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『ブリジャートン家』シーズン4が描く“シンデレラ”と勇気の物語――ショーランナーが徹底解説【ネタバレあり】

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ルーク・トンプソン、イェリン・ハ、『ブリジャートン家』シーズン4より
ルーク・トンプソン、イェリン・ハ、『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix
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 【※本記事は『ブリジャートン家』シーズン4・パート1のネタバレを含みます。】

Netflixで配信中のドラマ『ブリジャートン家』は、スキャンダラスな展開とロマンチックなラブストーリーで人気を集めている。先日配信されたシーズン4では、新たにシンデレラストーリーの要素も加わった。

シーズン4の前半は、プレイボーイのベネディクト・ブリジャートン(演:ルーク・トンプソン)を中心に描かれる。母親が主催する仮面舞踏会で魅惑的な銀色のドレスをまとった女性ソフィー・ベク(演:イェリン・ハ)と出会い、ベネディクトの行動は一変する。

ベネディクトは女性の正体を知ろうと奮闘するが、事態は複雑だった。ソフィーは威圧的な女主人アラミンタ(演:ケイティ・リューング)に仕えるメイドだったのだ。しかし、ベネディクトは、ソフィーと「銀の貴婦人」が同一人物だと気づいていない。

ベネディクトとソフィーのラブストーリーが佳境を迎える中、他のブリジャートン家のキャラクターもそれぞれの道を進んでいく。

コリン(演:ルーク・ニュートン)とペネロペ(演:ニコラ・コフラン)は新婚生活の幸せを満喫中だ。フランチェスカ(演:ハンナ・ドッド)はジョン(演:ヴィクター・アリ)との結婚生活の中で自分探しに悩む。そしてヴァイオレット(演:ルース・ジェメル)は、ついに自身の恋愛と向き合い始めたのだ。

ショーランナーのジェス・ブラウネルは米『ハリウッド・リポーター』のインタビューで、古典的なシンデレラストーリーに回帰した理由や、2月26日(木)に配信される後半の展開について語った。


シーズン4に『シンデレラ』を取り入れた意味とは?――童話を現代風にアレンジ

――ブラウネルさんは、シーズン3で初めて本作のショーランナーを務めました。前シーズンの成功を受けて、今シーズンにはより自信を持って臨みましたか?

チームと制作を管理する上で、確実に新たな自信と安心感を感じていました。シーズン3とシーズン4の最大の変化は、脚本の大部分を私以外の脚本家に任せるようになったことです。全員が自分の執筆したエピソードに責任と誇りを持っていました。

――今シーズンは古典的なシンデレラストーリーを取り入れながら、物語としてユニークな違いを織り交ぜています。その制作過程はいかがでしたか?

私がラブストーリーを作る際は、定番のパターンを尊重しつつ現代風にアレンジし、時にはどんでん返しを仕掛けるのが好きです。

今回のシンデレラストーリーの重要な点は、「いかに女性キャラクターに自立心と主体性を与えるか」という点でした。ソフィーを力強いヒロインとして描き、ベネディクトが彼女を手に入れようと努力する流れを作ることを重視しました。

――『シンデレラ』は最も愛されている童話の一つで、これまで何度も映像化されてきました。シンデレラストーリーを描くことにプレッシャーを感じましたか?

その点は、脚本家チームでも話し合いました。ディズニー映画の『シンデレラ』(2015年)や『エバー・アフター』(1998年)をもう一度観て、これらの模倣にならないように差別化を図りました。

――童話『シンデレラ』との大きな違いは、意地悪な継母であるアラミンタの立場です。この継母はソフィーが舞踏会にいたことをシーズンの序盤で見破り、家から追い出します。この部分の展開を早めたのはなぜでしょうか?

その部分は、ジュリア・クインの原作『もう一度だけ円舞曲(ワルツ)を』に合わせています。私たちにとっては、ソフィーをできるだけ早くあの家から出すことが重要でした。彼女とベネディクトが再会した瞬間から、物語が本格的に動き出すと感じたからです。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

――シーズン4からソフィー役のイェリン・ハさんが参加しましたが、いかがでしたか?

イェリン、そして彼女と過ごした時間は最高でした。彼女は1800年代の家政婦の日記を読み込むなど、ソフィー役に情熱を注いでくれたのが印象的でした。彼女は深みを持つ俳優ですが、コメディタッチな動きも面白いのです。撮影中、私は笑い声を抑えるのに必死でした。

テーマは「ファンタジー」と「リアリティ」の対比

――兄弟たちと比べてプレイボーイだったベネディクトが、シーズン4では謎めいた女性に惹かれ、真剣に結婚まで考えるようになったのはなぜでしょうか?

