『愛されなくても別に』井樫彩監督、南沙良主演で実写映画化

Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
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人気アニメーション『響け!ユーフォニアム』で知られる武田綾乃さんの小説『愛されなくても別に』が井樫彩監督、俳優の南沙良主演で実写映画化され、7月4日に全国公開されることが分かった。

2021年に吉川英治文学新人賞を受賞した『愛されなくても別に』は、大学生活を送りながら浪費家の母親を支えるために複数のアルバイトを掛け持ちしている宮田陽彩が主人公。人生に一度も希望を持ったことのない陽彩の生活が、父親が殺人犯と噂されている同級生でバイト先の同僚でもある江永雅との出会いによって劇的に変化していく道程を描く。

脚本(共同)も手掛けた井樫監督は、「暗くて重い話なのかと思われがちですが、決してそれだけの物語ではありません。苦しんだり傷ついたりしながら、誰かの手を振り払ったり、時には手を取ったりして力強く歩んでいこうとする2人の人間の物語です」と強調。「映画にはならないような劇的とは程遠い、表現という手段からこぼれ落ちてしまうような小さな傷や痛み。それらをこぼすことなく映画に閉じ込めたいと思いながら制作しました」と語った。

南は、「お芝居している中で、自分が不幸であることを他人との物差しとして用いてしまう陽彩を抱きしめてあげたくなりました」と振り返る。そして、「誰かと出会うこと、何かを失うこと、何かを信じること、ただ生きることがこんなにも難しいこの世界で、未来を見ることができなくても、今を生き抜く力を持てたらと強く思えた作品でした」と手応えをつかんだ様子だ。

Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

2人は2023年のABEMA短編映画『恋と知った日』以来のタッグで、井樫監督は「彼女の魅力の一つは、内に秘めた感情を実感を伴って表面に出すことができること。心の中でさまざまな感情が渦巻いている主人公を、言葉少なくとも繊細に表現してくれました」と太鼓判を押す。佐藤慎太朗プロデューサーは、「同年代で同じ時代を生きてきた井樫さんとだからこそ、この映画が作れたと思います。生きていく上で不安や悩みはつきものですが、登場人物たちの勇気が誰かに寄り添い、救うことを願います」と期待している。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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