ロンドン、新たなハリウッドへ — 映画制作の中心地として急成長

ロンドンが映画制作の新たな中心地として注目を集めている。Amazon、Netflix、Disneyなどのグローバル企業がロンドンへの投資を加速させ、制作拠点としての地位を確立しつつある。
2024年のFilm Londonの発表によると、今後5年間で約95億ポンドがロンドンの映画制作に投資される見込みである。実際、英国の制作収益は2024年に前年比31%増の56億ポンドに達した。
ハリウッドの失速とロンドンの台頭
一方、ハリウッドの撮影レベルは大幅に低下している。FilmLAのデータによると、カリフォルニア州の撮影件数は2022年の水準から約40%減少している。特に予算削減の影響を受け、ロサンゼルスの撮影スタジオの多くが空き状態となっている。
さらに、トランプ大統領の政策がハリウッドの制作環境をさらに厳しくしている。特に「外国で制作された映画」に対して100%の関税を課す提案は、業界に混乱をもたらしている。だが、その一方で、ロンドンは制作費の削減や安定した環境を提供しており、米国のクリエイターたちの避難先となりつつある。
2025年初頭に締結された米英間の貿易協定では、英国製映画への関税に関する具体的な取り決めは示されなかったものの、他の輸出品目に関しては関税が撤廃された。今後、ロンドンがさらに制作拠点としての地位を強固にすることが予想される。
このような背景の中、英国政府は映画・テレビ制作向けの税制優遇措置を拡充している。2024年4月以降、制作コストの40%が還元されるほか、視覚効果のコストについても39%の控除が受けられる。さらに、予算1500万ポンド以下のインディペンデント映画には53%の税制優遇措置が適用される。
魅力的なロケーションと治安の良さ
スタジオ施設の整備も進んでおり、2021年に設立されたShinfield Studiosは、ロンドン郊外に位置し、約100万平方フィートのスタジオスペースを誇る。ここでは『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』や『スター・ウォーズ:アコライト』などの大作が撮影されている。
また、ロンドンはインフラの面でも優れている。ウェールズやスコットランドへのアクセスが容易で、ロケーションハンティングが効率的に行える。さらに、米国のような銃社会ではなく、治安の面でも安心できるという利点がある。
「映画制作の決定要因は、結局のところ『人材とコスト』である」と、Shadowbox StudiosのCOOであるマイク・モサラムは語る。ロンドンには熟練したクルーが多数存在し、インフラも整備されている。これにより、高品質な制作環境が提供されている。
世界的ヒット作を生み出す歴史あるスタジオ
さらに、ロンドンには歴史あるスタジオも多い。ルーカスフィルムが9作の『スター・ウォーズ』作品を制作したパインウッド・スタジオや、Amazonが買収したブレイ・スタジオなどが代表例である。これらのスタジオは、新旧の制作技術を融合させ、世界的なヒット作を生み出し続けている。
ロンドンがハリウッドを凌駕する勢いを見せる中、米国の制作関係者の間では、ロンドン移住の動きが加速している。特に、政治的・社会的な不安定さが増す米国と比べ、ロンドンは安全で文化的にも魅力的な拠点として注目されている。
今や「ロンドンは新たなハリウッド」と言われる時代が到来している。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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