2025年上半期ベストドラマ&根強い人気の海外ドラマ7選|米批評家が厳選
米『ハリウッド・リポーター』の批評家たちが選んだ、2025年上半期のベストドラマと、米国内の最新視聴データから見る人気の海外ドラマをご紹介。
北極圏を舞台にした心温まる作品から、救急外来を舞台にしたドラマ、コメディの限界に挑戦する作品まで、多様なジャンルの傑作が出揃っている。
※配信先情報は2025年7月16日現在の情報です。
【批評家が選ぶ2025年上半期ベストドラマ】
◆『アドレセンス』
Netflixの話題作『アドレセンス』が特に話題となっているのは、現代社会の「マノスフィア」現象に焦点を当てている点である。「マノスフィア」とは、男性中心主義的な思想やコミュニティを指す現代用語で、SNSやオンライン掲示板を中心に拡散している社会現象だ。
ただし一方的に批判するのではなく、その背景にある男性たちの孤独感や社会への適応困難を理解しようとする視点で描かれている。
13歳の少年役の新人俳優オーウェン・クーパーをはじめとする俳優陣の演技力と、ワンカット撮影という高度な撮影技法が話題になっている。時代の空気を敏感に捉えたテーマ設定が、多くの視聴者の共感を呼び、「男性性の危機」という現代の重要な問題を、視聴者の心に深く響く作品に仕上がっている。
※日本での配信情報:Netflixで独占配信中
◆『キャシアン・アンドー』シーズン2
『ローグ・ワン』へとつながる、各3話ずつの4部構成(計12話)で配信されたシリーズであり、トニー・ギルロイがショーランナー・製作総指揮・脚本を務める、Disney+の革命的『スター・ウォーズ』作品。抑圧的な支配から解放された世界で、人々が力を合わせるのがいかに難しいことなのか。その過程を丁寧に描いている、今年最も深いテーマに踏み込んでいる作品だ。
※日本での配信情報:ディズニープラスで独占配信中
◆『コモン・サイド・エフェクツ(原題)』
カートゥーン ネットワークの深夜枠アダルトスイムにて放送されている新作アニメシリーズ『コモン・サイド・エフェクツ(原題)』が、製薬業界をテーマにした強烈な大手製薬会社風刺コメディとして注目を集めている。
本作は映画『リストラ・マン』(1999年)や人気アニメシリーズ『キング・オブ・ザ・ヒル』(1997〜2010年)で知られるマイク・ジャッジがプロデューサーを務めている。物語は高校時代に実験パートナーであったマーシャルとフランシスが、ほとんど全ての病気を治せる奇跡のキノコを発見するが、麻薬取締局や製薬会社、実業家たちが彼らを阻止しようとするスリラーコメディ。
マイク・ジャッジは過去に『リストラ・マン』で職場文化を、その他にもテック業界を鋭く風刺する作品を製作してきた実績から、今回の製薬業界批判にも説得力を与えている。近年、製薬業界への批判は高まっており、ディズニープラスで配信中の『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』(2021年)などのドラマでもオピオイド危機が描かれている。米国ではシーズン2の配信も決定している。
※日本での配信情報:2025年7月11日現在、日本での配信サービスは確認されていません。
◆『ダーク・ウィンズ(原題)』
AMCがトニー・ヒラーマンのミステリーシリーズ『リープホーン&チー』をドラマ化した『ダーク・ウィンズ』。シーズン3では、ザーン・マクラーノンがテレビ史上でも屈指の主演演技を見せている。
『ホークアイ』や『ドクター・スリープ』に出演してきたザーン・マクラーノン主演の、1970年代のアリゾナ州を舞台にした西部劇クライムスリラー。
幻覚的なホラー要素を加え、『窓際のスパイ』、『リーチャー』、『特別捜査部Q』シリーズのような、「空港小説の映像化黄金時代」を牽引しているドラマと言えるだろう。
※日本での配信情報:2025年7月11日現在、日本での配信サービスは確認されていません。(シーズン1、2のDVDは発売中)
◆『ここが世界の最北端』
この極寒の北極圏を舞台にしたNetflixコメディは、魂を消耗しがちな時代に生きる私たちが必要とする、心温まるドラマシリーズ。
本作をきっかけにスターとなった俳優アンナ・ランベを中心に、『たどりつけばアラスカ』(1990-1995年放送、第2シーズンまで『ノーザン・エクスポージャー アラスカ物語』)、『シッツ・クリーク』(2015-2020年)に似た要素を持ちながらも、これまでにないユニークさを備えた作品だ。
※日本での配信情報:Netflixで独占配信中
◆『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』
医療ドラマとして根本的に新しいことをしているわけではないが、興奮と安心感を持って見ることができるシリーズ。
ノア・ワイリー(『ER 緊急救命室』(1994年〜2009年)ジョン・カーター役)が重厚な演技で、多忙を極める救急医療室の描写を引き締めている。
ピッツバーグの病院の最前線で働く医師たちを通して、現在のアメリカの医療が直面している問題を浮き彫りにする。主人公のロビナヴィッチ医師は経営効率化を図る経営陣や病院内政治と戦いながら研修医を育て、次々に送られてくる患者への対応に奮闘する。
※日本での配信情報:U-NEXTで独占見放題配信中
◆『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』 シーズン2
