX(『All We Imagine as Light』、インド、フランス、オランダ、ルクセンブルク)
- リティ・パン、マチュー・ラクラウ(『ポル・ポトとの会合』、カンボジア、フランス、台湾、カタール、トルコ)
- ウィリアム・チャン(『わが友アンドレ』、中国)
- ジョジョ・セッ(『お父さん』、香港)
- チュン・カーファイ(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
撮影賞
- ホン・ギョンピョ(『Harbin』、韓国)
- リュー・ソンイェ(『わが友アンドレ』、中国)
- アジズ・ジャンバキエフ(『Shambhala』、ネパール、香港、フランス、ノルウェー、カタール、台湾、トルコ、アメリカ)
- 四宮秀俊(『敵』、日本
- チェン・チュウキョン(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
音楽賞
- Hi’Spec(『夜明けのすべて』、日本)
- キム・テソン(『パミョ/破墓』、韓国)
- 勝本道哲(『箱男』、日本)
- ワンピン・チュー(『ラスト・ダンス』、香港)
- 川井憲次(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
視覚効果賞
- Danny YIN(『ブラックドッグ』、中国)
- 佐藤史郎、小張泰洋(『黒の牛』、日本、台湾)
- トミー・クオ、チウ・チュンイー(『Dead Talents Society』台湾)
- KIM Shin-chul, Daniel SON(『パミョ/破墓』、韓国)
- ジュールス・リン、MA Siu Fu、
- ギャレット・K・ラム、YEE Kwok Leung(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
音響賞
- Zurab KURMANBAYEV(『士官候補生』カザフスタン)
- KIM Byung-in(『パミョ/破墓』、韓国)
- ドゥ・ドゥーチー、TU Tse-Kang(『黙視録』、シンガポール、台湾、フランス、アメリカ)
- YIU Chun Hin、CHEUNG Man Hoi、TO Burnard Davy(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、香港)
- ヴィンセント・ヴィラ(『ベトとナム』、フィリピン、フランス、シンガポール、オランダ、ドイツ、イタリア)
2025年3月16日(日)に開催予定のアジア・フィルム・アワードの授賞式はAFAA公式YouTubeチャンネルでライブ配信予定。
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