中国アニメ『ナタ~魔童降臨~』『熊出没』が成功―中国映画界は次のヒット作を模索

中国アニメ『ナタ~魔童降臨~』や『熊出没』シリーズが大ヒットした。第15回北京国際映画祭の投資フォーラムでは、その成功を称賛する声が上がった。一方で、映画関係者たちは「今こそ新たな人気作を育てる時期」と語った。
一極集中の構造に危機感
フォーラムには業界を代表する人物が集結した。ボナ・フィルム・グループ(Bona Film Group)のCEOジャン・ダフ(蒋徳富)や、アイチーイー(iQiyi)の上級副社長でプロデューサーのイエ・ルーフェン(葉如芬)らが登壇した。評論家で中国映画評論学会の会長を務めるラオ・シュグアン(饒曙光)は、『ナタ~魔童降臨~』が興行の60%を占めていると指摘した。
そして「一輪の花では春にならない」と語り、作品の多様化を呼びかけた。人気作が一つに集中する現状は、健全な産業とは言えないと警鐘を鳴らした。
多ジャンルと娯楽性の重視
脚本家・監督のユー・バイメイ(于白梅)は、最近の中国映画が内省的すぎると語った。映画のポスターを見ると「精神科の待合室にいるようだ」と表現し、娯楽性の欠如を指摘した。また、観客にネガティブな感情を与える作品が多すぎるとも語った。そして「観る人が元気になれるような作品が必要だ」と訴えた。
彼は、複数作を展開できる安定したIPの重要性も強調した。「中国には『ナタ~魔童降臨~』や『熊出没』だけでなく、8〜9本の人気IPが必要だ」と語った。
『熊出没』の成功とIP戦略
ファンタワールド(Fantawild)社のシャン・リンリン(尚琳琳)は、『熊出没』の価値は映画の枠を超えていると話した。シリーズはすでに3000種以上の商品を展開している。食品や文房具、玩具など多分野に進出している。
現在、全国には40以上のテーマパークもあるという。さらに、ホテル展開や中国文化を取り入れたブランド開発も進行中だ。今後はバーチャルリアリティへの応用も視野に入れていると語った。
中国アニメ『ナタ~魔童降臨~』や『熊出没』の成功は、中国アニメの可能性を示した。しかし、映画業界の発展には、多ジャンル化と安定したフランチャイズの育成が不可欠だ。登壇者たちは、現場のクリエイターが危機感を持って取り組んでいると語り、今後の変化に希望を示した。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら
【関連記事】
- 名高い監督、顧暁剛のキャリアにおいて北京国際映画祭が果たした重要な役割
- 2025年アヌシー国際アニメーション映画祭ラインナップ発表
- 【映画の“食”にまつわる名場面14選】『わんわん物語』ほかアニメの名作から、あのカルト的傑作も!
- KindleUnlimitedで読み放題:おすすめ7選【アニメ化・映画化原作】
- 【セール開催中】究極の癒しを約束するYogiboでゆったりおうち時間を満喫