【S3ネタバレ】『イカゲーム』続編はある?製作者が明かす、シーズン3の裏側とシリーズの今後「6年間すべてを捧げた」

イ・ジョンジェ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
イ・ジョンジェ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
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[本記事には、Netflix『イカゲーム』シーズン3の重大なネタバレが含まれています。】

6月27日にNetflixで配信が開始された『イカゲーム』シーズン3は、世界的大ヒットを記録した韓国ドラマの最終章として注目を集めている。

シーズン3では、主人公ギフン(演:イ・ジョンジェ)が究極の自己犠牲を選択する衝撃的な展開が描かれる。借金を抱えた父親として、シーズン1でデスゲームに勝利し、シーズン2と3でそのシステムを打倒しようと戦い続けたギフンだが、最終的には別の参加者ジュニ(演:チョ・ユリ)の赤ちゃんを救うために自らの命を捧げる。そして、赤ちゃんは両親を失いながらも、母親の参加番号である222番を継承してゲームに勝利することとなった。

『イカゲーム』のクリエイター、ファン・ドンヒョクが米『ハリウッド・リポーター』のインタビューに応じ、シーズン3の衝撃のラストをめぐる苦悩や、スピンオフシリーズの可能性などについて語った。

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―――シーズン2から導入されたOとXの投票システムは、当時の世界情勢にインスパイアされたと語っていましたね。参加者の大多数がO(ゲームの続行)に票を投じることで、現代社会について何を伝えようとしているのでしょうか?

自分自身が直接体験したことや、ニュースを通じて読み聞きした出来事を踏まえると、世界中で選挙や投票をめぐって始まる対立がますます激化しているように思われます。選挙は、つねに人々のあいだに分断をもたらしてきました。しかし、過去の私たちは、少なくとも相手の話に耳を傾け、お互いに対してより寛容であったと考えています。

しかし昨今は、そうではありません。選挙で異なる陣営に分かれることから生じる対立は、ますます過激主義的になっており、他者が自分とはちがう存在であり得るということを、人々はもはや考えなくなっています。むしろ、「自分が正しく、他の者はみんな間違っている」という状況になっていて、多くの暴力も引き起こします。

そのうえ、ポピュリズムやプロパガンダが非常に多く存在し、さらにはAIによって生成されるフェイクニュースなどもあります。これらすべてが多くの過激主義的思考を生み出し、そうしたもののために多くの人々が誤った方向に誘導されています。私は、これらすべての時事問題を『イカゲーム』に反映させたかったのです。

チョ・ユリ、、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
チョ・ユリ、、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix

―――シーズン3で、ゲームを楽しむVIPたちに再び焦点を当てたのはなぜでしょうか?

たしかに、VIPの役割はシーズン1と比べて大きくなっています。かつてのVIPは、政治や社会をコントロールしながらも、カーテンの向こう側に隠れた存在でした。しかし、最近はますます、コントロールする側の人々が表面に出てきているように感じます。彼らは、自分たちが支援しているものや、さまざまな決定に資金提供していることを人々に知らせます。

最近は、韓国、そしてアメリカにも当てはまることですが、彼らの存在ははるかに明白になっています。彼らは正体を明かし、自分たちがコントロールする側であり、権力を持つ側であることを人々に知らせます。私は、その事実を少し探求したかったのです。そしてそれは、反オリガルヒ運動や、最近の議論の進み方との関連があると思います。

―――シーズン3では、ジュニの赤ちゃんがゲームに参加することで緊張感が高まりました。この赤ちゃんは何を表しているのでしょうか?

フィナーレということもあり、真の『イカゲーム』らしい方法で緊張感を高め、より大きなリスクをとることが正しい道だと感じました。それを通じて、人間性の奥の奥までより正確に暴き、さらに明るい希望にも光を当てたかったのです。赤ちゃんの存在によって、ギフンがこれらのテーマをより詳しく提示することができると信じています。

私たちが今このように世界で生きることができるのは、よりよい世界を与えるために前の世代が努力や困難を経験してくれたおかげだと思います。そして私たちは、未来の世代により良い世界を与えるために、自分たちのあり方を正し、努力していかなければなりません。なので『イカゲーム』において、赤ちゃんは人間の良心を表すだけでなく、未来の世代も表しているのです。

イ・ジョンジェ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
イ・ジョンジェ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix

―――ギフンの物語をどう終わらせるかを決めるうえで、最も大きな挑戦は何でしたか?