ベネディクトは、人生であらゆることを経験してきたがゆえに、退屈を感じ始めていました。そんな彼にとって仮面を着けたソフィーの真の魅力は、子どものような好奇心と遊び心を思い出させてくれたことです。

後日ソフィーと再会したベネディクトは、彼女の別の一面を知ります。それは、彼女が自分自身をよく理解しており、信念を重んじ、明確な労働観念と目標を持っているということです。

シーズン4は「ベネディクト、ソフィー、仮面の女性」の“三角関係”が見どころの一つです。ソフィーと仮面の女性のうち、片方はベネディクトの願望を、もう片方はベネディクトに必要なものを表しています。そしてこの2人が同一人物だとベネディクトが気づいた時、物語は爆発的に進展します。

――今シーズンには、三角関係の典型的なパターンが隠されていますね。

製作陣でもかなり話し合いましたが、シーズン4のテーマの一つは「ファンタジー対リアリティ」です。銀の貴婦人は「ファンタジー」、ソフィーは「リアリティ」を象徴しています。

実際には、銀の貴婦人とソフィーは、どちらもファンタジーとリアリティの間に存在します。真実の愛を見つけるためには、そのちょうど中間で出会わなければならないのです。

――ベネディクトとソフィーが舞踏会で初めて出会うシーンは、甘美でありながらユーモラスでもあります。あのシーンを生き生きと描くにあたり、どのような点にこだわりましたか?

あのシーンでは、わずか数分間で2人が恋に落ちたことを表現する必要がありました。2人の人生にそれぞれ欠けているものは何か、お互いに対して感じた印象、そして2人にとって究極的にロマンチックなファンタジーを生み出すにはどんな状況を作ればいいか、それらを深く考えました。

そこで重要な役割を果たしたのが、ガゼボ(東屋)のシーンです。質素な世界で生きてきたソフィーにとって、花々が飾られたガゼボでブリジャートン家の人物からダンスレッスンを受けることは、大きな意味を持ちます。脚本だけでなく、視覚的にも魔法のような瞬間を作り出すため、すべての制作部門と協力しました。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

――シーズン4の前半を通じて、ベネディクトはソフィーが「銀の貴婦人」であるとは気づいていません。彼女の唇と声は覚えているにもかかわらず、同一人物だと気づけなかったのはなぜでしょうか?

たしかに、やや疑問を感じる状況かもしれません。当時の階級社会において、メイドの存在は透明化されていました。ベネディクトのように先進的な考えを持つ人でさえ、まさかメイドが舞踏会に参加していたとは考えもしなかったでしょう。

そして「ソフィー=銀の貴婦人」だと認識できなかったことについて、彼はシーズン4の後半で考えていくことになります。前半が「ファンタジー」だとしたら、後半は多くの点で「リアリティ」を含んでいます。

ベネディクトとソフィーの「愛と勇気」が試される

――第3話「向こうの小道に広がる野原」で、田舎の屋敷でベネディクトとソフィーがゆっくりと関係を築いていく部分について教えてください。

第3話の脚本はキャシー・リューが担当しました。彼女は緊張感を巧みに演出した上で、ベネディクトとソフィーのキャラクターを深く掘り下げてくれました。第3話は、豪華な世界から切り離された、いわばボトル・エピソード(出演者や予算を抑えた小規模の番組)です。

この回を通じて、作中の2人がお互いのことを知ると同時に、視聴者も彼らのことを知っていきます。ソフィーはメイドとして仕えるのではなく貴族のドレスを着て、束の間、ベネディクトと平等に接します。もちろん、第4話でロンドンに戻れば、その関係は崩れてしまいますが。

――第4話「紳士からの申し出」で、ベネディクトはソフィーに惹かれ始めているように見えます。しかし結局、彼が口にしたのは「愛人になってほしい」という頼みでした。もしソフィーが舞踏会で出会った女性だと知れば、ベネディクトは本当の意味で彼女を愛せるのでしょうか?

良い質問ですね。ベネディクトは根っからのロマンチストですが、同時に、勇気を出して恐れを克服した経験がないのです。本当の意味で、彼の心に深く突き刺さったものは今までありませんでした。

今シーズンで私たちが主に描きたかったテーマは「勇気」です。ベネディクトは真剣に何かに取り組んだことがないからこそ、自分の勇気に自信を持てていない、と私たちは考えました。彼のような紳士がメイドと恋愛をするには、社会的なルールを破り、場合によっては社会の外に飛び出さなければなりません。そのためには途方もない勇気が必要になります。それこそ、シーズン4の後半で彼に期待されている展開でもあります。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

――第4話のラストでは官能的なラブシーンが生き生きと描かれましたが、その直後にソフィーは失望を味わいます。こうした展開に辿り着いた経緯を教えていただけますか?

キャラクター同士の親密さという点では、今シーズンはシーズン2と少し似ています。2人の間には高い障壁があるため、すぐに親密な展開にすべきではないと感じたのです。ソフィーは非常に強い信念を持っており、彼女の生まれ育った環境からしても、簡単に屈する性格ではありません。

しかしシーズン4の後半では、2人の仲がさらに深まる展開もあります。期待してお待ちください。

サイドキャラクターにも注目!さまざまな“勇気”の物語

――ペネロペがレディ・ホイッスルダウンであることを誰もが知った現在、これまでの謎めいた面白さをどう維持していくのでしょうか?女王が常にペネロペに命令を与える中で、ペネロペは正体を明かしたことを後悔しているのでしょうか。

いえ、彼女は後悔していないと思います。というのも、彼女が成長するために、自分自身を肯定する必要があったのです。シーズン4を通じて、彼女は自分の書くゴシップにますます責任を持たなければならない立場になります。私たちはその様子を見守ることになるのです。

今シーズンで彼女は、女王からのプレッシャーや、ゴシップの当事者からの批判によって追い詰められていきます。シーズンの後半で、彼女はそうした点に挑戦していくのです。

――シーズン3でのペネロペとコリンの物語は、ファン人気の高いエピソードです。馬車でのラブシーンを含め、シーズン4ではこの2人の物語をどのように織り交ぜましたか?

