Netflix『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』クリエイター陣が明かす画期的なアニメの裏側

『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』写真: COURTESY OF NETFLIX

Netflix『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』(11月3日より配信開始)は、17世紀の日本を舞台とし、異国の血を引く剣士の姿を描いたアニメシリーズだ。

同作の構想は約15年前に遡る。クリエイターのアンバー・ノイズミとマイケル・グリーンの娘は青い目で生まれた。日本人とのミックスであるノイズミは、「なぜ娘の顔が白人寄りなのをこんなに喜んでしまうのだろう?」と考えていたという。ハリウッドはこれまで、複数のバックグラウンドを持つ人々が直面する経験を大きく取り上げてこなかった。

『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』のミズ (声: マヤ・アースキン)は、4人の白人男性による性暴力が原因で生まれた。大人になったミズは、男装し青い目を隠しながら復讐を始める。 

米ハリウッド・リポーターは、ノイズミとグリーンにミズのアイデンティティーや、物語設定、アートスタイル、音楽などについて尋ねてみた。

このシリーズを通して、複数の血を引くアンバーさん自身の経験をどのように表現したいと思われましたか?何を紐解きたかったですか?

ノイズミ: 子供時代から今に至るまでジョークで乗り切ってきたことなので、それについて語るのは難しいですね。なので、2つの世界の狭間で感じることを探求したい思いがありました。でも、私が知っているのは白人と同化しようとした世界だけ。ならば、日本人と同化しようとしたらどうだっただろう?ー日本が特に同質的だった時代にね。今作は、それほど説教くさいものではありません。楽しい経験をしながらも、様々な感情を極限まで物語っています。私はミズのように人を切り倒そうと思うことはないけど、その種を脚本やスクリーン上で育てています。

17世紀の日本という具体的な時代設定は、どのように生かされたのでしょうか?

ノイズミ: その時代について興味深いのは、1633年に日本が鎖国し、外部からの影響を受けないようにしたことです。それは今でも「日本の黄金時代」だと言われています。最も同質的だった時代の表現としては非常に興味深いと感じました。物語にするのに魅力的な美しさや歴史的な要素が沢山ある一方で、それが「黄金時代」であったという事実、そして見た目が違う人にとってはそうでなかったという事実こそ、私たちが掘り下げたかった重要な要素だったと思います。

この時代の女性の経験を中心に据えたのはなぜですか?

ノイズミ: 主な理由は私が女性であることで、自分だったらどう感じるだろうと想像しました。さらに、ミズは人種の問題だけでなく2つの困難に直面します。ミズはとても意欲的で集中力の高い人である必要がありました。ただ息を潜めるのではなく、本当の意味で立ち上がらなければならなかったのです。

グリーン: 台本を読んだ人には、ミズの性別は「ミズ」だと言いました。彼女の代名詞は“They”と表記し、最後に「まさか!」と驚くような展開にしたかったのです。読み手は、「こんなにクールな人は男に違いない」という思い込みと闘わなければならない。それがこの物語を読む価値があると人々が感じた理由の1つだと思います。最後のページで初めて女性だと明かされるので、おそらくは自分の推測との闘いが必要だったでしょう。

実写的、パペット的な要素を持つ新感覚の作品を創り上げられています。このような手法を取られた理由と、それによって伝えたかったことを教えて下さい。

ノイズミ: 「ブルーアイ・サムライ」で、あらゆる箱を壊したかったのです。ミズは人種・性別の枠にはまらず、今まで誰も観たことのないようなシリーズです。漫画でも、アニメでも、実写でもありません。

グリーン: 東洋と西洋が融合したような作品を意図していて、アニメーションのスタイルもそれを想定する必要がありました。Netflixは「画期的なことをやりたい」と考えていたし、ジェーン・ウー監督も「これまでとは一線を画す手法なら分かる」と言ってくれました。そして、喜んで参加してくれるアーティストたちを迎えました。

作品の特性にマッチした音響が素晴らしく、映画的な雰囲気も感じられます。音響チームとはそれについて話し合いましたか?

ノイズミ: 音楽については、どうすれば時代考証に基づいたサウンドになるか何度も話し合いましたが、歴史的に正確なサウンドを再現することは不可能だと分かっていました。仮にできたとしても、現代人の耳には合わないかもしれない。私たちは(作曲家の)エイミー・ドウアティにいくつかの名詞を提案しました。

グリーン: 最初にミズ、アケミ、バトルのテーマを聴きました。今作を初めて体感することができ、息を呑むような瞬間でした。エイミーとの仕事は素晴らしく、おかげでシリーズは感動的な体験となりました。彼女が選んだサウンドトラックには、エミ・マイヤーが歌うメタリカの“For Whom the Bell Tolls”も収録される予定です。

音響に関しても、ポール・N・J・オットソン、マイロン・ネッティンガら精鋭が揃いました。彼らはまるで大作映画であるかのように、高度なレベルでアニメーションに取り組んでくれました。私たちは目標を伝えましたが、それを超えてくれたのです。

この作品には本当に素晴らしい声優陣が揃っています。実写作品で活躍している方々が多いので、オファーを熱烈に送りましたか?

ノイズミ: 元々、キャラクターを想定した人々が思い浮かんでいました。それに、アジア人のレプリゼンテーションが豊かな新感覚の作品に参加できることに、誰もが興奮していたのでしょう。マヤ・アースキンは素晴らしい俳優で、ずっと彼女をミズ役に想定していました。私は『PEN15』の彼女が大好きです。この作品は半自伝的なものだと思いますが、混血の彼女が抱える複雑な感情が豊富に描かれています。

グリーン: 役をオファーしたら、みんな「イエス」と言ってくれました。それはもう本当に感動的で。エピソード4では、ミンナ・ウェンが声を担当するマダム・カジというキャラクターが登場します。私たちは「彼女にこの役をオファーしよう」と思ったのですが、(キャスティング・ディレクターは)「ああ、彼女ならもうイエスと言っているよ」と言いました(笑)とても光栄でしたね。ジョージ・タケイの収録には誰もが来たがっていました。見どころが沢山あって、彼は気に入ってくれていましたよ。素晴らしかったです。

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

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