カナダ出身のコメディアン、ネイサン・フィールダーは、コメディ、ドキュメンタリー、実験的要素を全て備える本作で、視聴者の共感を得て心を掴み、シーズン2へと更新された。
飛行機事故に興味を引かれたネイサンは、事故原因は主に機長と副操縦士の意思疎通にあると考える。空港ターミナルのセットに俳優陣を投入し、専門家の助けを借りて事故の状況を再現。人命を救うべく、壮大なスケールで入念なリハーサルを繰り返す。
※日本での配信情報:U-NEXTで独占見放題配信中、AppleTV+でも配信中
◆『ザ・スタジオ』
業界風刺作品は山ほどある中で本作は、セス・ローゲンが主演と製作総指揮、監督、脚本を務め、映画スタジオ「コンチネンタル・スタジオ」を中心に、映画製作の芸術性と商業的な成功の両立を目指す中で起こる、華やかな業界の裏側にある葛藤や人間模様をリアルに描いている。
ハリウッド業界パロディ満載のストーリーが魅力で、実際にマーティン・スコセッシ、シャーリーズ・セロン、ロン・ハワードなど豪華監督・俳優がカメオ出演する点も話題だ。
※日本での配信情報:Apple TV+で配信中
【根強い人気の海外ドラマトップ7】
ここからは公開・配信開始から時間が経っても視聴数・話題性が残る作品をピックアップする。“じわじわ”と長く視聴されている人気作品の中から、ニールセンの視聴率調査に基づき、日本でも視聴可能なものをピックアップ。
新作ドラマや新作映画以外にも隠れた名作がまだまだ埋もれているので、ぜひ次に観る作品選択の参考にしてほしい。
01 『トラッカー』
懸賞金稼ぎを生業にする主人公コルター・ショウ(演:ジャスティン・ハートリー)がアメリカ中を巡り、幼少期から鍛え上げたサバイバル術とハイレベルな追跡技術を駆使してあらゆる謎を解いていくアクション・クライムスリラー。
プライムビデオの『リーチャー~正義のアウトロー~』のような、観ていてスッキリするドラマシリーズ。
アメリカの山奥から海辺、そして都会で誰かの愛する人、または犬を探し出すコルターとその仲間たち。視聴者は、主人公の愛車とキャンピングカー“エアストリーム”で各地を旅しているような気分を味わえる。
※日本での配信情報:ディズニープラスで配信中
02 『ハイ・ポテンシャル』
IQ160の頭脳を持つシングルマザーのモーガン(演:ケイトリン・オルソン)が、型破りな才能で融通の利かないベテラン刑事カラデック(演:ダニエル・サンジャタ)と一緒に犯罪を解決していく姿を追う。
※日本での配信情報:ディズニープラス、Apple TV+
03 『マトロック』
オスカー受賞俳優キャシー・ベイツ主演の法廷ドラマ『マトロック』でベイツは、壮大なスピーチからコメディまで幅広い演技を披露。時に面白く、独自のひねりを加えた内容で、期待以上の面白さのドラマ。
コネチカット州の裕福な70代の元弁護士マデリン・キングストン(演:キャシー・ベイツ)は、娘の死の復讐のためマンハッタンの法律事務所で若手アソシエイトとして潜入する。資金難の未亡人で控えめな祖母マデリン“マティ”マトロックを装っているが、復讐心に満ちており、敏腕弁護士で容疑者でもあるオリンピア(演:スカイ・P・マーシャル)の不可欠なチームメンバーとなる。
04『エルズベス』
『グッド・ワイフ』(2009〜2016年)と『グッド・ファイト』(2017〜2022年)のスピンオフであり、キャリー・プレストンが型破りな弁護士エルズベス・タシオニを演じている。鋭い推理力と風変わりな魅力でミステリー事件を追う。
05『GBI特別捜査官 ウィル・トレント』
ジョージア州捜査局(GBI)の特別捜査官ウィル・トレント(演:ラモン・ロドリゲス)が数々の事件を、鋭い観察力で解決していく、アメリカのベストセラー小説家カリン・スローターの刑事小説を原作としたドラマ。
本作に引き込まれる視聴者が多い理由は、里親制度の中で育ち、幼少期のトラウマと失読症を抱える主人公ウィル・トレントと、彼を家族のように支える同僚たちの温かさと、各登場人物それぞれの人間味の深さにあるのではないだろうか。
※日本での配信情報:ディズニープラス
06『9-1-1:LA救命最前線』
緊急救命の最前線を描く、メガヒットシリーズ。911番(緊急通報ダイヤル)から始まる過酷なミッション。指令室、レスキュー、警察など緊迫する最前線で活躍するヒーローたちの奮闘と日常を同時に描く。予想外の展開、圧倒的なスケールとリアリティに手に汗握らされる。
07『シフティング・ギアーズ』
ティム・アレンが演じる、クラシックカー修理工房オーナーで、妻に先立たれた頑固なマットが主人公。疎遠になっていた娘ライリー(演:カット・デニングス)とその2人の思春期の子供たちが、人生の困難な時期を迎えてマットの家に引っ越してきたことで、家族の「修復」が始まる物語。
妻の死を悼み続けるマットは、娘ライリー家族との生活の中で、彼らは傷ついた関係を修復し、互いに癒し合うことができるようになる。
車の修復と同様に、壊れた家族関係の修復には時間と努力が必要である様子を描いた、心温まるファミリーコメディドラマ。
※日本での配信情報:ディズニープラス、Apple TV+
※本記事は英語の記事から抄訳・要約し、視聴率調査会社ニールセンの情報をもとに編集したものです。
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