最も大きな挑戦は、ギフンをどこまで奈落の底に突き落とすのか、そしてどこで再び立ち上がらせるかということでした。

シーズン2の終わりで彼は反乱に失敗し、親友を含め一緒に反乱を起こした人々を失います。シーズン3では、罪悪感と悲劇がギフンを完全に飲み込み、彼はもはや耐えられなくなってしまうのです。そこでギフンは、その罪悪感を(反乱中に)弾薬を持って戻ることに失敗したデホに投影します。

ギフンは罪悪感から逃れようと苦闘し、それが第2話の「かくれんぼゲーム」で描かれたように、はじめて人を殺すことにつながります。彼は、折り合いがつかない原罪を犯すのです。

やはり、“どん底のギフンが、どう立ち直るのか?”という過程を描くことが、最も苦労したポイントでしたね。私が到達した結論については、できればドラマ全体をご覧になった後で、視聴者のみなさんに理解し支持していただければと思います。

―――以前に、スピンオフのアイデアをいくつか提示されましたね。シーズン1と2のあいだの出来事を描いたり、他のプレイヤーやピンクガードのバックストーリーを探求したりしたいと話されていました。シリーズの今後について、お聞かせください。

物語は、これ以上語る必要がないようなかたちで終わったと思います。ですから、今回の結末から続くストーリーを語ることには、あまり興味がありません。もしいつかスピンオフを作るとしたら、むしろ遡って(シーズン1と2の間の)空白の時間で何が起こったかを探求したいと思います。しかし、あくまでも私たちが検討しているだけのことなので、スピンオフがいつ、どのように実現するかについては、まだ未定です。

―――シーズン3の制作時に、ストレスで歯を2本失ったとお聞きしました。シーズン3がついに配信された今、どのような気持ちですか?

シーズン3には、秘密にしておきたい情報がとても多くありました。リークの噂や時にはフェイクニュースもあり、私はSNS上でつねにチェックしていました。個人的にも、周りの人たちからたくさんの質問を受けました。「ギフンはどうなるの?このキャラクターたちはどうなるの?どんなゲームが出てくるの?イエスかノーかだけでも教えて」と聞かれるのです(笑)。

なので、そういった恐怖や重荷から解放されて、安堵を感じています。しかし、開始当初から幕を閉じるまでの6年間、『イカゲーム』について考えない日は1日もありませんでした。過去6年間、自分のすべてをこの作品に捧げてきました。

ですから、お別れをしなければならないということを思うと、喪失感を感じますし、むなしい気持ちになります。でも、もしシーズン3がシーズン1と同じくらいの愛情で迎えてもらえるなら、お別れすることについての虚無感は確実に和らぐと思います。

―――シーズン3に登場した「大縄跳びゲーム」は、非常に生々しくて存在感がありました。このゲームを見事に描き切ったことについて、思いをお聞かせください。

脚本で大縄跳びゲームを書くのはそれほど難しくありませんでしたが、実際に撮影するのは最も困難なことの1つでした。執筆過程では、心理的な側面を描く必要があるため、第4ゲーム「かくれんぼ」と第6ゲーム「天空イカゲーム」がより大変でしたね。

俳優たちをセットに配置してからは、全員が同じリズムで跳ぶようにしなければなりませんでした。高さの感覚を加えたり、縄を表現するためにCGIがたくさん使われました。そのうえ、縄の音響効果も必要でした。人手や費やした時間について言えば、縄跳びの制作には本当に多くの労力が必要でした。

このゲームが生々しく感じられるのは、何が起こっているかを理解するのに、五感すべてが必要だからだと思います。観客のみなさんに、ぜひスリルを感じていただければと思います。

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『イカゲーム』シーズン1~3は現在、Netflixで独占配信中。

 ※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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