ある程度はファンサービスですが、前シーズンで主役だった彼らのエピソードを引き続き掘り下げていくことは、とても重要でした。特にペネロペが置かれた状況など、この2人の物語はさまざまな点で「勇気」について描いており、今シーズンと結びつけるのは難しくありませんでした。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

――シーズン3の山あり谷ありの展開を経て、シーズン4で幸せな彼らを描いたことはいかがでしたか?

本当に楽しかったです。シーズン3のアンソニー(演:ジョナサン・ベイリー)とケイト(演:シモーヌ・アシュリー)を描いた時と同じ気持ちでした。つまり私たちは、前シーズンで苦難を乗り越えたカップルの幸せな様子が見たいのです。

――シーズン4の前半では、フランチェスカが結婚生活を送る中で、自身の人生を探求しようとします。今後のシーズンで、彼女の人生や愛はどのように描かれるのでしょうか?

前半ではフランチェスカとジョンの関係にも焦点を当てることができ、楽しかったです。「勇気」というテーマを通して見ると、今シーズンでのフランチェスカは自分自身を理解しようと奮闘しています。

そして彼女は今回、小さな一歩を踏み出しました。自分をワクワクさせるものや、それを正直に表現する方法を見つけることが、彼女の人生で重要になります。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

――そしてヴァイオレットも、ついにマーカス・アンダーソン卿(演:ダニエル・フランシス)との恋愛を前に進めようと決意します。ダンベリー夫人(演:アッジョア・アンドー)との友情や亡き夫への忠誠心を保とうとしてきた彼女が、なぜこのタイミングで恋愛を進めようとしたのでしょうか?

ブリジャートン家にはまだ何人かの子どもがいるため、彼女の子育てが完全に終わったわけではありません。しかしこれまでのシーズンを経て、「母親は恋愛的なアプローチを受けてはならない、自身の欲望に従ってはならない」というメッセージは伝えたくありませんでした。

そうした彼女の考えは、アンダーソン卿とのやり取りの中で高まっていき、ついには爆発寸前になります。そのシーンを描くことができて本当にうれしかったです。ルースとダニエルはすばらしい演技を披露してくれました。

また、ヴァイオレットは子どもたちに性に関する失敗談を語るなど、これまでのシーズンでさまざまな出来事を経験してきました。彼女自身も性ともう一度向き合うことで、さらに上手くコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。

『ブリジャートン家』シーズン4より
『ブリジャートン家』シーズン4より 写真:Netflix

今後の『ブリジャートン家』で2人を待ち受ける試練とは?

――ブリジャートン家で働くことになったソフィーにとって、シーズン4の前半で事態が好転したように見えました。しかしその後、かつて彼女が仕えていたペンウッド家が隣に引っ越してくるという、驚きの展開で幕を下ろします。後半はさらに複雑な展開になりますか?

あまり裏側の話はしたくないのですが、ソフィーの展開についてチームで話し合った際に決めたのが、「彼女は良い職場と雇用主を強く求めている」ということです。そしてブリジャートン家で働くことができ、その目標が叶います。

しかしこの目標は、「愛と家族を見つけて自分の殻を破りたい」という、彼女のもう一つの目標と相反するものです。隣にペンウッド家が引っ越してくることで、彼女の目標は確実に脅かされることになります。ペンウッド家の存在だけでなく、彼女自身のベネディクトへの想いも、彼女の心を脅かすのです。

――これまでのシリーズの中で、シーズン4を際立たせている特別な要素は何だと思いますか?

本作はシーズンごとに少しずつトーンが異なります。シーズ3はラブコメディが中心でしたが、シーズン4はまさにおとぎ話のような世界観がテーマとなっています。このような世界観のシーズンは、今までありませんでした。ただ、「最終的にはおとぎ話の世界から抜け出さなければならない」というメッセージも訴えています。シーズンの前半と後半で、それらを上手く表現できたと思います。

――そのほかシーズン4後半の展開について、現段階で教えていただけることはありますか?アンソニーとケイトはまた登場するのでしょうか?

インドからの帰路にあるアンソニーとケイトは、後半で登場します。アンソニーは弟たちにとって、常に「リアリティ」を突きつける存在です。

そのため、後半ではベネディクトにも覚悟が求められ、ソフィーの緊張感もさらに高まっていきます。それと同時に、相手を求める気持ちも高まり、これらの感情がぶつかり合うことになります。


『ブリジャートン家』シーズン4は現在、パート1(第1~4話)がNetflixで配信中。パート2は2月26日(木)に配信される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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